矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2023.03.22

【アナリストオピニオン】組込み型保険の実現に向けた3つの構成要素と課題を乗り越えた際の未来②

構成要素ごとにさまざまな課題が山積

■API連携を巡る課題
さて、構成要素は徐々に揃ってきているものの、やはり課題も山積している。まずはAPI連携について、現状、生命保険会社の多くの基幹システムは、ライフネット生命などのようにオープン系システムをベースとしている生命保険会社を除き、依然としてIBMや日立製作所などによるCOBOLで構築したシステム(メインフレーム)が多くを占める。加えて、保険ごとに契約管理のシステムが異なっているため、各々にAPIを接続するか否かが問題となる。
また、データが分散しているうえ、コールセンターや営業など、部署ごとにマスターデータや管理番号が異なっている可能性もあり、APIの公開に関しては契約件数を多く抱える生命保険会社ほどAPIの効果に向けた対応は難しいものとなる。特に生命保険業界は、M&Aの歴史であるため、システムも複雑化(スパゲッティ化)しているため、オープンAPIへの対応には依然として高い障壁があることは確かであろう。

■データ活用を含めた保険商品の開発に係る課題
保険商品の開発においても課題は山積である。まずは保険商品の開発に係る事業者の側面からみてみたい。従来の保険商品は上述した通り、Excelをベースとした商品開発が行われており、データサイエンティストとの協業とはいうものの、言うは易し、行うは難しの言葉通り、文化も言語も違ううえ、今まで作ったことのない未知の商品である。
加えて、金融庁の認可が仮に通ったとした場合、同保険商品をシステムに登録、管理していくうえでは数億円程度のコストが生じる以上、売上げ見通しが立っている必要がある。このように少なくても文化や言語の問題、未知の商品に対する数億円程度のコストなどの課題を乗り越える必要がある。

また、保険商品を審査する金融庁の側面からもみてみよう。審査の過程においては責任準備金などの観点を含めたアクチュアリーによる審査が入る。詳細な審査基準は未詳であるものの、未知の商品に対する審査基準について従来の物差しで判断してよいのだろうかとの疑問が湧いてくる。保険会社側の創意工夫と併せて金融庁側の審査基準にも一定の変化や柔軟性が求められる可能性が出てくるであろう。

■金融サービス仲介業を巡る課題
金融サービス仲介業を巡る課題について、詳細は2022年7月4日のアナリストオピニオン(「現状3社に留まる金融サービス仲介業、今後の拡大可能性を考える」)に譲るとして、同オピニオンでも指摘したように制度面や商品面、流通チャネルなどの課題があり、今もって残っており、こうした課題を解決していくことが必要となる(山口泰裕)。

※全文は以下よりご覧いただけます。

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/373

山口 泰裕(ヤマグチ ヤスヒロ) 主任研究員
ITを通じてあらゆる業界が連携してきています。こうした中、有望な業界は?競合・協業しうる企業は?参入障壁は?・・・など戦略を策定、実行に移す上でさまざまな課題が出てきます。現場を回り実態を掴み、必要な情報のご提供や戦略策定のご支援をさせて頂きたいと思います。お気軽にお声掛け頂ければと思います。

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