現在、世界各国でカーボンニュートラルへの取り組みが進んでいる。日本も2020年10月に2050年カーボンニュートラルを目指すことを宣言した。カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と植林、森林管理などによる吸収量を差し引いて、ゼロにすることを指す。
近年では多くの企業が積極的に取り組みを行うようになったことで、各企業の活動とカーボンニュートラルに関連するソリューションやサービスが注目されている。NTTコミュニケーションズ株式会社(NTT Com)が3月28日に開催した脱炭素社会の実現に向けた新サービス説明会の内容を紹介する。
まず冒頭に、NTT Comが取り組む「Green of ICT」と「Green by ICT」に関する説明があった。NTT Comは自社のグリーン化を目指す「Green of ICT」と社会・顧客のグリーン化を目指す「Green by ICT」の両面で取り組み、2030年にはネットワーク・データセンターのカーボンニュートラルを実現するとしている。「Green of ICT」に関しては、通信ビル設備やデータセンターへの省電力導入や再生可能エネルギーの調達、リモートワーク主体の業務運営といった取り組みを進める。「Green of ICT」では、CO2排出量可視化ソリューションの提供、データセンターにおける再生可能エネルギーの提供などを挙げている。
「Green by ICT」の取り組みとして新サービスが開始される。2022年4月よりNTT ComとNTTアノードエナジー株式会社は、NTT Comのデータセンターを利用する顧客の多様な要望に対応できる電力メニューを提供する。ESG経営に取り組む企業の中には、事業運営に必要なエネルギーを100%再生可能エネルギーで賄うことを目標とする「RE100」や5年~15年先を目標年として企業が設定する温室効果ガス排出削減目標とする「SBT」のような国際イニシアティブに加盟している企業もある。新サービスではこうしたイニシアティブの報告に利用できる非化石証書に基づく環境価値を提供する。
企業によってこだわりの度合いが異なるため、サービス内容と価格によって松竹梅のように複数のメニューを設けたと説明があった。「松」は非FIT電気の指定と電源種別(太陽光、地熱、バイオマス)の指定が可能である。「竹」は電源種別の指定が可能であり、非FIT電気の指定ができない。「梅」は非FIT電気と電源種別どちらも指定ができない。FIT電気とは、再生エネルギーの中でも国が定める固定価格買取制度により、電気事業者により買い取られた電気を指す。電気会社が買い取る費用の一部は電気使用者である国民が再エネ賦課金として負担しているため、環境価値は国民に帰属して100%再生可能エネルギーとして認められていない。一方で、非FIT電気は電気の買い取りの流れが定められておらず、国民負担がないため、100%再生可能エネルギーの電力として認められている。
さらに、松竹梅3つのメニューに加えて、プレミアムメニューが選択できる。このプレミアムメニューにより、自社専用の追加性があるグリーン電力の使用を要望するケースにも対応できる。追加性があるというのは「再エネ電力を調達することで、新たな再エネ設備の普及を促す効果がある」ということであり、例えば、自社の太陽光発電で再エネ電力を調達することで、新たな設備投資が行われるといったことが挙げられる。追加性のある再エネ電力の利用は、FIT制度による電力利用とは異なり、新たな再エネ設備の導入が促進される面から脱炭素への効果は大きく、環境意識が高い企業で選択される(今野慧佑)。
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