SDL(サービス・ドミナント・ロジック)とは、モノ中心の経済活動を、サービスの目線からすべてを捉えなおそうとする試みで、モノ含めてあらゆるものがサービスの一環であるという考え方に立脚した概念・モノの見方である。2004年にスティーブン・バーゴらによって提唱された。
これまで、経済の主流は製造業であり、モノが中心であった。企業は製品を製造し、販売することで売上を上げ(交換価値)、販売後は基本的には企業の手を離れるのが常であった。アフターマーケットとして“保守サービス”を提供する場合もあるが、それはモノに付随したオマケのような存在であり、サービスはモノに従属する売り物の一つという存在であった。
モノを持たないピュアなサービス業(医療や教育など)においても、マーケティングの発想を持ち込む場合は、モノに対比して考えることが通常であり、モノに対するサービスの特殊性として、生産と消費の同時性、非在庫性などといった特徴がフォーカスされるに過ぎなかった。要するに、サービスは常にモノの脇役として機能していたのである。
SDLは視点を大きく転換し、サービスこそが主役である、モノはサービスを媒介する存在にすぎないと主張した。また、価値を発揮するのは販売時点ではなく、消費者の使用プロセス、実践の場こそが価値創造の現場であるという考え方を提唱した。
自動車で例えれば、自動車はドライブや移動というサービスを媒介するモノに過ぎず、また、その価値は顧客が自動車を購入した時点ではなく、乗車体験しているプロセスにおいて創造されると捉えよ、と主張したのである。
こうした、体験や経験価値に重きを置く考え方は、今となっては当たり前と感じさせる概念であろうが、モノ中心の世界観に置かれていた当時においては、価値転換を感じさせる考え方だった。そして、SDLにおいては、消費者は企業にとっての共創者と位置づけられ、企業は価値の提案しかできず、価値の創造はユーザが一緒になって生み出すもの(共創)だと提唱した。この顧客志向な考え方もまた、DXやデザイン思考などで重要視されている概念に通じるといえるだろう(忌部佳史)。
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