矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

アナリストオピニオン
2016.06.23

「急成長するマルケト、成長の一因にLaunch Point」

sten、Learn、Speakをコンセプトとした製品

デジタルマーケティング、中でもMA(マーケティングオートメーション)市場が急速に伸長している。MAが有効なのはBtoCと考えられていたのは過去のことで、近年はBtoBの場面でも活用事例が増加基調にある。

MAサービスを手掛けるベンダーの中でも成長著しいのがマルケトである。同社が提供するサービスは全世界で4,500社以上が利用しており(2016年4月末現在)、企業規模、業種を問わず、現在も導入が加速している。同社のサービスが選ばれる理由には、革新的なプラットフォーム、マーケティングに関する深い知識、充実したエコシステムなどが考えられるが、BtoB/BtoCではなく、当該企業のビジネス特性にあったマーケティング、機能を提案していることも挙げられるだろう。

マルケトの日本法人の設立は2013年11月である(営業開始は2014年3月)。導入企業が増加基調にある点は日本市場においても同様だ。

マルケトの製品コンセプトは、複数の顧客接点を通じて顧客の声を傾聴すること(Listen)、顧客にとって最適なメッセージとタイミングを計画すること、効果測定を通じて継続的な改善を図ること(Learn)、一貫性あるメッセージを複数の顧客接点を通じて届けること(Speak)にある。そのため、同社のサービスは、顧客がどこにいても、興味や行動などのオンライン活動を捉えone to oneコミュニケーションを可能にし、顧客との持続的・長期的な関係を構築できる。

エコシステムの拡充

筆者は、マルケトの著しい成長の一要因は巧みなエコシステムの形成にあると考える。同社では、エコシステムをMarketo Launch Pointと呼ぶ。同社のエコシステムは、コンサルティング、コンテンツ制作、運用支援、アプリ開発など様々なベンダーとパートナーシップを締結・模索し、広がりを見せている。

Marketo Launch Pointの起源は2012年。2015年末には250を超えるマーケティングソリューションがマルケトとデータ連携を実現するにまで成長している。マーケティングテクノロジーは日々進化しており、個々の企業が全てを把握することは不可能である。そこでマルケトは、Launch Pointを顧客の課題解決を実現するソリューションとして、またパートナー企業のビジネスプラットフォームとして位置付けている。Launch Point企業は各分野で強みを持つ企業であると見受けられ、今後もこの方針で拡充が進むと見込む。

Launch Pointの日本における展開として、2つのパートナープログラムが挙げられる。ひとつがサービスパートナー、もうひとつがテクノロジーパートナーである。前者はビジネスコンサルティングやコンテンツ制作、マルケトの導入・運用・活用を支援する事業者が、後者は自社ソリューションを販売する事業者がパートナーとなっている。

マルケトは、日本におけるテクノロジーパートナー戦略として、グローバルで実績豊富な連携ソリューションを日本でも利用可能な状態にすることや、日本特有の顧客ニーズ(例えば名刺など)をBtoB/BtoCにおいて実現することを掲げている。

直近(国内)では、2016年4月にMarketo Launch Pointから提供されるサービスが発表された。国内最大級のオーディエンスデータを持つDMP(データマネジメントプラットフォーム)サービスを提供するインティメート・マージャーとの連携である。DMPは最近、広告配信以外のツールにも活用が広がりつつある。筆者はDMPが持つ可能性とマルケトが提供するサービスとの親和性の高さから当該連携につながったと見る。

この連携によりマルケトのMAはより精度が高く効率的なマーケティング施策を提供するソリューションになると考える。国内でのLaunch Pointはインティメート・マージャーが7社目だ。マルケトのソリューションとインティメート・メージャーのDMPが連携することで、ターゲットとなるセグメントを特定しながら、複数の有力な広告配信チャネルを活用した広告配信が可能となる他、インティメート・メージャーのDMPが管理するオーディエンスデータとマルケトが管理する顧客データベースをCookieによりマッチングすることで、個々の想定顧客(匿名のリードに対しても)がどの広告に接触しどのような行動を取ったかを分析できるようになる。連携発表時点で既に複数社が当該連携ソリューションを導入しており、個にフィットしたマーケティングを行いたい企業を中心に導入社数が膨らんでいくことが見込まれる。

最近ではパソナやライフネット生命保険への導入事例が紹介された。
パソナはきめ細かにパーソナライズされたメールなどの手段を駆使し、マーケティングの高度化を図り、顧客のニーズにいち早く対応することで顧客満足の最大化を図ろうとしている。他方、ライフネット生命保険はマーケティング施策の自動化と高度化が既に達成している。マルケトの国内導入事例、成功事例は今後ますますオープンになり、それとともに顧客数も拡大していくだろう。

またマルケトは、2016年5月にIBMでIBMアナリティクスプラットフォームの成功技術責任者を務めていたShankar Venkataraman氏をチーフサイエンティストに任命することを発表した。同氏は次世代プラットフォーム、アプリケーション、アナリティクス機能の設計・開発責任者となる予定のようだ。マルケトは、めまぐるしいスピードで進化するテクノロジーに対応するための大きな力を得たと言える。留まることを知らないマルケトの勢いがどこまで伸長していくのか、また日本にどのようなデジタルマーケティングの新風を呼び込んでくれるのか、期待したい。

小山 博子(コヤマ ヒロコ) 上級研究員
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