矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2023.11.13

【アナリストオピニオン】インフラ保全で進むITテクノロジー活用!③

社会インフラ向けITソリューションの普及が始まる

前述したように、インフラの保全・維持管理では、現場での人手不足/技術者の高齢化対応は待ったなしである。その一方で、「設備が古い(老朽インフラではIT化する意味がない、更新・新設対応)」「対象設備が多すぎる(橋梁では15m以上でも全国に17万箇所」「自治体にはIT技術者がいない/少ない」「費用対効果に懐疑的(既存の方法で充分ではないか)」「現場作業者のITリテラシィ不足」などが課題として指摘されている。
今後、社会インフラの維持・管理コストの膨張が予想されるなか、国や自治体の財政状況などを勘案すると、全ての老朽インフラを新設・更新する事は不可能である。このような制約下において、どのような対応を取ればベストかの模索が続いている。

ここで老朽インフラの維持・管理コストの低減策、さらには人手不足の解消策として期待されるのが、「ITを活用した社会インフラ保全」である。尚、ここで述べているのは、交通管制システムなどに代表されるような「従来型の社会インフラIT(レガシー社会インフラIT)」ではなく、IoTやデータ解析に基づいた次世代保全ソリューションなどに代表される「ITベンダーが提供するインフラ向けのITソリューション」である。

社会インフラ向けITソリューションを考えた場合、2020東京五輪関連でのインフラ投資(高速道路、幹線道路、鉄道、空港など)に一服感のある首都圏・関東エリアがある一方、2025年の大阪万博が控える近畿エリア、リニア新幹線特需のあるJR東海案件がある中部エリアなど、より西に向かってインフラ投資の盛り上がりが期待される。尚、2025年頃には、「IoT×ドローン×AI/映像解析」による次世代保全や防災向け画像解析ソリューションが進展すると見ている。

個別分野では、コロナ過でIT投資が落ち込んだ鉄道や空港、道路のほか、(改正水道法が成立して3年ほど経つ)民営化/民間活用に踏み出す自治体が出てきた水関連分野などでは、老朽インフラ対応/コスト削減意向が根強くあり、2023~2024年頃からは拡大基調が加速する可能性がある。(早川泰弘)

※全文は以下よりご覧いただけます。

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/392

早川 泰弘(ハヤカワ ヤスヒロ) 主任研究員
産業調査/マーケティング業務は、「机上ではなく、現場を回ることで本当のニーズ、本当の情報、本当の回答」が見つかるとの信念のもと、関係者各位との緊密な関係構築に努めていきます。日々勉強と研鑽を積みながら、IT業界の発展に資する情報発信を目指していきます。

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