矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2021.10.27

【アナリストオピニオン】商用車におけるDXの機会②

他方、旅客輸送を担うバス・タクシーでは、乗合バス(路線バス)のICカード導入やタクシーでのキャッシュレス決済導入が進んでいることもあって、必然的に運賃計算などはデジタル化が進展している。
乗合バスもまた、小規模事業者(保有車両10両以下)が70%を占めるが、同時に100両以上の車両を保有する大規模事業者も多い。こうした大手バス会社を中心に、バスの走行位置を乗車予定者のスマートフォン上に表示する「バスロケーションシステム」を導入し、乗客の利便性を測るといったようなDXへの取り組みが進んでいる。さらに、コロナ禍にあっては、混雑状態を可視化するための乗降センサや社内カメラ画像の活用なども行われており、安心して移動できる環境の提供に取り組んでいる。

貸切バスは、2000年の規制緩和によって新規参入事業者が増加し、コロナ禍前のインバウンド需要を支えた。2016年に発生した軽井沢スキーバス事故をきっかけに、貸切バスへのドライブレコーダー搭載が義務化された。同事故の原因の一つがドライバーの経験不足と予定運行ルートを外れたことにあると考えられ、ドライバーへの指導監督や運行管理制度の見直しと併せて行政処分が厳罰化されている。
貸切バスの事業者は、乗合バスに比べると小規模事業者が主体である。バスツアー企画時の旅程や走行距離から自動的に見積もりを作成するシステムなどが提供されているが、利用は限定的とみられる。しかし、装着義務化されたドライブレコーダー等に搭載されたGPS位置情報を活用して運行動態管理を行うことで、厳格化された運行管理制度に対応するなど、規制をきっかけとしたデジタル技術導入の機会はまだ残っている。

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