矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

アナリストオピニオン
2017.03.14

Stripeの日本展開の本格化

Stripeの概要

Stripeは、数行のコードを埋め込むだけでウェブサイト上での決済を可能にするサービスを提供しているオンライン決済サービスプロバイダーである。
同社は、パトリック・コリソン氏らにより2010年に設立され、イーロン・マスク氏や有力ベンチャーキャピタルのSequoia Capitalなどが投資している。AppleにApple Payのローンチパートナーとして選ばれたほか、選挙資金集めのプラットフォームとして、ヒラリー・クリントンをはじめとした大統領候補にも利用されている。アメリカの大統領選においては、どちらが早く最先端の技術を取り入れて、効果的に資金を集めるかも重要な要素となっており、積極的にStripeの技術を採用する傾向にある。 2014年6月に、日本法人「ストライプジャパン株式会社」を設立し、2016年10月に日本でのサービスを本格的に展開している。日本においては、三井住友カードと連携し、これから成長が期待できるECサイト運営事業者の早期取込み等を目指していくとしている。

特徴・強み

特徴・強みとしては、高度な不正利用対策、高度な加盟店審査のノウハウを有している点があげられる。

①高度な不正利用対策
日本においては、不正利用対策に強みを持つ決済サービスプロバイダーは少なく、特に海外まで含めると不正利用対策への難易度が上がる。同社は、不正利用対策のスキームを自社で有している点に大きな強みがある。

②加盟店審査のノウハウ
同社は、審査に関しても高度なノウハウを有しており、包括加盟店契約を結ぶことで、加盟店審査を代行して行っている。

事業方針

日本においては、三井住友カードと連携しながら、オンライン決済を中心に事業を拡大していく方針である。
同社は、インターネットサービス全体のGDPを拡大することに主眼を置いている。
ECはロングテールに広がっており、CtoC向けのプロダクトに加え、多通貨決済や不正防止ツールなどを機能に組み込むことで、プロダクトの魅力を高めていく。それにより、優良なスタートアップが、いち早く表舞台に立てるようにしていく。
また、プロダクトの強みがStripeの生命線であると考えており、現時点では存在していない次のコマースの形を見通しながら、サービス開発を強化していくとしている。

プロダクトに関する状況

2016年10月に、多通貨決済をサービスラインナップに追加し、本格的に展開している。
また、同社は、既にサービスを提供している計25カ国において、ある1ヶ国で開発したマーケットプレイスに対して、現地法人を設立することなく25ヶ国どこでも出店者の登録ができ、あらゆる国の消費者からの決済(130以上の現地通貨での決済にも対応)を容易に受け付けられるサービス「Stripe Connect」を提供している。
加えて、「Stripe Checkout」において、トークナイゼーションの技術をいち早く採用し、業界に先駆けた不正利用対策を講じてきた。将来的に標準になる最先端の技術をいち早く開発し、市場に投入することができる点も、同社の大きな強みである。また、トークナイゼーションを加盟店のニーズに合わせた形で、フレキシブルに設計することができる点も、同社の特徴の一つである。加えて、12か国の言語に対応し、AlipayやBitcoinにも対応している。
さらに、不正利用のパターンを全て機械学習し、ルール化することが可能な不正防止策「Radar」をグローバルレベルで展開している。日本は海外カードに関する取引データが少ないため、不正利用対策が難しい状況である。グローバル企業のデータを活かしていくことが大切となる。
その他では、米国における法人の設立や銀行口座開設を米国に訪問することなく可能にし、インターネットビジネスを世界のどこからでも始めることが出来るサービス「Atlas」を提供することで、優良なスタートアップのアメリカ展開を支援している。

今後の展開

今後の展開としては下記のようなものがあげられる。

①グローバルカバレッジの拡大
Stripeがサポートしている国を現在の25カ国から、さらに拡大していく。グローバルレベルでの規模の拡大に取組んでいる。
②スケールの拡大
決済プラットフォームを提供していく以上、持続可能な成長が必要である。そのためにも、国内のEC市場全体のパイを拡大し、スケールメリットを追求していくことが重要であると考えている。
③機能の拡充
顧客からの要望(例えば、銀行振込への対応)を一般化し、機能強化を図ることが今後の重要な取組みとなる。

決済分野においても、日本市場へのローカライズがうまくいかない外資系参入企業が多い中で、Stripeが日本において、どこまでプレゼンスを高めていくかに注目していきたい。

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