株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、世界のドローン市場を調査し、市場概況、参入企業動向、サービス分野別の市場動向、将来展望を明らかにした。
【図表:ドローンの世界市場規模推移と予測(軍用需要・民生需要計)】
2021年のドローン世界市場規模(軍用需要・民生需要計)は1兆8,687億6,500万円で、2018年から2021年における年平均成長率(CAGR)?は11.3%の成長となった。
コマーシャル(産業用)ドローンとそのサービスが主な成長をけん引する一方で、コンスーマー(個人用(ホビー))ドローンは既に成熟するなど、ドローン業界内においては明暗が分かれている。その一方で、新規参入も現れており、さらなる淘汰や統廃合が今後しばらく続く見通しである。
■COVID-19下、注目されたドローンデリバリー
COVID-19が世界中で猛威をふるうなか、ドローンによる配送が改めて注目された。マシーン(機器)を介在させた自動化で人間同士の接触を最小限に抑制できるうえ、外出自粛や在宅時間の増加で急増したオンラインショッピングやフードデリバリー需要にも応えることが期待された。
しかし、米国では規制が障壁となって医薬品以外を運ぶドローンデリバリーは許認可が取得しにくい状況である。ドローンデリバリーで肝要となるBVLOS(目視できる範囲を超える距離)飛行には安全性など、まだクリアすべき課題は多いことから依然慎重で、夜間の飛行も制限されている。BVLOS飛行が認可されれば、本格的なサービス提供が可能になるが、当面はごく限られた範囲での試験的利用となる見込みで、ドローンが輸送することで対価を得る本来の意味での物流としての機能を果たすのはもうしばらく先であるものと考える。
2027年のドローン世界市場規模(軍用需要・民生需要計)は約3兆円の2兆9,988億2,100万円に達し、2022年から2027年における年平均成長率(CAGR)は7.7%の伸びを予測する。
コンスーマー(個人用(ホビー))ドローンが縮小傾向にあるなか、コマーシャル(産業用)ドローンに利用される機体の性能向上や取得画像の解析精度向上によってそれらを活用するドローンサービスが市場をけん引するとみる。また、ドローンサービスの中では、点検・検査が最大の分野となる見込みである。
■アナリストオピニオン
●COVID-19をチャンスにできなかったドローンデリバリー
●ドローン活用のフィールドは水中へ
●ドローンは物流の救世主になるか?
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調査対象:ドローン製造企業、 オペレーション企業、ユーザー企業等
調査期間:2021年9月~12月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mail等によるヒアリング調査および文献調査併用
※ドローン(UAV/UAS)とは:本調査におけるドローン市場とは無人航空機の呼称であるUAV(Unmanned Aerial Vehicle)、UAS(Unmanned Aircraft System)、RPAS(Remotely Piloted Aircraft Systems)の全てを対象とし、少なくとも自動で姿勢修正を行うなどある程度の自律制御(autonomy)を備え、空撮映像の取得など何らかのタスクを実行することを目的とした機体とする。また、操縦信号が途切れた時にはその場でホバリングしたり、電池残量を判断して自動的に出発地点に戻ったりするなど、自律的な制御を伴うものと定義する。なお、操縦者のコントロールに依存するいわゆるラジコンは対象外とする。
<市場に含まれる商品・サービス>
ドローン、UAV、点検・検査(風力発電、太陽光発電、橋梁・トンネル、石油・ガスパイプライン、送電線・鉄塔、携帯電話基地局)、映像撮影、農業、測量・マッピング、消防・救急・警察、輸送・配送
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