矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2018.06.26

【アナリストオピニオン】2018年はIoT元年になるか?①

現場力の高い日本では、産業向けIoTの導入ハードルは高い

ここ数年、IT業界では「今年こそIoT元年」といった先行期待が続いている。しかし2017年に至るまで、特に製造や物流、建設といった産業分野においてはIoT導入が本格化した印象はない(PoC的なプロジェクトは増えている)。

以前のIoTは、ほぼM2M(machine to machine)として認知されていた。M2Mは概して投資規模が大きいビジネスで、投資余力のある大企業を中心に、投資効果が明確な領域をターゲットとして拡大してきた。そのためM2Mでは、領域的な広がりが限定的であった(中小・零細事業者や投資効果が不明瞭な領域への浸透には課題があった)。

一方、IoTはM2Mと比べてスモールスタートが容易であり(相対的な投資規模が小さい)、その分、ビジネス領域/ターゲットユーザは多岐に渡る。さらにIoTでは、既存のスマートフォンやタブレットベースのシステム構築も可能であり、ユーザから見た親和性が高いといった特徴がある。

IoTでは‘モノ/ヒト/コト’に係わる情報・データを収集し、その情報・データをインターネットや公衆回線、専用線などを介して蓄積(ビッグデータ化)。これにより、「従来は見えなかったものを見える化」すること、言い換えれば「現実世界の姿をデジタル化する」ことを目指している。この「見える化」の次のステップとして、収集データの分析・解析により新たな価値やサービス、ソリューションを生み出すことを狙うものである。

実は、ここにIoT普及での壁がある。つまりIoT導入のファーストステップである「見える化」だけでは、どうしても訴求力に欠けるきらいがある。

現業の「見える化」は、業務効率/生産性の向上、省力化/省人化には重要な要素である。しかし、工場に代表される現場力の高い日本においては、この言葉が刺さらない印象である。既に、現場の業務効率は世界トップレベルで、加えて現場作業者のスキルも世界トップレベルである。このような環境下で、新たなIT投資である「IoTを導入する」ことのハードルは低くない。(早川泰弘)

○全文は下記URLよりご覧いただけます。

(https://www.yanoict.com/opinion/show/id/236)

早川 泰弘(ハヤカワ ヤスヒロ) 主任研究員
産業調査/マーケティング業務は、「机上ではなく、現場を回ることで本当のニーズ、本当の情報、本当の回答」が見つかるとの信念のもと、関係者各位との緊密な関係構築に努めていきます。日々勉強と研鑽を積みながら、IT業界の発展に資する情報発信を目指していきます。

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