矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2022.09.16

【アナリストオピニオン】もはや自動車問題は世界的社会問題である③

自動車問題は世界的社会問題である

実はここにきて、自動車がその存在感を見せつけているのはSDGsだけではなかった。国を挙げて次世代産業として盛り上げようとしている「スマートシティ」においても、自動車産業は大きな存在感を示している。
一般社団法人スマートシティ・インスティテュートの2021年の調査によれば「国内の自治体が検討・計画しているスマートシティの対象領域の中で、『移動・交通』はトップ」であった模様。『医療・健康』『デジタルガバメント』『防災』などを押さえてのトップだという。
消費者からも、産業界からも、社会インフラとしても、IT技術活用製品としても、さらには自治体からも、自動車と自動車産業はここにきて存在感を際立たせている。逆に言えば、自動車産業における問題点は、社会全体の問題点となりうる。

そこで考えられるのはIT・Techベンダの自動車産業への進出である。米国GAMAM(グーグル、アップル、メタ=元フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)や中国BATH(バイドウ、アリババ、テンセント、ホンハイ)などのIT・Techベンダの自動車産業への進出状況については、これまでにも多くの報道がなされている。グーグル/Waymoの自動運転走行テストは世界でも指折りの走行距離であるし、アップルの「アップルカー」は今か今かと製造・販売への期待が記事になっている。メタはそのメタバース技術が自動車で展開することは間違いないし、アマゾンの自動運転配送サービスやマイクロソフトのCASE基盤技術は既に世界中のプレーヤとの提携関係に踏み込んでいる。BATHにおいても自動車産業を次世代ビジネス注力分野に掲げている。
こうしたIT・Techベンダは、これまでの歴史の中で、様々な社会問題を解決すべくソリューションを展開し、ビジネスモデルを構築してきた。彼らが「消費者からも、産業界からも、社会インフラとしても、IT技術活用製品としても、さらには自治体からも、その存在感を際立たせている自動車と自動車産業」をほっておくはずがない。

日本の自動車産業は、海外の自動車産業との競争だけでなく、こうした米中のIT・Techベンダとの競争にも備えなくてはならない。逆に彼らとの共創の可能性もあり、むしろ国際的な提携戦略こそが、次世代をサバイバルするために不可欠であるとの声も多い。
なにせ自動車問題は世界的社会問題であるのだから。そして、問題のあるところにこそ、それを解決するための市場ニーズが存在するのだから。たとえコロナ禍が続いたとしても、ウクライナ侵攻がなかなか終わらないようなことがあったとしても、米中摩擦が激化したとしても、円安が進んだとしても、そこには間違いなく市場ニーズが存在しているのである。米中のIT・Techベンダが眼をギラつかせながら襲い掛かろうとしている「世界的社会問題」という需要が存在しているのである森健一郎)。

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