矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2024.07.08

【アナリストオピニオン】3Dプリンタによるものづくり 成功のポイントは装置だけで考えないこと③

◆ADDITIVE MASTER LUNAの主な特長

①補修や造形、異種材結合などに対応可能
CAIとの連携で欠損部分を補修、既存物に対し一部形状を足す付加造形や、一からの形状創生はもちろん、補強のための表面コーティング、さらには溶融凝固の特性を活かした異種材の接合にも対応。従来不可能だった形状を実体化し、デライト設計やトポロジー最適化に寄与する。
②独自の5軸処理エンジンを搭載し、積層処理に特化したパラメータで最適なパスを生成
積層プロセスに必須の多様なパラメータ設定が可能。積層専用エンジンによって各シーンに最適な積層パスを生成できる。
③メタルデポジション、ワイヤーアークなど、豊富なハードウェア方式に対応
LMD、SLM、ワイヤーアークを始め各種方式にも対応可能。各種制御装置に対応する柔軟なポストプロセッサを有し、目指す加工に最適なハードウェアとのコンビネーションで最高のパフォーマンスを提供する。
④Mastercamとの統合で積層から精密仕上げまでカバー
二次加工が必須のAMにシームレスな連携で、高精度化、リードタイム短縮を実現する。積層後のワークを機上計測し、理論値と実際値の差分を出す事で無駄の無い切削/旋削パスを生成、工具の負荷を軽減するだけでなく、サイクルタイムの劇的な短縮もできる。
本ソフトウェアはパッケージだが、サブスクリプション型もある。またソフトウェアのバージョンアップはメジャーアップデートが年に1回程度、マイナーアップデートは不定期となっている。

次に、装置についてみる。同社は、金属AM装置の活用を考えるユーザに広く応えるべく、様々な金属AM装置を取り扱う。今後、製品や市場の動向によって、扱う製品が増えていく可能性は大きい。

そうした同社が扱う装置のひとつが、Meltio社の「Meltio M600」である。本装置は、DED方式のAM装置で、溶接ビードを正確に積み重ねることで積層していく。全世界で300台以上の稼働実績があり、造形スピードも速い。また、オープンマテリアルで自由に材料を選択できるため、材料費も安価となっている。さらに、複数のレーザを装備し、複数のワイヤー材を組み合わせて処理できることから、異種金属造形による高機能化も容易である。加えて、装置の外形寸法もW1050×D1150×H1950mmと、コンパクトな点も人気の理由のひとつと考えられる。

同社は他にも、FFF方式のCUBICONの装置や、ペレット方式のWASPの装置などを取り扱う。同社は、複数の装置の中から、ユーザが造りたいものにあった装置を提案していると見られるが、装置を導入し、自社のみで想定通りのものを造れるユーザは極めて僅かであろう。そのため同社はユーザに対し、装置を販売するだけではなく、蓄積したノウハウを活かし、メーカ、ユーザらとともにパラメータの調整を行うなどのサポートをしている。同社が提供するサポートの品質には定評があり、その声が新たな顧客獲得にもつながっていると推測する。

こうしたサポート提供の背景には、多様な装置および周辺装置に関する知見を有する人材の育成がある。同社では社内での勉強会はもちろん、メーカも交えた勉強会なども行っている。一方で、自社のみですべてのユーザのすべての要望に応えることは難しく、エコシステムを広げ、顧客を支援する。

同社は、今後も顧客の声を聞き、ユーザおよびAM市場の発展に貢献していくだろう。(小山博子)

※全文は以下よりご覧いただけます。

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/413

小山 博子(コヤマ ヒロコ) 主任研究員
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