矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2023.10.03

業務・産業向けプリンタ世界市場に関する調査を実施(2023年)

2022年度の業務・産業向けプリンタの世界出荷台数は128万台。製品カテゴリによって二極化するなか、UVプリンタが世界市場において順調に出荷台数を伸ばしている。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、業務・産業向けプリンタの世界市場を調査し、各出力機器の出荷台数・出荷金額、利用動向、参入企業シェア・動向、将来展望を明らかにした。

「業務・産業向けプリンタ世界市場に関する調査を実施(2023年)」 小見出し一覧

【図表:業務・産業向けプリンタ世界市場推移と予測】

【図表:業務・産業向けプリンタ世界市場推移と予測】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:出荷台数、出荷金額ともにメーカー出荷ベース
  • 注:2023年度以降は予測値
  • 注:本年度より調査対象の出力機器を変更し、①シリアル・インパクト・ドット・マトリクス(SIDM)プリンタ、②ライン・インパクト・ドットプリンタ、③プロダクションプリンタ、④インクジェット方式のLFP(Large Format Printer:大判プリンタ)の4市場を対象とした。
  • また、LFP市場の内数として、テキスタイル専用プリンタ(ダイレクト捺染プリンタ、ガーメントプリンタ、昇華転写プリンタ専用機)、ラテックスプリンタ、UVプリンタ、LFP(卓上・小型機)を含む。

 

業務・産業向けプリンタ世界市場の概況

本調査では、荷物の送り状・伝票・複写用紙・契約書などの特殊用紙の印刷に特化したシリアル・インパクト・ドット・マトリクス(SIDM)プリンタやライン・インパクト・ドットプリンタ、ラベル印刷やデジタル印刷、オンデマンド(POD)印刷等が可能なプロダクションプリンタ、A2判以上の大きさの印刷が出来るLFP(大判プリンタ、インクジェット方式)の業務・産業向けプリンタ4カテゴリを対象とした。2022年度の業務・産業向けプリンタ世界出荷台数は前年度比99.6%の128万3,079台、出荷金額は同116.1%の8,877億2,100万円(いずれもメーカー出荷ベース)となった。

業務・産業向けプリンタは、新型コロナウイルスの影響による経済活動の停滞により、各カテゴリで出荷が一時的に落ち込んだ。コロナ禍の行動制限緩和とともに、企業の設備投資なども回復に転じたことで、出荷金額は回復基調となった。
各カテゴリ別に市場を見ると、出荷台数全体の6割以上を占めているSIDM市場とライン・インパクト・ドット市場は、用途が限られ、需要も減退していることから、出荷台数ベースでは前年度比で減少という結果となった。

一方、1台あたりの単価が高額で、出荷金額全体に占める割合が大きいプロダクションプリンタやLFP(インクジェット方式)は、デジタル印刷やオンデマント印刷、大判印刷等の需要が拡大しており、出荷金額ベースでは前年度比で大きく伸びている。
成長トレンドのプロダクションプリンタ市場とLFP(インクジェット方式)市場は回復、減少トレンドのSIDM市場とライン・インパクト・ドット市場は弱含みで、業務・産業向けプリンタ世界市場は製品カテゴリにより、明暗がはっきり分かれる結果となった。

▲小見出し一覧に戻る

業務・産業向けプリンタ世界市場の注目トピック

【図表:UVプリンタ世界市場推移と予測】

【図表:UVプリンタ世界市場推移と予測】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:出荷台数、出荷金額ともにメーカー出荷ベース
  • 注:紫外線で硬化する「UV硬化インク」を用いたプリンタを対象として算出した
  • 注:2023年度以降は予測値
  • 注:業務・産業向けプリンタの出荷台数、出荷金額の内数

■UVプリンタ
UVプリンタとは、紫外線で硬化する「UV硬化インク」を用いたプリンタである。UVプリンタではプリントしながら紫外線(UV光)を照射し、瞬時にインクを硬化させるため、乾燥時間を必要としないといったメリットがある。また、耐候性にも優れ、ガラスや金属などの紙以外のメディア、円筒など平面以外のものにも印刷することが出来る。

多様な用途、速乾性、幅広い製品ラインナップなどがユーザー企業に支持されており、国内の主要メーカーのいずれも、世界市場において順調に出荷台数を伸ばしている。2022年度のUVプリンタの世界出荷台数は前年度比115.4%の1万2,359台、出荷金額*は同109.6%の990億円となった。2023年度以降はラテックスプリンタなど、低VOCで環境に配慮した他製品の伸長もあり、市場の伸び幅は小さくなると考えるが、今後も成長は続いていくと予測する。

※業務・産業向けプリンタの出荷台数、出荷金額の内数。

▲小見出し一覧に戻る

 

業務・産業向けプリンタ世界市場の将来展望

2023年度の業務・産業向けプリンタ世界出荷台数は、前年度比97.2%の124万6,662台、出荷金額は同107.8%の9,567億8,300万円になると予測する。

2022年度と同様に、減少トレンドにあるSIDM市場の影響で出荷台数は減少する見込みである。一方、プロダクションプリンタ市場とLFP(インクジェット方式)市場では、下位モデルの需要増による裾野拡大や印刷用途が広がっており、出荷金額は増加する見通しである。その他、半導体不足を背景とした製品の供給不足やサプライチェーンの混乱などは徐々に緩和されているものの、市場はウクライナ問題による経済活動の停滞や、円安による輸出拡大・増収などの影響を引き続き大きく受ける見込みである。

▲小見出し一覧に戻る

 

参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • 業務・産業向けプリンタの出荷台数(2019~2025年度予/世界)
  • 業務・産業向けプリンタの出荷台数(2019~2025年度予/国内)
  • SIDMの出荷台数及び売上高(2019~2025年度予/世界)
  • 沖電気工業を除いた場合のSIDMの出荷台数(2019~2025年度予/世界)
  • SIDMのメーカ別出荷台数及び売上高(2021~2023年度予/世界)
  • SIDMの出荷台数シェア(2021~2023年度予/世界)
  • SIDMの売上高シェア(2021~2023年度予/世界)
  • SIDMのチャネル別構成(2022年度/国内)
  • SIDMの地域/国別出荷台数(2022年度)
  • ライン・インパクト・ドットの出荷台数及び売上高(2019~2025年度予/世界)
  • ライン・インパクト・ドットのメーカ別出荷台数及び売上高(2021~2023年度予/世界)
  • ライン・インパクト・ドットの出荷台数シェア(2021~2023年度予/世界)
  • ライン・インパクト・ドットの売上高シェア(2021~2023年度予/世界)
  • ライン・インパクト・ドットのチャネル別構成(2022年度/国内)
  • プロダクションプリンタの出荷台数及び売上高(2019~2025年度予/世界)
  • 方式別 プロダクションプリンタの出荷台数(2022年度/世界)
  • プロダクションプリンタの出荷台数/売上高(2019~2025年度予/国内)
  • カテゴリ別 プロダクションプリンタの成長率(2021~2023年度予/国内)
  • カテゴリ別 プロダクションプリンタの構成比(2021~2023年度予/国内)
  • プロダクションプリンタの集計対象製品
  • プロダクションプリンタ対象機種一覧
  • プロダクションプリンタの出荷台数/シェア(2022年度/世界)
  • 方式別 プロダクションプリンタの出荷台数シェア(2022年度/世界)
  • プロダクションプリンタの出荷台数(2021~2023年度予/国内)
  • プロダクションプリンタの出荷台数シェア(2021~2023年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(カラー上位)の出荷台数(2021~2023年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(カラー上位)出荷台数シェア(2021~2023年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(カラー中速)の出荷台数(2021~2023年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(カラー中低速Mid①)出荷台数(2021~2023年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(カラー中高速Mid②)出荷台数(2021~2023年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(カラー中速)出荷台数シェア(2021~2023年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(カラーLight-Pro)の出荷台数(2021~2023年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(カラーLight-Pro)出荷台数シェア(2021~2023年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(高速インクジェット)出荷台数(2021~2023年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(高速インクジェット)出荷台数シェア(2021~2023年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(モノクロ・全体)の出荷台数(2021~2023年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(モノクロ・全体)出荷台数シェア(2021~2023年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(モノクロ・商業印刷系)出荷台数シェア(2021~2023年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(モノクロ・トランザクション系)(2021~2023年度予/国内)
  • プロダクションプリンタの売上高/シェア(2022年度/世界)
  • 方式別 プロダクションプリンタ売上高シェア(2022年度/世界)
  • プロダクションプリンタの売上高(2021~2023年度予/国内)
  • プロダクションプリンタの売上高シェア(2021~2023年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(カラー上位)の売上高(2021~2023年度予/国内)
  • プロダクション(カラー上位)売上高シェア(2021~2023年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(カラー中速)の売上高(2021~2023年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(カラー中速)売上高シェア(2021~2023年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(カラーLight-Pro)売上高(2021~2023年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(カラーLight-Pro)売上高シェア(2021~2023年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(高速インクジェット)売上高(2021~2023年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(高速インクジェット)売上高シェア(2021~2023年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(モノクロ・全体)売上高(2021~2023年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(モノクロ・全体)売上高シェア(2021~2023年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(モノクロ・商業印刷系)売上高(2021~2023年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(モノクロ・トランザクション系)売上高シェア(2021~2023年度予/国内)
  • プロダクションプリンタのチャネル別構成(2022年度/国内)
  • 主要各社の商流と顧客の状況(2022年度)
  • プロダクションプリンタの地域/国別出荷台数(2022年度/全体)
  • プロダクションプリンタの地域/国別出荷台数(2022年度/インクジェット)
  • プロダクションプリンタの地域/国別出荷台数(2022年度/カラー)
  • プロダクションプリンタの地域/国別出荷台数(2022年度/モノクロ・全体)
  • LFP(IJ方式)の出荷台数及び売上高(2019~2025年度予/世界)
  • LFP(IJ方式)の出荷台数及び売上高(2019~2025年度予/国内)
  • LFP(IJ方式)の集計対象製品
  • LFPインクジェット方式 対象機種一覧(サイン&グラフィック)
  • LFPインクジェット方式 対象機種一覧(汎用)
  • LFPインクジェット方式 対象機種一覧(テキスタイル専用機/汎用機)
  • LFP(IJ方式)での用途拡大の状況
  • LFP(IJ方式)の主な用途例
  • LFP(IJ方式)の出荷台数(総計)とシェア(2021~2023年度予/世界)
  • LFP(IJ方式/水性系)の出荷台数とシェア(2021~2023年度予/世界)
  • LFP(IJ方式/水性系/CAD汎用)の出荷台数とシェア(2021~2023年度予/世界)
  • LFP(IJ方式/水性系/S&G全体)の出荷台数とシェア(2021~2023年度/世界)
  • LFP(IJ方式/水性系/S&G/純粋分(ラテックス、テキスタイルを除く))の出荷台数とシェア(2021~2023年度/世界)
  • LFP(IJ方式/ソルベント系)の出荷台数とシェア(2021~2023年度予/世界)
  • LFP(IJ方式/ソルベント系/プリント&カット機除)の出荷台数とシェア(2021~2023年度予/世界)
  • LFP(IJ方式/UV系)の出荷台数とシェア(2021~2023年度予/世界)
  • LFP(IJ方式)の出荷台数(総計)とシェア(2021~2023年度予/国内)
  • LFP(IJ方式/水性系)の出荷台数とシェア(2021~2023年度予/国内)
  • LFP(IJ方式/水性系/CAD汎用)の出荷台数とシェア(2021~2023年度予/国内)
  • LFP(IJ方式/水性系/S&G全体)の出荷台数とシェア(2021~2023年度予/国内)
  • LFP(IJ方式/ソルベント系)の出荷台数とシェア(2021~2023年度予/国内)
  • LFP(IJ方式/UV系)の出荷台数とシェア(2021~2023年度予/国内)
  • LFP(IJ方式)の売上高(総計)とシェア(2021~2023年度予/世界)
  • LFP(IJ方式/水性系)の売上高とシェア(2021~2023年度予/世界)
  • LFP(IJ方式/ソルベント系)の売上高とシェア(2021~2023年度予/世界)
  • LFP(IJ方式)の売上高(総計)とシェア(2021年~2023年度予/国内)
  • LFP(IJ方式/水性系)の売上高とシェア(2021~2023年度予/国内)
  • LFP(IJ方式/ソルベント系)の売上高とシェア     (2021~2023年度予/国内)
  • LFP(IJ方式)の地域/国別出荷台数(2022年度/世界)
  • テキスタイル専用プリンタ出荷台数及び売上高 (2019~2025年度予/世界)
  • テキスタイル専用プリンタの方式別出荷台数(2021~2023年度予)
  • テキスタイル専用プリンタの集計対象製品
  • ラテックスプリンタの出荷台数及び売上高(2019~2025年度予/世界)
  • UVプリンタの出荷台数及び売上高(2019~2025年度予/世界)
  • LFP(卓上・小型機)プリンタの出荷台数及び売上高(2019~2025年度予/世界)
  • LFP(卓上・小型機)プリンタの集計対象製品
  • LFP(卓上・小型機)プリンタの主要参入企業
  • メーカ別LFP(卓上・小型機)プリンタの出荷台数(2019~2023年度予)及びシェア(2021~2023年度予)
  • キヤノン株式会社
    • 「imagePRESS」シリーズの主なスペック・特長
  • 株式会社SCREENグラフィックソリューションズ
  • 日本電気株式会社
  • 株式会社ミマキエンジニアリング
  • 株式会社ミヤコシ
  • 武藤工業株式会社
  • ローランド ディー.ジー.株式会社
  • コニカミノルタ株式会社
  • セイコーエプソン株式会社
  • 株式会社日本HP
  • 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
  • 株式会社リコー

▲小見出し一覧に戻る

 

関連リンク

■レポートサマリー
3Dプリンタ世界市場に関する調査を実施(2021年)

■アナリストオピニオン
MFP(複合機)の概念が変わる?新ソリューション/ITサービスの台頭
世界レベルの活用へ HPの3Dプリンティング

■同カテゴリー
[周辺機器]カテゴリ コンテンツ一覧

▲小見出し一覧に戻る

 

オリジナル情報が掲載されたショートレポートを1,000円でご利用いただけます!

同タイトル、市場調査資料の一部の内容について、概要をまとめたリーズナブルな調査資料です。
※プレスリリースに以下の情報が追加されています。
  • セグメント別の動向
    • テキスタイル専用プリンタ
  • 注目トピックの追加情報
  • 将来展望の追加情報
以下の 利用方法を確認する ボタン↓から詳細をご確認ください

利用方法を確認する


調査要綱

調査対象:プリンタメーカ・販売店/パートナー
調査期間:2023年4月~9月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話やeメールによる取材併用

※業務・産業向けプリンタ市場とは:本年度より調査対象の出力機器を変更し、①シリアル・インパクト・ドット・マトリクス(SIDM)プリンタ、②ライン・インパクト・ドットプリンタ、③プロダクションプリンタ、④インクジェット方式のLFP(Large Format Printer:大判プリンタ)の4市場を対象とした。
また、LFP(インクジェット方式)市場の内数には、テキスタイル専用プリンタ(ダイレクト捺染プリンタ、ガーメントプリンタ、昇華転写プリンタ専用機)や、ラテックスプリンタ、UVプリンタ、LFP(卓上・小型機)を含んでいる。

<市場に含まれる商品・サービス>
シリアル・インパクト・ドット・マトリクスプリンタ、ライン・インパクト・ドットプリンタ、プロダクションプリンタ、LFP(インクジェット方式)

関連マーケットレポート
山内 翔平(ヤマウチ ショウヘイ) 研究員
ICTの分野では、最新の動向やトレンドが絶え間なく変わり、新陳代謝の激しい業界です。 有意義かつ新鮮な情報をご提供するために、現場の声を直接お聞きし、お客様に寄り添った提案ができるよう、努めてまいります。

YanoICT(矢野経済研究所ICT・金融ユニット)は、お客様のご要望に合わせたオリジナル調査を無料でプランニングいたします。相談をご希望の方、ご興味をお持ちの方は、こちらからお問い合わせください。

YanoICTサイト全般に関するお問い合わせ、ご質問やご不明点がございましたら、こちらからお問い合わせください。

東京カスタマーセンター

03-5371-6901
03-5371-6970

大阪カスタマーセンター

06-6266-1382
06-6266-1422