株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のスマートシティ市場を調査し、地方自治体及び参入企業の動向、将来展望を明らかにした。ここでは、自治体型スマートシティの2030年度までのロードマップについて、公表する。
【図表:自治体型スマートシティ市場のロードマップ】
政府が、2030年頃に実現される未来社会を先行実現するとして推進する「スーパーシティ構想」を契機として、地方自治体をフィールドとしたスマートシティ市場に大きな動きが生じている。本調査では、国内の自治体型スマートシティ市場のロードマップとして、IT活用戦略、スーパーシティ構想、分野間連携、実装と横展開の関係、事業規模(目安)の各項目について、2030年度までの動向を予測する。
短期(2022~2024年度)では、政府が推進するスーパーシティ構想の対象区域に指定された自治体で、先行事例の創出が進むと見込む。政府主導で規制改革や補助金による支援が行われ、AI・IoT・ビッグデータ分析など先端技術を活用したサービスの実装が始まるとともに、データ連携基盤(都市OS)の整備が行われる見込みである。スーパーシティ対象区域以外での取組みも行われ、スマートシティ市場は前進する。
中期(2025~2027年度)には、スーパーシティ構想の成果が公表されることで、近隣自治体や全国各地へ先端的なサービス導入事例の横展開が徐々に行われていく。この頃には、スマートシティを推進する自治体でのデータ連携基盤(都市OS)の整備が一般化すると予測する。また、データ連携基盤(都市OS)の活用により、複数分野を横断したデータの利活用によるソリューションの高度化が進むことが期待できる。
長期(2027~2030年度)においては、自治体が地域課題の解決や住民サービスの向上を図るために、IT技術を活用することが一般化する。民間事業者が先端的なサービスをパッケージ化することで、全国各地への横展開がしやすくなるためである。人口規模を問わず多くの自治体で、データ連携基盤(都市OS)の整備や先端的なサービスの実装が進むと予測する。
■自治体の取組みは進むものの、予算面が課題となる
スーパーシティの公募には、31の自治体(複数団体による共同提案は1団体とする)からスーパーシティ区域指定の提案があったが、政府は2021年8月に再提案を求め、2022年2月現在まだ採択されていない。この状況を受け、スーパーシティ構想に提案を行った自治体では、採択されるかどうかに関わらず、独自にITを活用した地域課題解決の施策を実施していく方針を打ち出している。
しかし、少子高齢化や地方の過疎化などにより自治体の財政が厳しさを増す中で、共通の課題となっているのは予算確保である。自治体においては、スマートシティを推進するための初期投資費用(イニシャルコスト)も、施策を継続的に進めるための運用費用(ランニングコスト)も、共に不足していることが多い。
また、スマートシティに関わる民間事業者側では、自治体の予算のみで事業を成立させることが難しいソリューション領域が多く、現状は実証実験を行いながらビジネスモデルを模索している段階である。マネタイズ手法を確立し、持続可能な事業に転換することが求められている。
■国内スマートシティ市場(自治体型)の現状と将来展望
■スーパーシティ構想の分野別施策計画
■スマートシティ事業の概要
■注力する領域・階層
■これまでの経緯と歴史
■秋田県仙北市
■株式会社ウフル
■レポートサマリー
●国内スマートシティ市場、都市OS実装エリア数を予測(2020年)
●自治体向けソリューション市場に関する調査を実施(2023年)
■同カテゴリー
●[ICT全般]カテゴリ コンテンツ一覧
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調査対象:地方自治体、スマートシティ関連ソリューション提供事業者
調査期間:2021年11月~2022年1月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用
※自治体型スマートシティ市場とは:本調査における自治体型スマートシティ市場とは、自治体をフィールドとしたスマートシティ(スーパーシティを含む)を対象とし、事業規模は設計、コンサルティング、データ連携基板、都市OS、通信インフラ、各種の先端技術を活用したソリューション等から算出した。但し、民間事業者を主体とするスマートシティを含まない。
<市場に含まれる商品・サービス>
スマートシティ(スーパーシティを含む)の設計、コンサルティング、データ連携基盤、都市OS、通信インフラ、移動・物流・支払い・行政・医療/介護・エネルギー・防災・観光Iなどの領域においてIoT・AI・ビッグデータ分析などの先端技術を活用したソリューション
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