2022年度の「DXの推進による観光・地域経済活性化実証事業」に採択された三重県の「ロイヤルゲスト育成を目指す観光DX推進事業」ではまさにCRMを活用した施策を実施している。
この事業で掲げているロイヤルゲストについて「三重県内の地域のあり方に共感し、地域に特別な愛着を感じてくれる方」と定義している。ロイヤルゲストは他の観光客に比べて購買行動やリピートが期待できる存在であるため、積極的にアプローチしていくことが非常に重要である。このアプローチを実施するためにはまず、数いる観光客の中から対象となる人物を把握する必要がある。
また、民間企業がマーケティング活動の一環で見込み顧客を育成して購買意欲をあげるのと同様に、観光客についてもロイヤルゲストとなる可能性が高い人物に対して育成を施すことは有効な手段となる。そのため、抽出するのはロイヤルゲストだけではなく、育成の対象となる人物も含まれる。
こうしたセグメンテーションを実施するには、個々の人物に関するデータが必要である。三重県ではデータを入手するためにアンケートシステムや地域OTA(Online Travel Agent)、観光アプリなどで獲得できるポイントを共通化し、蓄積されたデータをCRMに一元管理する仕組みを導入した。これによりポイントを基に観光客のセグメンテーションを行うことが可能となり、ロイヤルゲストの特定や育成といった施策ができるよう整備した。
結果的にこの事業によって得られたデータから、具体的にどういった行動をとっている人物をロイヤルゲストにすべきか定義を精緻することができたという。また、周遊地数が少ないなど一見、ロイヤルホストとは関係がないように見える人物の中にも消費額が多いユーザーや地域周遊数が多い県外のユーザーが多数含まれていることが明らかになった。こうした結果を踏まえて、それぞれに対して最適なアプローチを実施し、ロイヤルゲストの育成を行うといった方向性を定めることができたという。
今後について、さらなる蓄積データの充実化を目指し、自治体や企業が実施している既存事業や、ふるさと納税、移住等の幅広い施策とのデータ連携を進める意向である。(今野 慧佑)
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