株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、世界のテック企業のCASEカー戦略について調査し、2035年までの自動車産業の姿を予測した。ここでは、カメラを活用したDMS(ドライバーモニタリングシステム)搭載車の世界販売台数を予測し、公表する。
【図表:DMS(ドライバーモニタリングシステム)搭載車の世界販売台数予測】
CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)は自動車業界の新たな潮流であり、米国GAMAMや中国BATHなどのITベンダ、半導体メーカーなどのテック企業は、その技術力・資本力を持って、特にCASEのC(Connected)やA(Autonomous)、コックピット/HMI(ヒューマンマシンインターフェース)、車室内/DMS(ドライバーモニタリングシステム)など人間とのインターフェイス部分から自動車産業に参入しようとしている。とりわけ、カメラを活用したDMS、画像解析アプリ(ソフトウェア)においてテック企業は強みを発揮できる。
EU(欧州連合)では運転者を支援する安全機能の導入を2019年に定めており、2024年7月から新規登録される車両(乗用車、バス、バン、トラック)にさまざまな装置の搭載が義務化されている。それらの装置の中には、EDR※1、ISA※2、アルコールチェッカーが含まれる。日本においても、国土交通省は2022年7月からの新型モデルへのEDR搭載を義務化した。EDRやISA、アルコールチェッカーの3つの機能は、従来それぞれ単独のハードウェアで展開されてきた。だが今後はカメラを活用したDMSをハードウェアの核として、そこに3つの機能がアプリとして搭載されるようになるという。DMSは今後世界中で大きく普及が進むものと期待されており、世界のDMS搭載車両数は2022年の858万台から2035年には6,574万台に大きく拡大する見通しで、2035年の世界新車販売台数に占めるDMS搭載比率は63.6%になると予測する。
更に、DMSには「まぶた開閉計測による居眠り検知防止」「ドライバーの視線計測によるわき見運転防止」「ドライバーや同乗者の注意・集中度合いや認知負荷を計測」「虹彩認証」「静脈認証」などのアプリも追加されることが考えられる。「虹彩認証」は決済・セキュリティなど、また「静脈認証」は医療機関との連携などアウトカー領域(車外で使用される技術領域)のアプリも動く可能性があり、そこにはスマートフォン市場で経験と実績を積んだ世界中のテック企業(ITベンダ/Techベンダ)が参入してくる可能性が高い。
※1.EDR(イベントデータレコーダー);車両の衝突時に、直前と直後の瞬間の車両情報を記録する装置
※2.ISA(Intelligent Speed Assistance:自動速度制御装置);道路標識や地図などから法定制限速度の情報を自動車が通信によって得て、車内のディスプレイやモニターに表示し、先進運転支援システムと連動させてドライバーに速度超過を警告する装置
■テスラ 自動車ビジネスの特徴
テスラの自動車ビジネスは、単に高級なBEV(Battery Electric Vehicle:電気自動車)をネット通販するというレベルのものではない。下記のようなビジネスのハードルをひとつひとつ飛び越えてきたとともに、これまで存在しなかったビジネスモデルを新たに構築している。(カッコ内は関連するCASEの分野)
※3.IVI(In-vehicle infotainment);自動車内で、先進運転支援システムと連動させた速度超過などの警告「情報」、音楽や映像などの「娯楽」の両要素をドライバーへ提供する(一体化された)表示システム装置
■同カテゴリー
●[情報サービス/ソリューション]カテゴリ コンテンツ一覧
●[ネットビジネス]カテゴリ コンテンツ一覧
●[ソフトウェア]カテゴリ コンテンツ一覧
●[ITS]カテゴリ コンテンツ一覧
●[グローバル・海外]カテゴリ コンテンツ一覧
オリジナル情報が掲載されたショートレポートを1,000円でご利用いただけます!
調査対象:日本・欧州・米国・中国・アジア他のOEM・サプライヤ、ITベンダ、半導体メーカーなどのテック企業他
調査期間:2022年5月~9月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・eメールによる取材、当社DB等過去の調査データならびに文献調査併用
CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)は、自動車業界の新たな潮流であり、OEM(自動車メーカー)はそうした技術革新に則したさまざまなサービスを提供しようとしている。
一方、米国GAMAMや中国BATHなどのITベンダ、半導体メーカーなどのテック企業も、その技術力・資本力を持って、特にCASEのC(Connected)やA(Autonomous)、コックピット/HMI(ヒューマンマシンインターフェース)、車室内/DMS(ドライバーモニタリングシステム)など人間とのインターフェイス部分から自動車産業に参入しようとしている。更に、CASEのS(Shared)、MaaS等のアウトカーサービス領域、最後には走行制御にまで進もうとしている。
<市場に含まれる商品・サービス>
YanoICT(矢野経済研究所ICT・金融ユニット)は、お客様のご要望に合わせたオリジナル調査を無料でプランニングいたします。相談をご希望の方、ご興味をお持ちの方は、こちらからお問い合わせください。
YanoICTサイト全般に関するお問い合わせ、ご質問やご不明点がございましたら、こちらからお問い合わせください。