矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2023.09.06

自動車向けヴァーチャルキー(デジタルキー)市場の調査を実施(2023年)

2023年の国内市場における、バーチャルキー搭載自動車の出荷台数は207万4,500万台の見込み。電動化の加速とMaaSビジネスの拡大が今後の鍵に。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内及び世界の自動車向けヴァーチャルキー(デジタルキー)の動向を調査し、現況や各社の取り組み、将来展望を明らかにした。ここでは国内のヴァーチャルキー搭載自動車出荷台数を公表する。

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【図表:国内ヴァーチャルキー(デジタルキー)搭載自動車出荷台数推移】

国内ヴァーチャルキー(デジタルキー)搭載自動車出荷台数推移
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:搭載出荷台数ベース。
  • 注:対象車両は軽自動車を含む乗用車、およびトラック、バス以外の商用車とする。
  • 注:2023年見込値、2024年以降予測値。

 

自動車向けヴァーチャルキー市場の概況

世界の自動車市場では、急速に電動化が進み特に電気自動車(BEV)は中国を中心に欧米市場で普及し始めている。電動化と併せ、コネクテッド化も進んでおり、自動車メーカー各社は最新の車載インフォテインメント(情報・娯楽)システムを標準搭載し、その一環としてスマートフォンのアプリケーションを活用したコネクテッドサービスを開始した。こうした自動車のICT化に伴い、ヴァーチャルキーは緊急自動通報(eコール)をはじめとするコネクテッドサービスにパッケージ化され、組み込まれている。特に米国、EUにおいて緊急自動通報(eコール)が義務化されたのに伴い、ヴァーチャルキーの搭載ペースは加速している。

一方、日本市場は概してコネクテッドサービスの需要が少ない地域とされる。国土が狭く、命の危険に関わる辺地が少ないこと、車検制度の影響で車両コンディションは比較的良好に維持されていること、走行距離が比較的短いこと、故障に遭ってもディーラー網やロードサービスで対応できることが要因として挙げられ、国内市場においてコネクテッドサービス自体の導入、ヴァーチャルキーの導入、普及は海外市場と比較して遅れている傾向にある。
また、2019年以降にモデルチェンジした自動車の多くはコネクテッドサービスが進んでいるが、国内の自動車メーカー各社におけるヴァーチャルキーの搭載状況は様々である。

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自動車向けヴァーチャルキー市場の注目トピック

■UWB対応
2019年に大手スマートフォンメーカーの製品に超広帯域無線通信システムUWB(Ultra-Wide Band)が搭載されて以降、他メーカーの製品にもUWBが搭載され始めている。UWBは①高精度な位置測位、②高速データ通信、③高セキュリティ性(他通信との低干渉性)といった特長を持つことから、コネクテッドカーの世界標準化団体CCC(Car Connectivity Consortium)の最新規格デジタルキー3.0(3.0v1.1)では非接触型規格としてUWBとBLE(Bluetooth Low Energy)が追加されている。特にUWB採用により車両の盗難防止対策が強化された。2023年現在、コネクテッドサービスの通信システムとしてUWBの採用は一部のドイツ自動車メーカーに限定されているものの、セキュリティ性の高さから今後採用メーカーの拡大が期待される。

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自動車向けヴァーチャルキー市場の将来展望

2023年の国内市場におけるヴァーチャルキー搭載自動車出荷台数は207万4,500台の見込み、2027年には257万8,500台を予測する。

現下、国内需要はそれほど高くないものとみるが、米国、EU、中国を中心とする世界自動車市場におけるヴァーチャルキーを含むコネクテッドサービス採用の進展に伴い、国内の採用事例も増加傾向にある。ドイツ自動車メーカーの乗用車(輸入車)においてはすでにコネクテッドサービスが展開されており、こうしたコネクテッドカーの普及に併せて、国内市場においてもヴァーチャルキーの搭載が進むとみる。また、ヴァーチャルキーはMaaS(Mobility as a Service)ビジネスへの関心の高まりと5G(第五世代通信サービス)の導入が迫るなか、今後、レンタカーやカーシェアリングといったMaaSのプラットフォームとしての役割が期待される。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

■自動車市場

  • 主要市場別自動車販売台数
  • 世界のメーカー別自動車販売台数
  • EV市場別販売台数推移
  • 2022年 EV乗用車市場別販売台数構成比
  • 日本市場 乗用車・貨物車 販売台数実績
  • 日本市場 軽自動車 販売台数実績
  • 日本市場 輸入車 販売台数実績
  • 中国市場 自動車販売台数推移
  • 中国市場 2021年乗用車販売台数実績
  • 中国市場 メーカー別2021年乗用車販売台数実績シェア
  • EU市場 自動車販売台数実績
  • EU市場 市場別自動車販売台数実績
  • 米国市場 自動車販売台数実績
■携帯電話・スマートフォン市場
  • 世界携帯電話契約数、世界人口実績・予測
  • 市場別 携帯電話契約数実績・予測
  • 地域別 携帯電話契約数実績・予測
  • 2022年地域別携帯電話契約数見込シェア
  • 主要国における5G構築状況(2023年2月時点)
  • 通信システム別契約数実績/予測
  • 市場別 5G携帯電話契約数実績・予測
  • スマートフォン メーカー別出荷実績・予測
  • スマートフォン 地域別出荷実績・予測
  • 5Gスマートフォン メーカー別出荷実績・予測
■ウェアラブル・スマートウォッチ市場
  • ウェアラブルデバイス グローバル市場 出荷台数実績/予測
  • グローバル市場 スマートウォッチ メーカー別出荷台数実績・予測

 

  • 車載スマートロック・ヴァーチャルの定義
  • 車載スマートロック・ヴァーチャルキーの適用範囲
  • スマートフォン連携・コネクテッドサービスで利用可能となったアプリケーション
  • MaaS(Mobility as a Service)への対応
  • UWB搭載スマートフォン 世界市場出荷台数実績・予測
  • UWB搭載スマートウォッチ 世界市場出荷台数実績・予測
  • ヴァーチャルキー導入状況
    • 日本市場
    • 米国市場
    • 中国市場
    • EU市場
  • 主要自動車メーカーヴァーチャルキー導入状況
  • 自動車メーカー別ヴァーチャルキー展開状況
  • 国内メーカーのヴァーチャルキー取り組み状況
  • メーカー市場別コネクテッドサービス対応状況
    • トヨタ自動車
    • 日産自動車
    • 本田技研工業
    • マツダ
    • 三菱
    • SUBARU
    • ダイハツ
    • スズキ
  • 海外メーカーのヴァーチャルキー取り組み状況
  • ドイツメーカー4社 コネクテッドサービス対応状況
  • メーカー市場別コネクテッドサービス対応状況
    • Mercedes-Benz
    • BMW
    • VOLKSWAGEN
    • AUDI
    • VOLVO
    • GeneralMotors
    • HYUNDAI
  • ヴァーチャルキー 日本市場出荷台数実績・予測
  • ヴァーチャルキー 世界市場メーカー別出荷台数実績・予測
  • e-callサービスの構成
  • e-callサービス カテゴリ分類
  • e-call(衝突・転倒検出)システム概略
  • e-call対応スマートフォン メーカー別出荷台数推移
  • e-call対応スマートウォッチ メーカー別出荷台数推移
  • 主要メーカー対応状況
    • SAMSUNG
      • 地域別スマートフォン出荷台数
      • 製品カテゴリ別対応状況
      • 緊急通報サービス
    • Apple
      • 地域別スマートフォン出荷台数
      • カテゴリ別対応状況
      • アジア・パシフィック地域対応状況(14カ国・地域)
      • 北米地域対応状況(3カ国)
      • 欧州地域対応状況(46か国)
      • ラテンアメリカ対応地域(36か国)
      • アフリカ・中近東・インド地域対応状況
      • 衝突検出
    • Google
      • 地域別スマートフォン出荷台数
      • カテゴリ別対応状況
      • GooglePixelの緊急通報
  • iPhoneでの誤送信における注意喚起

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調査要綱

調査対象:自動車メーカー、IT関連企業、ODM(Original Design Manufacturing)/EMS(Electronics Manufacturing Service)企業、半導体メーカー等
調査期間:2023年4月~6月
調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail等によるヒアリング調査および文献調査併用

※自動車向けヴァーチャルキーとは:本調査における自動車向けヴァーチャルキーとは、スマートフォンのアプリケーションを自動車の鍵として利用するシステムで、車載機、サーバー、アプリケーションで構成され、「デジタルキー」とも呼称される。ドアの解錠・施錠、エンジンの始動・離れた場所からリモコンでのエンジンスタートや駐車場での自社位置把握が可能で、自動車メーカー純正の車載インフォテインメント(情報・娯楽)システムの一部に組み込まれ、緊急自動通報(eコール)をはじめとするコネクテッドサービスとしてパッケージ化されている。
なお、本調査における対象車両は軽自動車を含む乗用車、およびトラック、バス以外の商用車とする。

<市場に含まれる商品・サービス>
自動車(新車、カーエレクトロニクス機器)、通信・IT機器(スマートフォン)

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