び360°動画市場を調査し、地域別世界市場、HMD製品出荷状況などXR・360°動画市場の将来展望を明らかにした。
ここでは、XR(VR/AR/MR)・360°動画対応のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)の国内出荷台数予測を公表する。
【図表:XR(VR/AR/MR)・360°動画対応のHMD機器国内出荷台数予測】
【図表:カテゴリ別 HMD機器国内出荷台数予測】
2016年以降、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を使用したVR(Virtual Reality;仮想現実)市場は急速な盛り上がりを見せた。既にスマートフォンの市場が確立されていたこともあり、スマートフォンをVRに活用する動きがみられたが、現在はスタンドアローン型の専用HMDを使用するのが一般的である。
一方、AR(Augmented Reality;拡張現実)についても同時期にスマホゲーム「Pokemon GO(ポケモン GO)」が流行した。一度はブームが下火となったARだが、「Pokemon GO(ポケモン GO)」の世界的成功により再びARが脚光を集める事となった。また、写真投稿サイト「Instagram(インスタグラム)」が世界的に普及し、360°パノラマで撮影した作品(コンテンツ)が数多く投稿されている。
更にVRとARの特性を組み合わせたMR(Mixed Reality;複合現実)も導入されており、(米)Microsoftはハードウェア・ソフトウェア両面の開発で主導しており、主に法人市場に導入が進んでいる。
現在HMD市場はVR向けが大半を占めており、2020年の国内に於けるHMD機器出荷台数は73万台の見込みである。
■HMD製品カテゴリ別動向
2018年にスタンドアローン型HMDとして(米)Oculusの「OculusGo(オキュラスゴー) 」が、2019年には6DoF(3次元トラッキング)に対応した後継モデル「OculusQuest(オキュラスクエスト)」が発売されて世界的なヒットとなり、HMD市場はスタンドアローン型が中心となって普及してきた。
一方、スマートフォンにVRアプリをダウンロードして使用するスマホ装着型HMDは、(米)Googleに続き、スマホ端末メーカーが市場から撤退した結果、市場全体は縮小に転じた。しかし、スタンドアローン型HMD向けのチップセットが開発され、2021年以降は中国のスマホメーカーを中心として導入が期待される。
また、PCに接続が必要なフルスペック機は縮小傾向にある中で、スタンドアローン型製品の一部にはフルスペック型の機能を併せ持つ製品が登場しており、同市場を補完している。
ゲームコンソールについては、主な対応製品であるSONYの「PlayStationVR」の状況に依るところが大きい。ハードウェアとしては2020年に新型機「PlayStation5」が登場したが、既存製品も引き続き使用可能となっている。また、「PlayStationVR」は値下げするなど普及への取り組みが進んでいるものの、VR対応の新作ゲームのリリースは鈍化傾向にある。
2020年から5G(第5世代移動体通信サービス)が導入され、国内でも商用サービスが開始された。2021年現在、5Gに対応するスマートフォン製品は増加しているものの、エリア展開や、5Gの本命とされるミリ波・sub6の周波数帯に対応したサービスの本格導入には暫く時間が掛かる見通しである。
ハードウェア市場については、現在「OculusQuest2(オキュラスクエスト2)」が市場を牽引しているが、同製品以外に有力な製品が存在しないのが実情である。
今後の国内HMD市場では、スタンドアローン型でセルラー機能搭載製品の導入に加え、ゲームコンソールでの次世代対応が待たれる状況にある。また、大手スマホメーカーの新規参入が噂されているものの、HMD市場に再び脚光が集まるには、2022年以降迄待たねばならない。
■レポートサマリー
●XR(VR/AR/MR)対応HMD・スマートグラス市場に関する調査を実施(2023年)
■アナリストオピニオン
●スマートグラスは普及するか?
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調査対象:国内外HMDメーカー、XRコンテンツ開発企業、半導体メーカー、ODM/EMS、アミューズメント企業等
調査期間:2020年9月~2021年1月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、メールによる調査、ならびに文献調査併用
※XR・360°動画市場とは:本調査におけるXR・360°動画市場とは、VR(Virtual Reality;仮想現実)やAR(Augmented Reality;拡張現実)、MR(Mixed Reality;複合現実)、360°動画(視聴者が操作すると360°全方位を見渡せる動画)のハードウェア、ソフトウェア、関連サービスを対象とした。
VRは、「人間の感覚器官に働きかけ、現実のように感じられる環境を人工的に作り出す技術の総称」とされ、頭部に装着するヘッドマウントディスプレイ(HDM)に3次元空間内に利用者の身体を投影し、ヴァーチャル空間への没入感を発生させる。VR空間内では視聴者自身は移動や行動が可能で、視聴者同士の対話性・双方向性も備えており、情報伝達はディスプレイ・スピーカー、ヘッドフォンを用いた視聴覚に加え、体や手へ振動・触覚・圧迫感を伝達する仕組みが実用化されている。VRは「人工的に生成した空間」で運用されるが、「現実の光景や音声」を組み合わせて運用する「テレイグジステンス」(telexistence)・「テレプレゼンス」(telepresence)技術によって運用するAR(Augmented Reality)、MR(Mixed Reality)が存在する。ARでは透過型デバイス(スマートグラス)を使用し、現実世界に投影するのに対し、MRではHMDを使用し投影する対象物に対し、背景は現実世界の映像を使用する。
<市場に含まれる商品・サービス>
VR、AR、MR、360°動画、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)、スマートグラス、360°カメラ
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