矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2022.04.18

【アナリストオピニオン】コミュニティマーケティングについて考える②

ツール・デュ・ショコラ

個人的に、毎年楽しみにしているチョコレートのイベントがある。今年20回目を迎えたそのイベント、「サロン・デュ・ショコラ」(三越伊勢丹)は、2022年、新しい取り組みをした。それが「ツール・デュ・ショコラ」である。「ツール・デュ・ショコラ」とは、チョコレート好きな人と繋がり、チョコレートの奥深さをもっと知ることで、チョコレートの世界をより魅力的にするためのコミュニティだ。このコミュニティには、チョコレートについての情報交換や悩みを解決できる場がある他、コミュニティだけに届けられる限定情報、などがある。

サロン・デュ・ショコラには国内、海外の多数のブランドが出展し、人気店のチョコレートであれば階段下まで並ぶことは当たり前、会期序盤で完売するケースも多々ある。既に何度か参加したことがある消費者であれば、毎年、限られた予算でどのチョコレートを買うか、に頭を悩ませているケースが多いと推測する。一回食べて美味しかったお店のものを買う、新しいお店に挑戦する、有名人がオススメしていたものを買う、など様々であろう。その時、自分の舌以外に参考にしたいのが口コミである。ひと箱数千円のチョコレート、できれば失敗はしたくない。だとすれば、気になっているチョコレートを過去に買ったことがある人の意見を参考にする、というのは自然の流れである。また、買って終わりではない。美味しいチョコレートと出会えれば、それを誰かに伝えたくなる。さらに、来年はどこのお店のものを買おうか調べる。一年先のイベントは、終わったときから始まっており、消費者間でWin-Winの関係が構築できている。

カカオの値段や輸送料が上昇を続け、チョコレートの値段は上がっている。既存顧客の単価上昇を狙うためには、これまでとは違う試みが必要であろう。口コミであればTwitterなどSNSでも良いのではないか。一理あるが、チョコレートが好きな人が集まるという、ある程度閉鎖的な空間だからこそ、同志、という一体感とコミュニティにまで参加するのであるから書いてある内容は宣伝ではないだろう、という安心感がある。

筆者も足を運ぶ前日にコメントを目にし、当日は予定にプラスαの購入。1,728円ほど予算をオーバーした。また、今年初出店で気になりはしたものの、高価すぎて手を出せなかったチョコレートについてのコメントを読み、来年も出店しているようなら買おうと思った。このチョコレート、ひと箱10,000円を超えている。クロスセル、アップセルの一例といえるのではないだろうか(小山博子)。

※全文は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/344

小山 博子(コヤマ ヒロコ) 主任研究員
直接お話を聴かせて頂ける機会を大切にしています。冷静かつ緻密な分析を行い、有意義な情報のご提供をさせて頂きますとともに、「やって良かった」と思って頂ける調査のご提案を致します。

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