矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2024.05.23

自治体向けソリューション市場に関する調査を実施(2024年)

2023年度の自治体向けソリューション市場を7,733.7億円と予測。多くの基幹ベンダーが前年と比較して横ばい以上の売り上げを達成する見込みである。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の自治体向けソリューション市場を調査し、市場概況や将来展望、サービス提供事業者の動向などを明らかにした。

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【図表:自治体向けソリューション市場規模推移・予測】

【図表:自治体向けソリューション市場規模推移・予測】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:事業者売上高ベース。
  • 注:市場規模には、ハードウェアやソフトウェアの購入費、レンタル・リース料、保守・サービスサポート料、回線使用料、要員派遣費、アウトソーシング(BPOサービス)費などを含む。
  • 地方自治体側の費目でみると、機器購入費、情報システムの委託費、各種研修費用、アウトソーシング(BPOサービス)費などを含む。自治体職員の人件費、政府が自治体に交付する補助金、政府によるガバメントクラウドなどの調達費は含まない。
  • 注:2023年度以降予測値。

 

自治体向けソリューション市場の概況

2022年度の自治体向けソリューション市場規模は事業者売上高ベースで7,595億1,000万円、前年度比4.4%増と推計する。同年度は新型コロナウイルス感染症に関連する給付金事業の需要が市場を押し上げた。2023年度は横ばい程度の推移となり、前年度比1.8%増の7,733億7,000万円を予測する。2023年度は地方税共通納税システムの税目拡大、物価高騰による給付金対応などが発生したことで、多くの基幹ベンダーが前年と比較して横ばい以上の売上を達成する見込みである。また、窓口業務などのDXソリューションや業務効率化の実現を目的とした内部情報系システムのニーズが高まっている。

※内部情報系システムとは、財務・会計系、人事・給与系、庶務・事務系、文書管理系等に関するシステム全般をさす。

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自治体向けソリューション市場の注目トピック

■2024年度から基幹業務システムの標準化への移行が本格化
政府は自治体が抱えるコスト削減などを目的に2025年度末までに自治体の基幹業務(住民情報系)システムを統一・標準化し、デジタル庁が調達するガバメントクラウドで運用するという方針を決定している。現在、基幹ベンダーは期限までの移行に向けて多くの人的資源を投入して対応している。

​​2023年度は主に自治体との間で移行に向けた検証や運用テストなどを進める年になった。本格的な移行については2024年度から開始される予定である。ガバメントクラウドを活用した基幹業務システムの標準化対応は2025年度までの2年間で完了させなければならないが、ほとんどの自治体が2025年度中の移行を計画しているのが実態である。そのため、2024年度は標準化対応が市場に与える影響は小さく、2025年度にこれに対する特需が発生することが想定される。

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自治体向けソリューション市場の将来展望

標準化対応が落ち着く2026年度以降の動向は大きく2つある。1つは標準化への継続対応である。政府は2025年度までにシステムの移行が困難である自治体に対して、別途移行期限を設定することを認めるとした。基幹ベンダーは2026年度以降もこれらの自治体に対して移行支援を実施することになる。また、ガバメントクラウドで運用する以上、クラウドに適したシステムにしていかなければならない。こうした必要性から2026年度以降も標準化に関連した対応は継続して行われることが予想される。

もう1つの動向として挙げられるのがDXの推進である。自治体における職員減少は深刻な問題となっており、そうした中でも住民サービスを維持していくにはデジタルの活用は必須である。2026年度以降、標準化に集中していた人的資源はDXの推進に充てられることになる。

​こうした背景から、2026年度の自治体向けソリューション市場規模は特需が想定される2025年度と比べて、19.1%減と大きく減少することになるが、継続的な標準化への対応とDXソリューション推進など新たな事業の展開が開始されるため、2024年度の市場規模と比較しても縮小することはなく8,062億円になると予測する。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • 自治体向けソリューションの内容及び主要ベンダー
  • 自治体向けソリューション市場規模推移
  • 自治体向けソリューションにおける有力ベンダーの位置づけ
  • 自治体向けソリューションベンダー一覧/シェア(2022年度実績)
  • 標準化・共通化イメージ
  • 標準化対象業務
  • 標準化に向けたスケジュール(2023年9月時点)
  • 移行困難システムの把握に関する調査における調査結果の概要
  • バメントクラウドに採択されたサービス
  • ガバメントクラウド先行事業の採択団体と事業者
  • 2023年度ガバメントクラウド早期移行団体検証事業
  • ガバメントクラウドにおける共同利用方式の推進及び
  • 国・自治体を通じたDXの推進
  • 自治体におけるAI・RPA導入状況
  • 自治体におけるAI導入状況
  • 自治体におけるRPAの導入状況
  • 自治体のAIの導入状況 ~AIの機能別導入状況~
  • マイナンバーカードの団体区分別交付・保有枚数等について(2023年11月末)
  • マイナンバーカード交付率上位団体
  • 拡大するマイナンバーカード利活用シーン
  • マイナンバーカードの機能拡充における3本柱
  • デジタル田園都市国家構想交付金の予算推移
  • 2023年度デジタル田園都市国家構想交付金(デジタル実装タイプ)の概要
  • 2023年度デジタル田園都市国家構想交付金 デジタル実装タイプ交付決定結果
  • 2023年度デジタル実装タイプTYPE2/TYPE3
  • データ連携基盤一覧
  • 2023年度デジタル田園都市国家構想交付金
  • デジタル実装の優良事例を支えるサービス/システム
  • 建設後50年以上経過する社会資本
  • 公共事業費の推移(2004~2022年度)
  • 社会インフラでのIT活用の背景
  • 社会インフラ向けITソリューション市場規模推移(2018~2027年度予測)
  • 上下水道顧客管理システムにおけるシステムベンダー出現数
  • 月次のシステム運用コスト
  • 上下水道顧客管理システムシステム満足度
  • 次回更新時のリプレイス可能性
  • 水道事業の広域化について

■Gcomホールディングス株式会社

  • Gcomホールディングス住民情報ソリューションパッケージ「Acrocity」
  • 地方行政経営研究所の事業
■株式会社RKKCS
  • RKKCSの自治体向けソリューション
■株式会社TKC
  • 自治体向けに提供する主要なシステム・サービス全体図
■xID株式会社
■株式会社アイシーエス
  • アイシーエスの自治体向けソリューション
■株式会社ガバメイツ
  • 自治体DX支援プラットフォームのイメージ図
■株式会社グラファー
  • エンドツーエンドで提供されるGraffer Platform
■株式会社ジーシーシー
  • e-SUITE 住民情報システムラインアップ
  • e-SUITE 庶務事務システム 基本パッケージ・オプション機能
  • e-SUITE 人事給与システム 基本パッケージ・オプション機能
■トーテックアメニティ株式会社
  • 住民情報システム「G-COAS」のシステム概要
  • トーテックアメニティが提供する自治体向けソリューション
■株式会社トラストバンク
■日本電気株式会社(NEC)
  • 日本電気の自治体向けソリューション
■日本電子計算株式会社
  • 日本電子計算の自治体向けソリューション
■日立グループ
  • 日立グループの自治体向けソリューションの主な製品体系
  • 「CYDEEN」製品群
  • 日立グループにおける自治体DX取り組みテーマ及び重点取り組み事業
■富士通Japan株式会社
  • 富士通Japanの自治体向けソリューション

 

■三重県多気町

  • 三重広域連携モデルで展開されているサービス
  • 美村パスポートサービスのイメージ
■兵庫県姫路市
  • 姫路市がデジタル田園都市国家構想で取り組む6つの事業
  • マイナンバーカードによる姫路ライフ・スマート都市実装事業

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関連リンク

■アナリストオピニオン
行政コスト削減に向けて自治体クラウド導入が加速

■同カテゴリー
[ソフトウェア]カテゴリ コンテンツ一覧

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調査要綱

調査対象:自治体向けソリューションを提供するITベンダー 、自治体
調査期間: 2023年11月~2024年3月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mail等によるヒアリング調査および文献調査併用

※自治体向けソリューション市場とは:本調査における自治体向けソリューションとは、地方自治体で導入される情報システムを指す。市場規模には、ハードウェアやソフトウェアの購入費、レンタル・リース料、保守・サービスサポート料、回線使用料、要員派遣費、アウトソーシング(BPOサービス)費などを含む。
地方自治体側の費目でみると、機器購入費、情報システムの委託費、各種研修費用、アウトソーシング(BPOサービス)費などを含む。自治体職員の人件費、政府が自治体に交付する補助金、政府によるガバメントクラウドなどの調達費は含まない。

<市場に含まれる商品・サービス>
地方自治体向けの基幹系(住民情報系)ソリューション、内部情報系ソリューション、現場向けソリューション、自治体DX関連ソリューションなど

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