矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2020.11.09

位置・地図情報関連市場に関する調査を実施(2020年)

屋外位置情報や地図情報を活用したビジネスの市場規模は、2025年には1,900億円に達すると予測。2020年度は伸び率こそ下落するものの、各品目とも底堅く推移する見通し。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の(屋外)位置情報 / 地図情報活用ビジネスの市場を調査し、品目別の市場動向、市場規模推移・予測、事業者のシェア、技術動向、将来展望を明らかにした。

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【図表:国内位置・地図情報関連市場規模推移と予測】

図表:国内位置・地図情報関連市場規模推移と予測
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:事業者売上高ベース
  • 注:2020年度以降は予測値
  • 注:①地図DB、②GISエンジン、各種のGISアプリケーション(③交通関連位置情報アプリ、④店舗開発・位置情報広告、⑤スポット店舗情報・クーポン・チェックイン、⑥位置ゲームアプリ、⑦IoT位置情報アプリ、⑧配送/物流関連位置情報アプリ、⑨産業系位置情報アプリ、⑩インフラ整備向け位置情報アプリ、⑪渋滞対策位置情報アプリ、⑫防災対策位置情報アプリ)を対象として、市場規模を算出した。

位置・地図情報関連市場の概況

2020年度の国内位置・地図情報関連市場規模(事業者売上高ベース)を前年度比102.2%の1,527億円と予測する。2020年度は伸び率こそ下落するものの、各品目とも底堅く推移する見通しで、市場は2021年度以降は回復を見込む。2017年度から2025年度までのCAGR(年平均成長率)は6.3%となり、2025年の位置・地図情報関連市場規模は1,906億円に到達すると予測する。

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位置・地図情報関連市場の注目トピック

■コロナウイルス感染症対策として、世界で活用進む位置情報モニタリング
2020年初頭から流行した新型コロナウイルス感染症患者を追跡するツールとして、世界各国は顔認証から位置情報のモニタリングに至る監視テクノロジーの実験・導入に踏み切った。
日本政府も、2020年4月から感染リスクを高める濃厚接触の発生頻度を数値モデル化するプロジェクトに着手している。経済活動をゆるやかに再開させた後も、リアルタイムの人流データなどから感染拡大の予兆をいち早くつかむためである。感染拡大の予兆を捉えて、第2波、第3波を防ぐ政策判断に生かせるという狙いだという。

こうしたことから、「感染症対策として位置情報は役に立つ」ことが世界中で再認識された模様で、とくに「誰と誰がいつ、どこで出会ったか」ということは非常に重要なデータであることがわかった。これを正しく認知できると「接触を避ける」ことができることがはっきりした。今後、世界で感染症拡大防止策として、位置情報はさらに活用が進んでいくものと思われる。但し、その一方で個人のプライバシーをいかに確保するかも問題となっている。コロナウイルス対策位置情報アプリ事業に着手している具体的なプレーヤとしては、国内ではマルティスープ、NTTドコモ、ソフトバンク/Agoop、KDDI/技研商事インターナショナルなどが、海外ではNiantic、Rambit、アップル、グーグルなどが挙げられる。

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位置・地図情報関連市場の将来展望

近年、国内位置・地図情報市場においてGAFA、特にグーグルの影響力が強まってきた。グーグルの提供する位置・地図情報(グーグルマップ)と様々なアプリは、スマートフォンの性能や機能が発達し価格が手頃になるに従い、普及が促進されていった。 10数万円のカーナビ用地図DBは数年単位で有料の地図更新が行われるだけだが、一方で、スマートフォンの位置・地図情報アプリは無料で提供され、日々更新される。利用者の選択は自ずと後者に傾くことになる。

こうした状況下において、日本企業が位置・地図情報ビジネスでサバイバルしていくためには、①グーグルのプラットフォームにうまく乗ってアプリを作るか、②グーグルの捨てた部分もしくはグーグルがやりきれない部分のビジネスをやっていくか、③他社との提携により、動態解析などの分析機能を強化した形のサービスにするか、④グーグルの得意なスマホ分野でなく、日本企業の得意な分野(例えば自動車、ウォッチ、建設機械、農業機械など)でいくか、などの方法が考えられる。 日本企業において位置・地図情報関連市場は、GAFAを脅威に感じながらも、GAFA、特にグーグルと共生し、また日本独自の強みを利かしながら、やがて来る世界での競争に挑んでいくためのものと考える。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • 位置情報/地図情報活用ビジネスの業界構造
  • 地図位置情報サービス市場構造
  • 2016位置情報/地図情報活用ビジネスの分類と説明
  • 位置/地図情報2020の市場構造
  • 日本の強みはどこか
  • GAFAに対抗して、日本企業が狙う分野
  • 『Connected Industries』の5つの重点取組分野
  • 位置/地図情報市場2020の競争分野
  • GAFAとレガシーなGISベンダとの競合状況
  • 位置情報/地図情報活用ビジネスの需要分野
  • 位置・地図情報関連アプリ分類別市場規模推移(2017~25年度,金額ベース)
  • 地図DBの企業別市場規模推移予測(2017~25年度,金額ベース)
  • 地図DB分野別にみたWeb地図への置き換え
  • カーナビ(据付ナビ 純正/市販)向けの地図DB流通経路
  • カーナビ(据付ナビ 純正/市販)における地図DBベンダの採用状況
  • GIS分野におけるデジタル地図の流通経路
  • Webサイト/ケータイサイトにおけるデジタル地図の流通経路
  • GISエンジンの企業別市場規模推移予測(2017~25年度,金額ベース)
  • GISエンジン需要分野別市場内訳(2020年度,金額ベース)
  • 位置情報/地図情報活用ビジネスのアプリ分野
  • 交通関連のアプリ市場規模・メーカーシェア推移(2017~25年度)
  • 位置情報に関わるデータ4種類
  • 店舗関連の位置情報サービスのアプリ市場規模推移(2017~25年度)
  • 店舗関連の位置情報サービス関連企業と各社の特徴
  • 新しい来店ユーザ数の割り出し
  • Web→Web/リアル→リアルの広告比較
  • ターゲティング広告の進化と来店確率の上昇
  • モバイル空間統計の特徴と活用事例
  • 位置ゲームサービスのアプリ市場規模推移(2017~25年度,国内)
  • IoTの位置情報アプリ市場規模推移(2017~25年度,国内)
  • 配送/物流の位置情報アプリ市場規模推移(2017~25年度,国内)
  • 産業系位置情報アプリ市場規模推移(2017~25年度,国内)
  • インフラ整備向けの位置情報アプリ市場規模・メーカーシェア推移(2017~25年度)
  • 渋滞対策(スマートシティ/都市計画)備向け位置情報アプリ市場推移(2017~25年度)
  • 都市(物理空間)におけるレイヤ
  • 防災分野の位置/地図情報アプリ市場推移(2017~25年度)
  • アジアでの位置情報システム・アプリ概念図
  • 位置情報に関わるデータ4種類
  • 位置情報ビジネスに関わるデータ4種類
  • キャリア系2社の位置情報
  • ジオオーディエンス広告事業の概念
  • 国内の災害、及び社会環境と、データの利活用方法、データの特徴
  • 国内・海外のコロナウイルス対策位置情報アプリ
  • 世界の衛星測位システム比較表
  • 準天頂衛星システムみちびきの歴史
  • 準天頂衛星システムみちびきの構成
  • 準天頂衛星システムのサービス
  • 衛星測位のしくみ
  • サブメータ級測位補強サービス活用端末一覧
  • センチメータ級測位補強サービス活用端末一覧
  • 災害・危機管理通報サービス活用端末一覧
  • メッセージサービス(災害危機管理通報サービス)
  • メッセージサービス(安否確認サービス)
  • みちびき対応端末製品一覧
  • 準天頂衛星のロードマップ
  • 準天頂衛星みちびき活用アプリ一覧表(2018年時点。業界人の意見から)
  • 準天頂の民間利用実験
  • 世界の主要なHD-MAP開発企業の最新動向(開発・提携)
  • 欧州eHorizonの概念図
  • 自動車(OEM)別クラウド(ディープラーニング)提供・運用企業
  • Google Maps API for Business導入事例
  • インフォマティクスの製品の特長
  • インフォマティクスの製品ラインナップ
  • 技研商事の考える民間企業向けGISエンジンの需要分野
  • 技研商事のデータ作成手順(主成分分析)
  • マーケティングに必要なすべての機能をカバーして一連のサイクルを提供
  • ナビタイムジャパンの交通ビッグデータを活用した案件の代表事例
  • 流動人口データ活用メニュー
  • Agoopのリアル行動解析を活用した広告事業のPDCAサイクル
  • コロプラの位置情報ビッグデータ活用の変遷
  • コロプラの位置情報ビッグデータ加工
  • コロプラの性年齢属性付で移動軌跡が追える位置情報ビッグデータ
  • コロプラのプライバシー保護の取組み
  • 位置情報ビッグデータ観光動態調査
  • 観光客の旅行消費額を増やすヒントとなる調査
  • Air TRACKの需要分野別/分析の狙い
  • トヨタのeパレットの事業モデル
  • モバイル空間統計と他データとの比較表
  • モバイル空間統計の需要分析別特徴
  • 人口流動統計
  • AO(AudienceOne)のビジネスモデル概要
  • 『プロファイルパスポート』位置情報を活用したソリューション
  • ブログウォッチャーのリアル行動プロファイリング
  • プロファイルパスポートSDK
  • プロファイルパスポートAD
  • プロファイルパスポートDMP
  • GeoFlow

■位置情報/地図情報活用ビジネス参入企業213社とアプリ一覧

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関連リンク

■アナリストオピニオン
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調査要綱

調査対象:国内の位置情報 / 地図情報活用ビジネス事業者等
調査期間:2020年4月~9月
調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・eメールによる取材、ならびに当社DB調査・各種文献調査併用

※位置・地図情報関連市場とは:本調査における位置・地図情報関連市場とは、デジタル地図(電子地図)DB、GISエンジン、各種のGISアプリケーションを利用したサービスを対象として、事業者売上高ベースで算出した。

<市場に含まれる商品・サービス>
①地図DB、②GISエンジン、③交通関連位置情報アプリ(ナビ・旅行・観光インバウンド等)、④店舗開発・位置情報広告、⑤スポット店舗情報・クーポン・チェックイン、⑥位置ゲームアプリ、⑦IoT位置情報アプリ(見守り・ヘルスケアなど)、⑧配送/物流関連位置情報アプリ(スマホによる配車管理など)、⑨産業系位置情報アプリ(建機・農機など)、⑩インフラ整備向け位置情報プリ(道路・河川・トンネル・橋・電柱などのメンテナンス等)、⑪渋滞対策位置情報アプリ(スマートシティ/都市計画向け)、⑫防災対策位置情報アプリ

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