矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

アナリストオピニオン
2014.02.17

ビッグデータ 3つの発展段階 ~Analytics for Everyoneへ~

いずれは“誰もがデータ分析する時代”へ

ビッグデータといえば“大量データ”に目が向きがちであり、多くの解説書は年々増え行くデータ量の視点で時系列に紹介することが多い。そのこと自体に全く異論はないが、本稿では、ビッグデータのもうひとつの本質、“データ分析”を軸に、ビッグデータ時代の背景をまとめてみたい。

最初に結論からいえば、そこに見えてくるのは、データ分析を取り囲む環境の変化と、変化に対する対応による時代の転換である。矢野経済研究所では、ビッグデータアナリティクス市場における重要な変化を、時間軸に沿って下記の3段階に整理した。

具体的には、「Data Analytics(従来型データ分析)」⇒「BigData Analytics(ビッグデータ時代のデータ分析)」⇒「Analytics for Everyone(将来のデータ分析)」という流れになると考えている。

【図表】ビッグデータアナリティクスの3段階(概要)
【図表】ビッグデータアナリティクスの3段階(概要)

矢野経済研究所作成

ビッグデータアナリティクス市場の発展経緯

1)従来のデータ分析
データ分析という視点からみれば、当然ながら、ビッグデータという言葉が登場する以前から行われている。そこでの主要プレイヤーは統計解析の知見を持つ専門家であり、伝統的にはSPSSやSASといったソフトウェアが有名だ。
統計解析は、医薬をはじめ、品質管理などさまざまな分野で取り組みがなされてきた。大きく発展を遂げたものに、推測統計学がある。母集団から抽出した標本を調べることで、母集団全体を推論しようというものだ。全数調査を不要にしたことにより、統計に関わるコストを大幅に削減することができた。
しかし、逆を言えば、仮に膨大な量のデータを活用しようとすれば、その処理にはコスト・時間の両面で、高額な負担が必要になる時代でもあった。いわばデータ分析のツールがボトルネックになっていた時代といえるだろう。

2)ビッグデータ時代のデータ分析
そうした中、インターネットを主軸として、データ量は爆発的に増加、データの種類も多様化するようになった。ホームページをクリックする動きは逐一記録することができ、詳細なデータが容易に入手できるようになった。但し、データが詳細になればなるほどデータ量も増加する。
そうした環境変化に対し、Hadoopなど分散処理技術が登場し、対応できるようになってきた。あわせてハードウェアも高機能化・低価格化が進行し、それらのデータを容易かつ安価に解析できるようになってきた。
つまり、データの量的・質的変化に対し、データ分析を支える技術の進展によりデータ分析に係るツールのボトルネックが解消したといえる。
これが今日現在、我々がいる時代であり、いわゆるビッグデータ時代と呼ばれている。

しかし、ツールが充実することにより、今度は新たなボトルネックを生み出した。それはデータサイエンティストと言われる人材の不足である。データサイエンティストは、統計解析やIT、実務の能力を備え、ビッグデータ解析において中心的な役割を担う人物を指している。
ビッグデータアナリティクスが現実性を帯びてくるに伴い、需要が急増しているが、今度は、新たなツールを使い、現実のデータを分析し、それを経営に役立たせる人材がいないということである

3)将来のデータ分析
この「データサイエンティスト不足」というボトルネックだが、矢野経済研究所では、いずれは解消されると予測する。その源はITの発達である。機械学習などのデータ解析技術が高度化し、高機能で操作性の良い解析ツールが普及すれば、現在データサイエンティストが行っているデータの特徴や相関を分析したり、データの精査(クレンジング)などの作業を自動化することができる。
いずれは統計解析やITの知識がないマーケティング担当者でも、基本的なビッグデータ分析が行えるようになるだろう。

一方、データサイエンティストの需要がなくなるわけではない。より豊かで満足度の高い社会を築くためにビッグデータをどう活用するか、より専門的な知見と洞察力が求められるだろう。将来はセンサーデバイスなどから、真に大量のデータが沸き起こることになろう。どのデータをどのような目的で活用するのか、データサイエンティストの手腕が試される。

その先にあるのは「データ駆動型経済」である。これまでのモノ・サービスに加えて、データが資源として活用され、経済をけん引し、ナレッジや付加価値を創出する経済である。

中長期的な視野に立てば、まだ我々はビッグデータ時代の入り口にわずかに足を踏み入れたに過ぎないといえるだろう。

【図表】データ分析の進化と未来像
【図表】データ分析の進化と未来像

矢野経済研究所作成

関連リンク

■レポートサマリ
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