老朽インフラの増加とIT活用
日本では今後、東京五輪前後に建設した老朽インフラの増大が見込まれている(下表参照)。
ここで、老朽インフラの保全・運用管理業務での省コスト化/省人化を考えた場合、IT活用は不可避である。具体的には、IoTとセンサーネットワークを中心としたデータ収集、収集データの分析(画像解析、AIなど)、分析結果を基にした次世代保全ソリューション(予防保全など)などを組み込んだインフラ保全が考えられる。
また日本では、新設インフラ向けでのIT適用よりは、既設インフラへのセンサーシステムやIoTやクラウドの導入、より簡便な非破壊検査の適用など、後付け設置対応が主体となる。
このようにインフラ保全においては、ITを活用した保全業務シフトは中・長期的に見て間違いない方向である。これまでも、橋梁やのり面(危険個所)、コンクリート構造物の劣化診断などにセンサーシステムや画像解析技術を活用して、日常的な負荷や変異などをセンシングする仕組みが開発されており、その中のいくつかは実証段階を経ている。
しかし現状では、IoT用のセンサーシステムやデバイスは高価であり、加えてデータ解析には高度な知見(統計解析に加え、土木工学的な知見も求められる)が必要となるため、インフラ保全向けITの普及には、まだ時間を要すると見る。
一方、防災向けIT活用では、橋梁などのインフラ構造物モニタリングほどの精緻・大量データが必要ではなく、かつ保全用途向けのようなアルゴリズム開発も必要ないことから、比較的早期の普及が予想される。既に、アンダーパスでの冠水監視、マンホールポンプの遠隔モニタリング、河川氾濫予測などにIoTモニタリングシステムの導入が始まっている。(早川泰弘)
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