矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2025.08.22

コード決済市場に関する調査を実施(2025年)

コード決済市場規模は、2029年度には44兆円規模へ成長すると予測。オンラインサービスでのコード決済利用拡大に加え、新たな領域への進出も期待。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のコード決済市場を調査し、現況、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。

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【図表:国内コード決済市場規模推移・予測】

【グラフ:国内コード決済市場規模推移・予測】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:汎用型コード決済によるオフライン決済およびオンライン決済を対象とし、コード決済サービスを提供する事業者の決済取扱高ベースで算出している。
  • 注:2025年度は見込値、2026年度以降は予測値。

 

コード決済市場の概況

2024年度のコード決済市場規模は、コード決済サービスを提供する事業者の決済取扱高ベースで、前年度比123.9%の21兆4,544億円と推計し、2025年度には25兆円を超える規模まで拡大を見込む。

国内におけるコード決済は、多くのコード決済事業者が展開した大規模なキャッシュバック・ポイント還元キャンペーンやコロナ禍において現金のやりとりによる接触を避けるという機運の高まりにより、日常的な決済手段として消費者に定着して以降、拡大基調を継続している。当初は小売店や飲食店などの実店舗における対面決済での利用が主であったが、近年ではECサイトやモバイルオーダーをはじめとしたオンラインサービスにおいてもコード決済の導入が進み、利用が拡大している状況である。
また、「自動引き落とし」や「一部返金」といった新たな決済スキームの構築により、一定金額を継続して課金する方式やガソリンスタンドでの支払いなど、これまでコード決済の導入が困難であった領域へのサービス対応も進んでいる。

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コード決済市場の注目トピック

■給与デジタル払いの解禁、コード決済事業者の参入
従来、企業から従業員への給与支払は、通貨または金融機関の預金口座などへの振込に限定されていたが、2023年4月より施行された改正労働基準法により、厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座への資金移動による賃金支払(給与デジタル払い)が解禁された。2024年8月以降に複数のコード決済事業者が給与デジタル払いに対応する資金移動業者として指定を受けており、サービス展開の動きが本格化しつつある。

現在、サービスの本格展開が開始されてから間もないタイミングであるため、導入事例・利用実績は限定的であり、給与デジタル払いに関する認知を従業員に拡大するフェーズであると言える。しかし、参入事業者は給与デジタル払いの利用ニーズは今後拡大すると見込んでおり、給与をデジタルマネーで受け取るという習慣の定着が進めば、給与受取と紐づける形で従業員のコード決済サービス利用がさらに拡大することも期待される。

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コード決済市場の将来展望

コード決済は、オンライン決済のさらなる拡大や現在はコード決済が浸透していない取引領域への新規導入などを背景に拡大基調を継続し、2029年度のコード決済市場規模は44兆円を超える規模まで拡大すると予測する。

特にオンライン決済については、多くのコード決済事業者が重点領域として位置付けていることから、今後も様々なオンラインサービスへのコード決済の新規導入が進むと見込む。また、カード番号の盗用によるクレジットカードの不正利用が増加する中で、消費者がより安全性を感じられる決済手段としてコード決済を選択するケースが増える可能性もある。これらの要因から、オンライン決済での利用拡大がコード決済市場全体の成長を牽引すると考える。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • クレジットカード不正利用の被害額推移(2014~2024年)
  • 賃金のデジタル払いが認められる資金移動業者
  • コード決済市場規模推移(2020年度~2025年度見込)
  • コード決済市場予測(2024年度~2029年度予測)
  • 主要コード決済サービスの提供事業者・提供開始時期
  • 主要コード決済サービスのチャージ・支払方法
  • コード決済市場規模推移(2020年度~2025年度見込)
  • コード決済市場規模推移(オフ/オンライン内訳:2020年度~2025年度見込)
  • 主要コード決済サービスの取扱高推移(2020年度~025年度見込)
  • 主要コード決済サービスのシェア(2024年度)
  • 主要コード決済事業者の売上高推移
  • 主要コード決済事業者の営業利益推移
  • 主要コード決済サービスの会員数推移
  • 主要コード決済サービスの利用可能箇所数推移
  • 主要コード決済サービスの加盟店手数料
  • 主要コード決済事業者のビジネスモデル
  • 主要コード決済事業者の事業戦略
  • 主要コード決済事業者のユーザーの利用拡大に向けた取組み
  • 主要コード決済事業者の加盟店拡大に向けた取組み
  • 主要コード決済事業者のアプリの機能拡充に関する取組み
  • 主要コード決済事業者の他事業者との連携に関する取組み
  • 主要コード決済事業者のデータ活用に関する取組み
  • 主要コード決済事業者の不正利用対策に関する取組み
  • 主要コード決済事業者の課題
  • 主要コード決済事業者の展望
  • コード決済市場予測(2024年度~2029年度予測)
  • コード決済市場予測(オフ/オンライン内訳:2024年度~2029年度予測)
  • 給与デジタル払い導入に必要な事前準備
  • 給与デジタル払いを利用した支払スキーム
  • 指定資金移動業者およびサービス提供状況一覧
  • PayPay給与受取に対応している人事労務・給与管理システム事業者
  • マルチコード決済サービスの全体像
  • 主要マルチコード決済サービスの概要
  • マルチコード決済サービスの決済処理金額推移(2020年度~2025年度見込)
  • 主要事業者5社の売上高推移(2020年度~2025年度見込)
  • 主要マルチコード決済サービス事業者のビジネスモデル
  • 主要マルチコード決済サービス事業者の事業戦略
  • 主要マルチコード決済サービス事業者の次号実績(2024年度)
  • 主要マルチコード決済サービス事業者の加盟店拡大に向けた取組み
  • 主要マルチコード決済サービス事業者の課題
  • 主要マルチコード決済サービス事業者の展望

■コード決済事業者

  • PayPay
  • 楽天ペイメント
  • NTTドコモ
  • auペイメント
■マルチコード決済サービス事業者
  • キャナルペイメントサービス
  • インコム・ジャパン
  • ネットスターズ
■給与デジタル払い導入支援事業者
  • オービックビジネスコンサルタント

 

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関連リンク

■レポートサマリー
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■アナリストオピニオン
拡大なるか!給与デジタル払い

■デイリーコラム
【アナリスト便り】「2025年版 コード決済市場の実態と展望」を発刊

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調査要綱

調査対象:コード決済サービスを提供する事業者および関連事業者
調査期間:2025年5月~7月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用

※コード決済とは:本調査におけるコード決済とは、QRコード※※またはバーコードを媒体とし、店舗のレジでユーザーのスマートフォンに表示されたコードを読み取る、もしくは店頭に表示されているコードをユーザーが読み取ることで決済ができるサービスを指す。ただし、オンラインでの利用も進んでいることから、スマートフォンのコード決済アプリを経由したオンラインでの支払についても、本調査ではコード決済として扱う。
また、コード決済では利用可能な場所を特定の店舗に限定せず、より広範囲な利用を前提とした「汎用型」と、利用範囲を特定の店舗・チェーン店などに限定した「ハウス型」があるが、本調査では汎用型のコード決済サービスを対象としている。
※※「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

※コード決済市場とは:本調査におけるコード決済市場規模は、コード決済サービスを提供する事業者の決済取扱高ベースで算出している。

<市場に含まれる商品・サービス>
コード決済(QRコードまたはバーコードを媒体とした決済サービス、およびコード決済アプリを経由したオンラインでの決済サービス)

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都築 励(ツヅキ レイ) 研究員
ICT・金融分野は技術革新と規制の変化が絶えず、常に新しい可能性と課題が生まれる領域と感じています。調査を通じて最新かつ信頼性の高い情報を提供し、皆さまのビジネスにおける意思決定や課題解決をご支援できるよう、精進して参ります。

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