株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内広告主企業を対象に、生成AIおよびAI検索の普及がデジタル広告市場に与える影響について調査を実施した。本調査では、AI活用レベル別・広告予算規模別・業種別の分析を通じて、広告主の投資行動の変化や市場構造の再編動向を明らかにした。
【図表:デジタル広告運用における広告主のAI活用状況】
【図表:広告種類別の広告費配分の変化(過去/現在/今後)】
生成AIの急速な進展は、デジタル広告市場における業務プロセスおよび競争構造に大きな変化をもたらしている。テキスト・画像・動画の自動生成や高度なデータ分析、ターゲティング最適化の進展により、広告運用の生産性は大幅に向上し、AIは単なる効率化ツールから戦略インフラへと位置付けが変化している。本調査では、AI活用レベルと広告予算規模の二軸分析により、広告主が「AI先進・投資拡大型」「AI未活用・防御型」「中間層」に分化している実態が明らかとなった。AI先進層は効率化で生まれた余剰資源を成長領域へ再投資する一方、未活用層は慎重姿勢を維持し競争力低下のリスクを抱える。今後の市場は媒体間競争から、AI活用能力を軸とした競争へと再編が進み、AI格差が広告競争力の格差として顕在化する可能性が高いと考える。
■広告種類別の広告費配分の現状と変化(過去/現在/今後の見通し)
デジタル広告の媒体構成は、大きな構造転換というよりも、検索広告を中心とした安定構造を維持しながら、緩やかな再配分が進行している。検索広告は過去34.9%、現在33.7%、今後33.6%と約3分の1を占め、基盤媒体としての地位は今後も大きく変わらない見通しである。一方、SNS広告は14.3%から16.2%へ上昇し、今後も高水準を維持する見込みで、ショート動画や購買導線強化を背景に存在感を高めている。動画広告も生成AIによる制作効率化やCTV?(コネクテッドTV)の普及、ショート動画の成長を背景に需要拡大が期待される。一方で、ディスプレイ広告は相対的に低下傾向にある。全体としては、検索中心の構造を維持しつつ、SNS・動画など上流ファネルへの投資を強化する多層型構造へ移行しているとみられる。
生成AIおよびAI検索の普及により、デジタル広告市場は量的拡大よりも構造的再編の局面に入っている。今後は、検索広告、SNS広告、動画共有・配信系広告など、AIによる自動最適化やクリエイティブ量産、データ活用が可能となり、成果を可視化しやすい領域に投資が集中すると見込まれる。リテールメディアも高度なデータ活用能力を有する企業を中心に成長が期待される。一方、従来型ディスプレイ広告やネイティブ広告は相対的に優先度が低下する可能性が高い。市場は媒体間競争から、AIによる最適化が可能な領域同士の競争へと移行し、AI活用能力の差が企業間の競争力格差を左右する展開を予測する。
■レポートサマリー
●インターネット広告市場に関する調査を実施(2025年)
■アナリストオピニオン
●AIが変えるネット広告業界の未来、代理店に求められる新たな価値
■デイリーコラム
●【アナリスト便り】「2026 AI時代における広告主のデジタル広告運用に関する実態調査」」を発刊
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調査対象:デジタル広告を運用している国内広告主企業
調査期間:2025年11月~2026年2月
調査方法:Webアンケート調査ならびに文献調査併用
※デジタル広告運用に関するAI活用実態調査:デジタル広告を運用している国内広告主企業に勤務する21歳~69歳の男女のうち、企業内で「マーケティング/広告の戦略・企画」「デジタル広告の運用」「広告予算の意思決定(予算確定・承認)」「データ分析/CRM(顧客関係管理)/MA(Marketing Automation)」「経営・事業企画(デジタル広告に関与)」のいずれかの業務に従事している者を対象にWebアンケート調査を実施。
<市場に含まれる商品・サービス>
国内のデジタル広告市場(検索広告、ディスプレイ広告、SNS広告、動画広告、リテールメディア広告、ネイティブ広告・記事広告、アフィリエイト広告、その他
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