矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2022.11.25

POSターミナル市場に関する調査を実施(2022年)

無人決済システムは本格導入の段階には至っておらず、実験店舗は多くが終了。一方で、省人化ソリューションの開発が進み、POSターミナルのセルフ化が進展。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のPOSターミナル市場の調査を実施し、リテールソリューション動向やPOSシステム関連事業者の戦略、市場の将来展望を明らかにした。

 

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【図表:国内POSターミナル市場規模推移と予測】

【図表:国内POSターミナル市場規模推移と予測】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:メーカー出荷(台数、金額)ベース
  • 注:2022年度は見込値、2023年度以降は予測値
  • 注:POSシステムは、サーバやPOSターミナル(端末)、POSソフトウエア、その他周辺機器から構成されるが、本調査ではPOSターミナル(端末)の市場規模を算出した。
  • 但し、クラウド上のPOSソフトウエアを市販のタブレット(端末)で利用するサービス、タブレットPOSは対象としていない。

 

POSターミナル市場の概況

国内のPOSターミナル市場であるが、2017年度以降大手コンビニエンスストアチェーンの機器リプレースが続き、需要が大幅に拡大した。また、2019年度も消費増税に加えて軽減税率の導入、クレジットカードのEMV(ICチップ搭載クレジットカード統一規格)対応等、ユーザー企業側で対応すべき事項が多く、平常時と比べてPOSターミナル需要が拡大した。そうした需要拡大の反動減に加え、新型コロナウイルス感染拡大による経済活動の一時的な低迷もあり、2020年度のPOSターミナル市場規模は、メーカー出荷ベースで10万761台、399億4,800万円と近年になく低水準にとどまった。
2021年度は出荷台数が更に前年度を割り込む結果となり、同市場規模は9万3,918台、400億2,800万円となった。要因としては、将来需要の先食いの他、コロナ禍での景気の先行き不透明感によるIT投資の手控え、飲食業を始めとした業績不振などが考えられる。さらに、POS専用機を代替するタブレットPOS市場の拡大、レジレス店舗の増加、食品宅配などデリバリーシステムの社会的普及なども市場縮小要因になっていると推測する。

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POSターミナル市場の注目トピック

■無人店舗、店舗の省人化・レジレス店舗の動向
「Amazon GO(アマゾンゴー)」を契機として注目されるようになった無人店舗だが、実際に無人化に取り組んだ中国のベンチャーは大きく事業を縮小している。近年では、完全な店舗の無人化は現実的ではなく、無人というより省人化、あるいはレジレス店舗(Grab&Goなど)という表現が正しいと思われるケースが多く見られる。

現在、無人決済システム参入企業のうち、実際に店舗で本格稼働しているのはTOUCH TO GO社のシステムのみであり、多くのITベンダーのシステムは本格導入の段階には至っていない。実証実験として、以前は複数の店舗において稼働していたが、現在はその多くが終了している。
その大きな原因としては、それらのソリューションが注目を浴びた時期の直後に発生した新型コロナウイルス感染拡大の影響によるものである。コロナ禍で在宅勤務が増加し、都心部の人流が減少したことで、無人決済システムが設置されていた実証実験店舖等、ターゲットとしていた店舗自体が業績不振になったことが大きい。特に、都心のマイクロマーケット(オフィスや病院などの極小商圏)向けとして設置された売店やコンビニエンスストアなどでは、ビジネスマンや入院・外来患者の激減が大きく影響した。

一方で、来店客数が減少した従来展開店舗の経営効率化のため、店舗スタッフの省人化ソリューションを開発し、当該市場に参入したのがテルウェル東日本のケースである。人の代わりにシステムを導入することで、店員を減らしても通常営業ができるメリットがあるとしている。

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POSターミナル市場の将来展望

POSターミナル市場は徐々に回復し、2022年度の同市場は11万5,473台、481億5,300万円(前年度比123.0%、同120.3%)まで増加する見込みである。2024年度頃からは、2017年度以降導入したユーザー企業のリプレースが始まる見込みで、市場は急回復すると予測する。また、入替時にはPOSターミナルのセルフ化が進展し、システム単価アップが見込まれ、台数を上回る金額ベースの成長が期待される。しかし、一方ではハードウェアメーカー間の競争が更に激しくなるとみられ、システム単価は期待されるほど上昇しない可能性も考えられる。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • 物販系分野のBtoC-ECの市場規模
  • 物販系分野のBtoC-EC市場規模及びEC化率の経年推移
  • 市場規模推移
  • メーカーシェア(台数ベース)
  • メーカーシェア(金額ベース)
    • 2019年度
    • 2020年度
    • 2021年度
  • 需要分野構成比推移(数量)
  • 需要分野構成比推移(金額)
  • 需要分野別動向
    • 百貨店
    • GMS
    • ショッピングセンター
    • コンビニエンスストア
    • 食品スーパー
    • ホームセンター
    • ドラッグストア
    • 量販専門店
    • 飲食店
    • サービスステーション
    • その他、個店
  • 市場規模予測
  • タブレットPOS市場規模推移
  • タブレットPOS市場規模予測

■POS専用機関連

  • 株式会社ヴィンクス
  • NECプラットフォームズ株式会社
  • シャープマーケティング ジャパン株式会社
  • 株式会社寺岡精工
  • 東芝テック株式会社
  • 富士通株式会社
■タブレットPOS関連
  • 株式会社スマレジ
  • 株式会社USEN
  • 株式会社ユビレジ
■レジレス・省人化店舗関連
  • 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
  • 株式会社セキュア
  • テルウェル東日本株式会社
  • 日本電気株式会社
  • 富士通株式会社
  • その他主要POSソフトウェアベンダー

 

  • 参入企業の動向
  • 画像解析マーケティングソリューション市場規模予測

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関連リンク

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店舗向け画像解析ソリューション市場の調査を実施(2021年)

■アナリストオピニオン
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省人化イノベーションにリソースを集中せよ
流通業とITのただならぬ関係

■同カテゴリー
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調査要綱

調査対象: POSシステム関連事業者(POSターミナルメーカー、POSソフトウェアベン ダ、タブレットPOSベンダ)等
調査期間:2022年7月~10月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用

※POSターミナル市場とは:POS(Point Of Sales system)とは、販売時点売上管理システムともいわれ、物品販売の売上実績を単品で管理し集計するシステムをさす。POSシステムは、サーバやPOSターミナル(端末)、POSソフトウェア、その他周辺機器から構成される。
本調査におけるPOSターミナル市場は、POSターミナル(端末)の市場規模をメーカー出荷(台数、金額)ベースで算出した。
但し、クラウド上のPOSソフトウエアを市販のタブレット(端末)で利用するサービス、タブレットPOSは対象としていない。

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野間 博美(ノマ ヒロミ) 理事研究員
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