保全関係者で注目されつつあるPHMという言葉をご存じだろうか。
PHMとは、Prognostics and Health Managementの略であり、「故障予測と正常性の管理」などと訳される。その目的は、保全に係る時間とコストの削減・最適化であり、具体的には、状態監視や診断技術などを用いて故障を減らすことで、ダウンタイムを無くし、生産効率・設備効率を上げようとする考え方や取り組みのことを指す。
国内の製造業ではAIブームを受けて、“故障予知”が大いに期待され、多くの企業が手探りでデータ解析に乗り出した。しかしながら、その道のりは険しく、成果がでているとは言い難い。そのようななか、海外で先進的に研究されてきたPHMが、手がかりになるのではないかと注目されている。
PHMは、もともとは軍事業界、航空機業界で研究が重ねられてきたものだ。パーツやコンポーネントの状態をリアルタイムでモニターすることで障害を予測し、適切な処置を行うことで、航空機の整備をプロアクティブに実施することを意図して研究された。
PHMの目的は、次の3つからなるとされている。AIブームにより、統計やマシンラーニングなどによるデータドリブン手法がもてはやされたが、PHMではそうした手法のみならず、物理原理・現象論に基づく物理ベース手法も重視している点が一つの特徴である。
- (1) Diagnostics
- 機器の状態を把握することで、異常の予兆を捉える(Anomaly detection)、不具合の種類・箇所を特定する(Fault Isolation)、また不具合の程度を知る(Fault identification)こと。
- (2) Prognostics
- 機器の劣化進行をモデリングすることで残寿命(RUL)を予測すること。
- (3) Health Management
- Diagnostics/Prognostics の結果およびその他利用可能な情報やオペレーション上の要求に基づいて、メンテナンスやロジスティクスに関する適切な意思決定をすること。
(出所:株式会社電通国際情報サービス 資料による)
協会としては、PHM Societyがあり、PHMの発展を支援する非営利団体として設立されている。昨年(2017年)は初めてアジア地区(韓国)で年次総会が開催されており、日本からは東海大学 教授の今村誠氏が共同議長として出席している。
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