ここ数年での「M2M⇒IoT」シフトにより、展開領域に変化が起きている。中でも大きな変化は、従来の「機器・設備の稼働状況の把握/見える化」が、IoTシフトに伴い「データ収集/収集データの分析」に力点が移った点がある。
つまり従来の回線ビジネスから、ソリューションビジネスへのシフトが進み、一部では量を求めないビジネス構造に転換している。そのためIoTビジネスは、大企業ベースのM2Mから、中小・零細、個人事業者も対象となるビジネスになった。
さらに近年はIoTとM2Mの垣根が低くなり、M2MはIoTにおける主要要素の一つといった位置づけになっている。これに合わせてITベンダー/SIerや通信キャリアでは、M2Mの名称を冠した組織が消える傾向にある。
IoT社会の実現には、技術面や法規制・制度面などに加えて、社会的(人の意識)な面での変化も必須である。
現状では、社会や企業、個人がIoT社会(データが取られ、流通し、蓄積・分析される)を受容するか否か不明瞭である。例えば、自動車で注目される自動運転やコネクテッドカーでは、「人が運転しないことを社会が許容するのか」「運転情報が第三者に見られることを厭わないか」「商用車ドライバーが過剰管理と感じないか」などが問われてくる。さらに自動運転タクシーとなった場合は、運転手の雇用問題なども出てくるであろう。
この他にも、工場IoTでは「工場外に製造データを出したくない」「工場内では無線は使いたくない」といった意見も根強くある。また工場では、システム投資に数百万円~数千万円を投下することを許容するのかといった疑問もある。
IoT社会の実現には、このような社会的要因や社会の構成員である「人の意識」の変革も必要となってくる。IoTによる社会変化を受容し、IoTのイノベーションを実現していくためには、技術革新とともに社会制度の変革、さらには意識変革が必要であろう。言い換えれば、IoTの進歩と併せて社会の仕組み/人の意識を変革するアプローチも併用しないと、本当の意味でのIoT社会は到来しない。(早川泰弘)
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