矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2023.07.28

データ分析関連人材規模に関する調査を実施(2023年)

国内データ分析関連人材は、2025年度には176,300に達すると予測。ジョブ型採用への移行や研修プログラムの急ピッチな整備が続き、データ分析人材の育成が進む。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内データ分析関連人材規模を調査し、採用や研修、育成方法などの現況や職種別の動向、および将来展望を明らかにした。

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【図表:国内データ分析関連人材規模予測】

【図表:国内データ分析関連人材規模予測】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:人数ベース
  • 注:データ分析関連人材規模は、①分析コンサルタント、②データサイエンティスト、③プロジェクトマネージャーの4人材の合算値
  • 注:2023年度以降は予測値

 

データ分析関連人材規模の概況

現在、データ分析関連人材(分析コンサルタント、データサイエンティスト、分析アーキテクト、プロジェクトマネージャー)を取り巻く状況では、新卒採用・中途採用問わず、AI人材を含むデータサイエンティストを中心に各企業が採用活動に取組んでいる。また、研修においては、社内や社外向けの各階層に向けた研修プログラムの整備が進んできている。しかしながら、データ分析関連人材の獲得競争は特に中途採用で激しく、当該人材は全般的に不足している状況にある。

まず新卒採用について、大手IT事業者はデータサイエンティストを中心にジョブ型採用を進めている。ユーザー企業では総合職など従来からの一括採用をベースとしつつも、IT系の職種を中心に一部でジョブ型採用にシフトしつつあり、データサイエンティスト職種を中心にスペシャリストとして採用する動きが出てきている。
次に中途採用では、IT事業者、ユーザー企業問わず、即戦力のデータサイエンティストの採用を積極的に行っている。特にユーザー企業では電気や自動車、化学、製薬等の製造業や流通・小売業、金融業を中心に積極的に採用活動を行っている状況にある。

一方、研修面について、IT事業者は社内研修に限らず、リスキリングニーズも相まって社外向けにも研修を提供する傾向にある。また、ユーザー企業では外部の研修プログラムなども取り入れ、急ピッチで研修プログラムの整備を進めている。その他、地元の大学と連携した高度なプログラムを整備する企業もある。

また、データサイエンティストの不足が課題となるなか、教育機関でもデータサイエンス学部・大学院の設置が進み、データサイエンティストを中心に輩出に向けて取組んでいるものの、教師の不足は引き続き課題として横たわっている。

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データ分析関連人材規模の注目トピック

■IT事業者は優秀な人材を惹き付ける仕組みづくりが、ユーザー企業では多層的な研修プログラムの充実に向けた動きが加速
優秀な人材確保に向けて、IT事業者では大手を中心にさまざまな施策に取組む動きが広がっている。自社独自の認定資格整備のほか、データサイエンティストをより惹きつけるべく、社内外向けのハッカソン参加や柔軟なIT環境の整備に加えて、トップ研究者の確保に向けて有期雇用での特別な雇用制度を設け、能力に応じた高額な年俸制度を整備する動きなどがみられる。

ユーザー企業においては、データをもとに意思決定を行い、経営に生かすデータドリブン経営の浸透を図るべく、データサイエンティストをその指南役として位置づけ、データサイエンティストの育成と併せて、経営層やマネジメント層に加え、全社員に向けて各々の階層に応じた研修プログラムを提供する動きもみられるなど、多層的な研修プログラムを通じたデータ分析関連人材の育成を進めている。

自治体においても、全庁的にEBPMの推進に取組むべく、データ分析関連人材の採用や育成に向けて取組んでいる。

※EBPM・・・Evidence-based policy makingの略。証拠に基づく政策立案と呼ばれ、政策目的を明確化したうえで政策効果の測定に重要な関連を持つ情報やデータ(エビデンス)に基づく政策立案を進める取組みをさす。

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データ分析関連人材規模の将来展望

2025年度の国内データ関連人材規模(人数ベース)は176,300人に達すると予測する。
データ分析関連人材について職種別にみると、DXやデータドリブン経営の推進を背景として、データ分析案件の増加や内製化の進展に伴い、4人材、いずれも伸びていく見通しである。

IT事業者では、DX関連プロジェクトを推進していくうえで、データサイエンティストや分析アーキテクトのようなIT寄りのスペシャリストと併せて、特にビジネスとしての成功に重きを置く分析コンサルタントの重要性が益々高まっていく見込みである。
ユーザー企業ではデータドリブン経営の浸透に伴い、データ分析の内製化に向けた機運が強まっており、データサイエンティストや分析アーキテクトを中心に専門部署を起ち上げる企業もみられる。また、データ分析支援に係る専門部署に留まらず、事業部門側でも事業の効率化や新事業の立上げなどにデータ分析の活用が広がりを見せつつある。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • データ分析プロジェクトに携わる人材の定義
  • データサイエンティストにおける3つのスキルセット
  • データ分析関連プロジェクトのライフサイクル
  • データサイエンティスト協会が定めるレベルとスキルセット
  • データサイエンティスト関連施策
  • 認定講座数の推移
  • データサイエンティストを雇用する上での環境的条件
  • データドリブン経営の取組み状況
  • データドリブン経営の全社的な浸透に向けた取組み
  • パブリッククラウドの利用状況
  • データ活用への取組み状況
  • データマネジメントに関する態勢整備状況
  • データサイエンティスト支援ツール
  • 国内データ分析関連人材規模推移予測(人数ベース)
  • 国内データ分析関連人材規模推移予測(人数ベース、職種別)

■IT事業者におけるデータサイエンティストの採用から育成、活用状況

  • 大手事業者におけるデータサイエンティスト関連のインターンシップ実施状況
  • 大手SIerにおけるデータサイエンティスト専門職の設置状況
  • 大手SIerにおけるデータサイエンティストに求めるスキルセット
  • ユニークな給与制度事例
  • データサイエンティストに係るインターンシップの実施状況
  • 専門職採用の実施有無と求められるスキルセット
  • 社員を囲い込むためのユニークな制度
  • 取材対象事業者における取組み比較
  • 事業戦略
  • 新卒採用に関する取組み
  • 中途採用に関する取組み
  • データサイエンティストの研修に関する取組み
■ユーザー企業におけるデータサイエンティストの採用から育成、活用状況
  • 新卒採用においてデータサイエンティスト関連職種で募集する企業の例
  • 中途採用に関連した取組み
  • データサイエンティストの研修に係る取組み
  • 製造業界における取組み例
  • 取材対象事業者における取組み比較
  • 新卒採用に関する取組み
  • 中途採用に関する取組み
  • 研修に関する取組み
  • 認定資格に関する取組み
■自治体のデータサイエンティスト育成・活用状況
  • 取材対象市役所の取組み比較――横浜市役所、神戸市役所
  • データの利活用に関する概要
  • 人材育成に関する取組み
  • 今後の取組み

 

■国の方針

  • AI戦略2022の概要
  • AI戦略で定めた教育改革目標
  • 新学習指導要領における小・中・高別情報活用能力育成ポイント
■小学校の取組み
  • みらプロ2020終了後の各社による継続的な取組み概要
  • 小学校算数科における領域構成の見直し
  • 「Dデータの活用」の内容
■中学校の取組み
  • 技術・家庭科における技術分野
  • 中学校数学家における領域構成
  • 「Dデータの活用」の内容
■高等学校の取組み
  • 改定前と改定後の共通教科情報科の違い
  • 高等学校数学科における統計教育の主な内容
■大学における取組み内容
  • 各ブロックの所属会員校
  • 理数教育を担当できる教員の確保状況
  • データサイエンス・AI教育を担当できる教員の確保状況
  • AI戦略2019と数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度について
  • D4cグループ
  • 東芝
  • 日本IBM
  • 日本電気
  • 日立製作所
  • ブレインパッド
  • 旭化成
  • 日本郵船
  • バンダイナムコネクサス
  • ブリヂストン
  • 三井住友海上火災保険
  • 三菱地所
  • ワークマン
  • 神戸市役所
  • 横浜市役所

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調査要綱

調査対象:国内におけるIT事業者、ユーザー企業および自治体等
調査期間:2023年1月~7月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンラインを含む)、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用

※データ分析関連人材規模とは:本調査におけるデータ分析関連人材とは、データ分析プロジェクトに携わるチームを構成する、①分析コンサルタント(分析案件におけるデータ活用戦略などの策定に関与)、②データサイエンティスト(データ収集やプログラミング言語を用いた分析に基づくモデルの開発などに関与)、③分析アーキテクト(データサイエンティストが開発したモデルをシステムに実装するフェーズに関与)、④プロジェクトマネージャー(データ分析案件の統轄)という4人材を対象とし、その合計を人数ベースで算出している。

<市場に含まれる商品・サービス>
①分析コンサルタント、②データサイエンティスト、③分析アーキテクト、 ④プロジェクトマネージャー

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ITを通じてあらゆる業界が連携してきています。こうした中、有望な業界は?競合・協業しうる企業は?参入障壁は?・・・など戦略を策定、実行に移す上でさまざまな課題が出てきます。現場を回り実態を掴み、必要な情報のご提供や戦略策定のご支援をさせて頂きたいと思います。お気軽にお声掛け頂ければと思います。

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