矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2019.03.05

国内工場・製造分野での次世代モニタリングシステム普及率を予測(2018年)

既に工場の新設及び設備更新時には、次世代モニタリング仕様を組み込んだ製造設備を導入する動きも顕在化してきており、2022年度末時点の普及率は42.1%と予測。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、次世代モニタリングシステムを調査し、分野別の普及状況と将来見通し、遠隔監視からITモニタリングへの移行に関する環境変化、主要ITベンダーやユーザ企業の動向を明らかにした。

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次世代モニタリングシステムの市場概況

■次世代モニタリングシステムの2017年度末での国内工場・製造分野の普及率は21.1%と推計
次世代モニタリングシステムとは、IoT関連テクノロジーを活用した遠隔監視システムで、センサーネットワークM2Mなどで収集した膨大なデータを、クラウドやビッグデータなどの技術で集積し、解析・アナリティクス・AIテクノロジーなどを用いて分析・判断・評価を行う仕組みである。2000年代以降徐々に遠隔監視システムは、データセンターやクラウドの普及、ネットワーク環境の深化を背景として、データ収集(見える化)からデータ活用へとステージが変化してきている。

国内工場・製造分野における次世代モニタリングシステムの2017年度末時点の普及率を21.1%(103工場、分母は従業員規模1,000人以上企業の487工場)と推計した。既に工場の新設及び設備更新時には、次世代モニタリング仕様を組み込んだ製造設備を導入する動きも顕在化してきており、今後も導入件数が増加し、2022年度末時点の普及率は42.1%(205工場)になると予測する。

【図表:次世代モニタリングシステム 国内工場・製造分野での普及率推移・予測】

図表:次世代モニタリングシステム 国内工場・製造分野での普及率推移・予測
  • 矢野経済研究所推計
  • 注:2018年度は見込値、2019年度以降は予測値
  • 注:次世代モニタリングシステム累計導入件数を分子に、国内の従業員規模1,000人以上企業の487工場を分母として、当該年度末の普及率を算出した。(工場数は、経済産業省「平成29年工業統計表」より引用)
  • 注:次世代モニタリングとは、IoT関連テクロノジー(クラウド/ビッグデータ、M2M/IoT、解析・アナリティクス、AI、センサーシステム/センサーネットワーク等)を活用した遠隔監視のためのシステムを指す。

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次世代システム採用により、工場では「状態監視/稼動の見える化」「データ収集・記録」といった従来フェーズに加え、IoT関連テクノロジーを活用することによって「保全業務の高度化(予防保全など)」「業務効率化(開発、製造、保全)」「製品開発/顧客サービスへの反映」といったことが可能になってきた。欧米の先進的なユーザ企業では、製造現場や出荷製品の稼動状態をデジタル情報として常時モニタリングできる仕組みとして、「デジタルツイン」や「CPS(Cyber Physical Systems)」の検証が進んでいる。従来型の遠隔監視から次世代モニタリングへの変遷を見た場合、最大のポイントは「データの扱い」である。従来型の遠隔監視ではデータ収集が主目的であったが、次世代モニタリングでは収集データを活用することがポイントで、この点に最大の特徴がある。

次世代モニタリングシステムの注目トピック

■保全業務で期待の大きなITモニタリング
遠隔監視や次世代のIoTを活用したモニタリング(ITモニタリング)システムの採用先として最も期待が大きいのが工場・製造分野である。工場・製造分野では、以前から生産機器・設備や生産ライン、ボイラーや空調機器、ポンプ等のユーティリティ設備などの遠隔監視を実施していた。但し、多くの場合、データは中央監視室などの工場内に止まっており、現場データの工場外への持ち出しやクラウド活用といったアプローチは一部に止まっていた。

しかし2010年以降、特に設備保全業務においてITモニタリングを利活用するケースが増えており、なかでも産業機器メーカー主導でITモニタリングを行う事例が増えた。保全業務は、生産性向上/稼働率アップや安全性向上のためには不可避の業務である。しかし一方で、出来るだけ保全コストを下げたいという要求もある。この両者を充足させる手段として、ITモニタリングへの期待は大きいと考える。

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次世代モニタリングシステムの将来展望

工場・製造分野においては、既に次世代モニタリング導入が進んでいるユーティリティ設備に加えて、短期的には大型や高額、高速な生産設備・機器での採用が進む見込みである。また工場の新設及び設備更新時に、次世代モニタリング仕様を組み込んだ製造設備を導入する動きも顕在化してきている。これらの動きに触発されて、製造業向けのサービスタイプのビジネスモデル、具体的には機器販売ではないサービス販売モデルが創出され始めており、そこに次世代のIoTを活用したモニタリング(ITモニタリング)需要が期待される。
そして2030年以降には、ほぼ全ての製造機器・設備でのサービスビジネスモデルの採用(ITモニタリングの活用)が実現すると考える。

ユーザー企業における採用動向をみると、2020年頃までは売上高3,000億円以上の大企業が主導するが、2020年頃からは大企業での成功が前提であるが、売上高500~3,000億円の中堅・準大手メーカーへの浸透が見込まれる。その後の10年ほどは中堅メーカー以上のレイヤーで普及期にあたり、さらに2030年頃からは、中小メーカーを含めたほぼ全ての製造業でITモニタリングの活用が実現すると考える。本格的なデータ活用時代に移行するであろう。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

第Ⅰ章 遠隔監視とITモニタリング(次世代モニタリング)の概況

  • 遠隔監視の現状とITモニタリング
    • 本調査で対象とした設備・機器
    • 遠隔監視業務の変化
    • 遠隔監視/ITモニタリングの範囲
    • ITモニタリングで期待される次世代技術
    • ITモニタリングでのデータ活用見通し
    • 工場における設備保全の変遷
    • ITモニタリングによる製造業でのビジネスモデル変化
    • 生産機器・設備別のITモニタリングニーズの評価
    • データ収集とデータの活用イメージ
    • フィールドワーク支援ソリューションの背景
  • ITモニタリング市場
    • 工場・製造向けITモニタリングシステムの普及予測(累計)
    • 製造向け遠隔監視/ITモニタリング一覧
    • 建設向けITモニタリングシステムの普及予測(累計)
    • 建設向け遠隔監視/ITモニタリング一覧
    • 運輸・物流向けITモニタリングシステムの普及予測(累計)
    • 運輸・物流向け遠隔監視/ITモニタリング一覧
    • インフラ保全向けITモニタリングシステムの普及予測(累計)
    • インフラ保全向け遠隔監視/ITモニタリング一覧
  • 事業者アンケート結果
    • 工場・製造
    • 建設
    • 運輸・物流
      • 対象機器・設備の導入状況
      • 遠隔監視の実施状況
      • 遠隔監視の実施場所/監視者
      • 遠隔監視の拡大意向
      • 導入・検討タイプ
      • ITモニタリングの活用状況
      • ITモニタリングを導入している設備・機器
      • ITモニタリング実施場所
      • データ蓄積の有無
      • データの活用状況
      • データ分析内容
      • ITモニタリングの導入を検討している設備・機器
      • Tモニタリングに対する関心
  • ITモニタリングの普及予測
    • 工場・製造での普及予測
    • 建設での普及予測
    • 運輸・物流での普及予測
    • インフラ保全での普及予測
  • 製造現場における注目動向
    • ODMAシリーズ一覧

 

第Ⅱ章 事業者調査編 ~分野別の遠隔監視/ITモニタリングへの取り組み~

  • 工場・製造
  • 建設現場
  • 運輸・物流
    • 遠隔監視での主な対象設備・機器
    • 遠隔監視の取り組み状況
    • 遠隔監視の拡大意向
    • ITモニタリングへの取り組み①
    • ITモニタリングへの取り組み②

 

第Ⅲ章 遠隔監視/ITモニタリング関連製品・ソリューション一覧

  • ODMA予兆監視 for光ファイバー(富士通)
  • コルソス CSDJシリーズ(NECプラットフォームズ)
  • MMCloud(安川情報システム)
  • MMsmartMonitor(安川情報システム)
  • MMEye(安川情報システム)
  • 故障予知サービス「MMPredict」(安川情報システム)
  • Facteye(シーイーシー)
  • SmartFollow(シーイーシー)
  • SmartLogger(シーイーシー)
  • RaFLOW(シーイーシー)
  • WiseImaging(シーイーシー)
  • Visual Factory(シーイーシー)
  • Industrial IoT「Sushi Sensor」(横河ソリューションサービス)
  • Industrial IoT「DUCSOnEX」(横河ソリューションサービス)
  • Industrial IoT「産業用IoT データロギング&ダッシュボード」(横河ソリューションサービス)
  • CareQube+(クオリカ)
  • Super CMS-10000(JFEアドバンテック)
  • i-SENSOR2(応用地質)
  • 電源レス映像監視システム(ブレインズ)
  • Machine Fitness System(新川電機)
  • ばらまき型傾斜計(オサシ・テクノス)
  • T-MCMA(高田工業所)
  • CO2地上漏洩常時監視システム(中外テクノス)
  • CMAXS e-GICSX(三井E&Sマシナリー)
  • 簡易斜面変位監視システム(リプロ)
  • 傾斜監視システム「OKIPPA104」(西松建設)
  • ユビキタスウェア/バイタルセンシングバンド(富士通)
  • ユビキタスウェア/ロケーションバッジ・タグ(富士通)

 

第Ⅳ章 個票編

<ベンダー個票>

NECプラットフォームズ(株)、(株)シーイーシー、TISインテックグループ、富士通(株)、安川情報システム(株)、横河ソリューションサービス(株)

 

<ユーザ個票:工場・製造>

電子部品・回路・デバイス製造、配合飼料製造、自動車部分品・附属品製造、医薬品製剤製造、調味料製造、乳製品製造、発電・電動機・回転電気機械製造、農薬製造、プラスチック製造、歯科材料製造、配合飼料製造、光電変換素子製造、生菓子製造、金属工作機械製造、厨房機器製造、舶用機関製造、抵抗器・変成器・複合部品製造、電子部品・回路・デバイス製造、集積回路製造、電気照明器具製造、食肉・冷凍肉製造、食用油脂加工、金属プレス製品製造、自動車部分品・附属品製造、プラスチック製容器製造、惣菜製造、靴下製造、水産練製品製造、自動車部分品・附属品製造、蒸留酒・混成酒製造、試薬製造、自動車部分品・附属品製造、航空機部分品・補助装置製造、パン製造、清涼飲料製造、プラスチック製容器製造、プラスチック床材製造、食肉加工品製造、配合飼料製造、農薬製造、配合飼料製造、金物類製造、発電・電動機・回転電気機械製造、無線通信機械器具製造、医薬品製剤製造、非鉄金属製造、冷凍機・温湿調整装置製造、プラスチックシート・合成皮革製造、銑鉄鋳物製造、畜産食料品製造、石油精製

 

<ユーザ個票:建設>

舗装工事、建築工事、土木工事、一般土木建築工事、土木工事、一般土木建築工事、一般土木建築工事、一般土木建築工事、土木工事、舗装工事、土木工事、舗装工事、建築工事、建築工事、一般土木建築工事、一般土木建築工事、一般土木建築工事、土木工事、一般土木建築工事、一般土木建築工事、一般土木建築工事、建設工事

 

<ユーザ個票:物流>

一般貨物自動車運送、一般貨物自動車運送、特定貨物自動車運送、一般貨物自動車運送、特定貨物自動車運送、一般貨物自動車運送、特定貨物自動車運送、一般貨物自動車運送、一般貨物自動車運送、倉庫業、一般貨物自動車運送、一般貨物自動車運送、一般貨物自動車運送、集配利用運送業、集配利用運送業、倉庫業、一般貨物自動車運送、一般貨物自動車運送、特定貨物自動車運送、一般貨物自動車運送、一般貨物自動車運送、一般貨物自動車運送、集配利用運送業、一般貨物自動車運送、一般貨物自動車運送

 

…ほか

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関連リンク

■レポートサマリー
IoT型センサーシステム数を予測(2017年)
センサーネットワークシステム数を予測(2016年)

■アナリストオピニオン
IoT社会はセンサーネットワークによって実現する
遠隔監視業務は次世代モニタリング(ITモニタリング)に移行する
センサーネットワークは社会インフラ化する
ワイヤレスセンサーネットワーク(WSN)に対する考察<導入効果
ワイヤレスセンサーネットワークに対する考察

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調査要綱

調査対象:ITベンダー、ユーザ企業・団体(製造業、建設業、運輸・物流業、地方自治体等)
調査期間:2018年4月~2019年1月
調査方法:当社専門研究員による直接面談、ならびに電話調査・法人アンケート調査・文献調査を併用

※次世代モニタリングとは:本調査における次世代モニタリングとは、IoT関連テクロノジー(クラウド/ビッグデータ、M2M/IoT、解析・アナリティクス、AI、センサーシステム/センサーネットワーク等)を活用した遠隔監視のための仕組みを指す。従来型の遠隔監視システムと比べると、データ収集及び収集データの分析による付加価値の創出に主眼を置く点が大きく異なる。
なお、本調査では、ITベンダーから外販されるサービス/ソリューションを対象とし、ユーザ企業・団体が自社で開発したシステム(オンプレミス)や、各種産業機器メーカーが提供する保守/メンテナンスのためのサービスは除く。ITベンダーから外販されているサービス/ソリューションには、「コルソス」「MMCloud」「Facteye」「Industrial IoT」「メンテりてぃくす」「ODMA予兆監視」「DoctorCloud」「ファシリティ・モニタリングサービス」等がある。

※2016年に実施した調査結果(参考情報)
次世代型モニタリングの可能性調査を実施(2016年)」2016年12月12日発表

<市場に含まれる商品・サービス>
次世代モニタリングシステム

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早川 泰弘(ハヤカワ ヤスヒロ) 上級研究員
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