矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2020.01.21

【アナリストオピニオン】5G導入を目前に控える国内市場と相次いで参入する中国メーカーの見通し②

中国大手メーカーの相次ぐ日本進出

SIMフリー化により、日本市場に幾つかの海外メーカーが参入を果たした。そんな中で2018年には中国OPPOが、そして2019年12月には同じく中国のXiaomiが日本市場に進出している。両社は世界市場でトップ5に入る大手メーカーでありながら、携帯電話市場に参入して日は浅く、OPPOは約11年、Xiaomiは約7年の新興企業である。両社はそれぞれ異なるアプロー チで市場を開拓してきたが、共通している点として中国市場での厳しい競争下で、自らのブランド力を高めつつコストパ フォーマンスに優れたスマートフォン製品で消費者の支持を集めたことが挙げられる。
現在は中国市場が飽和していることもあり、インドをはじめとするアジア、ASEAN市場と欧州市場の開拓に注力している。

両社が日本市場に進出した理由として

  • SIMフリー及び格安スマホ市場の拡大
  • 電気通信事業法の一部改正
  • 日本メーカーの弱体化
  • コストパフォーマンスに優れた製品が求められるユーザーニーズの変化
  • SNSが普及し、カメラ機能を重視する風潮がブランドコンセプトと一致

などが挙げられる。
また日本市場でファーウェイ(Huawei)が一定の市場を獲得したことや、サムスンがミドルレンジクラスの製品を市場導入し、通信事業者向け及びSIMフリー市場で成功を収めていることも彼らが参入するのに値する市場であるとの判断が働いたものと思われる。
特にOPPO、Xiaomiはコストパフォーマンスの高いミドルエンドスマートフォンに強味を持っていることに加え、リアル店舗の展開で市場を獲得してきた経緯から日本の家電量販店との相性の良さを計算にいれたのかもしれない。

OPPOは2019年10月に「おサイフケータイ」に対応した戦略モデル「RenoA」を導入したが、同社は人気タレントをCMに起用するなど海外で成功を収めたプロモーション戦略を日本市場にも持ち込んだ。OPPOは既に楽天モバイルでは主力メー カーとして複数の製品が取り扱われており、2020年以降は大手通信事業者への採用を目指しているとされる。OPPOは2020 年には5Gスマートフォンの日本導入、フラッグシップモデル導入、防水対応等、日本市場への対応を表明している。

Xiaomiが2020年度の日本市場参入を目指していたが、2019年12月に前倒しした。日本市場参入にあたり1億画素カメラを搭載した「Mi Note 10」「Mi Note 10 Pro」の2機種を導入した。同時にウェアラブルデバイス「MiBand4」やモバイルバッテリー「パワーバンク3」を同時に発売し、同社の特徴であるIoT家電との連携も早々に打ち出している。

中国リスクの影響は?

しかし、両社とも中国企業であり今後ファーウェイと同様、米中貿易摩擦の影響を受けるリスクを抱えている。
ファーウェイではグーグル「GMS」(Google Mobile Services)の利用が受けられなくなったスマートフォンが出始めている。その対応策として独自の「HMS」(Huawei Mobile Services)の開発を開始すると共に、同社が掲げる「1+8+N」戦略 や独自OS「Harmony OS」を日本市場でも推進する方針を表明している。

現在、両社は規制対象から外れているものの、米中の動向次第ではこれら企業がターゲットとされる可能性は否定できず、日本の大手通信事業者向けOEMビジネスの実現にも大きな影響を及ぼすとみられる。
また、中国メーカー製品を使用したユーザーからは既存のAndroidOSとは異なるインターフェイスの癖を持つ点に不満が上がっている。特にOPPO製品は顕著で、独自のカスタマイズに違和感を持つユーザーが多いことには留意する必要がある(賀川勝)。

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/278

賀川 勝(カガワ スグル) 上級研究員
新興国が先進国に取って替わり世界経済を牽引している現在、市場が成熟化するスピードも早くなっています。そのような状況下でお客様にとって本当に価値ある情報を最適なタイミングでご提供出来る様、常に心掛けております。

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