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2017.04.14
堅調な成長を続けるクライアント運用管理ツール市場

矢野経済研究所では、次の調査要綱にて国内のクライアント運用管理ツール市場の調査を行った。

調査期間:
2016年12月~2017年3月
調査対象:
主要クライアント運用管理ツール提供事業者
調査方法:
直接面談を中心に、電話・メールを併用

 

ここでいうクライアント運用管理ツールとは、以下のものを指す。

  • 企業や組織内のパソコン環境をITインフラとして向上させるツール。
  • ネットワーク接続の設定やアプリケーションの導入、ウイルス定義ファイルやセキュリティ対策用のパッチ(修正ソフトウェア)の配布や操作検証なども含む。

 

IoT/ハイブリッドクラウドで導入拡大

IoTの進展に伴う管理デバイスの増加や、情報漏えいによる企業イメージダウンの防止、また企業や組織内のパソコン環境をITインフラとして適切に管理・運用したいという意向が高まっていることなどに伴い、2016年のクライアント運用管理ツールの市場規模は前年比8.0%増の427億7,000万円であったと推計する。

また、上記以外にもグローバル化や企業再編に伴うIT資産管理範囲の拡大といった問題が情報システム部門の担当者を悩ませており、効率的なIT資産管理に注目が集まっている。加えて最近はクラウド化の進展により、事業部門が独自にソフトウェアを導入/活用しているケースも多い。そのため、例えばソフトウェア資産の管理不足により、脆弱性のあるソフトウェアを検知できず、企業内部から情報漏えいし、企業に重大な損害を与えたという事例が増加基調にある。こうした損害を被らないための施策のひとつとしても、IT資産管理に対する需要が拡大している。

これまで日本企業は他国と比較し、IT資産管理に対する取組みが後れていると言われていた。しかしハイブリッドクラウドなどによるシステムの複雑化や企業内におけるスマートデバイスの急増による管理難易度の向上、サイバー犯罪対策などを契機とした企業のIT資産管理の課題に対する認知の高まりなどから、IT資産管理ツールは大企業だけでなく、中堅以下の企業においても導入が進み始めたことが、ライセンス数拡大に寄与している。そのため、同市場規模は2020年に574億円に達すると予測する。

【図表:クライアント運用管理市場規模(2015~2020年予測)】

図表:クライアント運用管理市場規模(2015〜2020年予測)

矢野経済研究所推計

注:CRGRは2015年からの平均成長率。
注:パッケージライセンス提供やSaaS型によるサービス提供などエンドユーザー支出額ベースで算出。

高まるセキュリティへの関心

この堅調な成長の一因にはセキュリティに対する関心の高まりも挙げられる。矢野経済研究所では、毎年、日本国内の民間企業に対し記名式郵送アンケート調査を行っている。その中で、「今後3年間におけるIT投資の目的」について質問した結果は下図に示す通りである(矢野経済研究所「国内企業のIT投資実態と予測2016」(2016年10月発刊)より一部抜粋。2016年調査の上位3項目(全18項目中)を掲載)。

「情報セキュリティの強化」は、2012年以降、回答割合を伸ばし続けており、2015年以降は50%以上の回答企業がIT投資の目的に挙げるようになった。セキュリティに対するユーザーの関心、投資意欲は年々高まっていると言える。

【図表:今後3年間におけるIT投資の目的(MA)2011~2016】

図表:今後3年間におけるIT投資の目的(MA)2011~2016

矢野経済研究所作成

クライアント運用管理とAI

セキュリティ市場の中でもホットと言われているのがサイバー犯罪対策である。中でも、最近は、多くの事業者がサイバー犯罪対策を行うにあたり、AIの活用を視野に入れている。クライアント運用管理市場も例外ではない。

同市場におけるAIの活用は二極化している。ひとつは侵入を完全に防ぐことは難しいが、そのかわり早期に発見し、被害を最小限に抑える活用、もうひとつは侵入そのものを防ぐ活用である。前者の例にはハンモックの「AssetView W」、後者の例にはエムオーテックスの「プロテクトキャット Powered by Cylance」が挙げられる。またNECも2015年に自己学習型システム異常検知技術を開発した旨を発表している。同技術は攻撃を受けたシステムの動作変化のみに基づいて、全く新しい攻撃への対策ができるというものである。エムオーテックスによると、プロテクトキャットのリリース後、大企業からの引き合い、契約がこれまで以上に増加しているとのことで、AI×サイバー犯罪対策がツール導入のきっかけのひとつになっていると推察する。

クライアント運用管理ツールは、サイバー犯罪対策以外のところでもAIの活用が検討されている。例えば、富士通は運用管理の面で同社の「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」を活用できる場面もあるのではないかと、Zinraiと Systemwalkerとのコラボレーション可能性を模索している。運用管理面ではシステムの複雑化に伴い自動化によるクオリティ及び効率の向上やコスト低減が期待されており、AIの力が求められている。運用の自動化は今後の同市場におけるキーワードのひとつである。リリースされれば市場成長の追い風になることは間違いないだろう。

 

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小山 博子(コヤマ ヒロコ)研究員

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