IoT/M2Mでは、ソリューションビジネスへの転換を伴いつつ、本格的に普及する兆しも出ている。
現状でも確実にIoT/M2Mマーケットが存在するのは、「製造設備の状態・稼働監視」「エレベータ/建機などの状態・稼働監視」「エネルギー設備の状態・稼働監視」「自動車の状態監視・運行監視」「業務用機器(自販機、MFP、医療機器など)の状態・稼働監視」「機械警備/セキュリティ」「インフラ設備の遠隔モニタリング)」などである。
この中で本命視されるカテゴリーはどこであろうか?
「製造/製品?」「自動車?」「スマートシティ?」「運輸・物流?」「建設?」「防犯・セキュリティ?」「流通・サービス?」・・・いろいろ考えられる。この命題を考える上で、IoTが生み出す価値、並びにその価値がどの分野・用途で有効であるかを整理してみる(下図参照)。
全体を俯瞰してみると、「製造/製品(大型機器)」及び「運輸・物流」におけるIoT普及可能性が高いと判断できる。
特に工場では、基本的に毎年の設備保全予算を用意しており、この部分をIoTシステム運用コストに転換することで、安定的にIoTシステムの維持管理が可能になると考える。つまり産業向けIoTの本命は、「製造/製品(工場)」になると考える。
尚、コネクテッドカーをIoT機器(デバイス)と考えると、「自動車」も本命の一つになる。
日本でも産業分野における5G活用が加速する見通しで、2020年代の中頃になると、既存4G/LTEや有線ネットワーク、無線LANなどの既存ネットワークを代替する形で、産業用「5G×IoTネットワーク」が普及してくると考える。
5Gに関しては現在、通信キャリアを中心にITベンダー/SIer、各種研究機関、ユーザ事業者などが連携して様々な実証を行っており、課題抽出や検証が進み、PoCに入る案件も少なくない。
しかし従来と変わらないモデル/価値であるならば、あえて5Gネットワークにする理由がない。むしろ信頼性やコスト面では、レガシーネットワークシステムに優位性がある。
このように考えると、IoTでの5G活用を促進する上では、既存の仕組みを上回る価値を創出することが必要であり、ある意味では「アイデア勝負」の部分がある。そうなると、既存ベンダーとは全く違ったレイヤーが登場する可能性がある。つまり「5G×IoT」は、IoTマーケット構造、特にベンダー構造を変革する可能性を秘めたテクノロジーと言える。
この点を背景に、現在、様々なベンチャー企業が5G系ソリューション開発に注力しており、数年先には、今とは全く違った景色になる可能性もあろう。(早川泰弘)
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