こうした教育データの利活用に取り組んでいるのは国だけではない。例えば、さいたま市教育委員会は2022年10月に内田洋行、日本マイクロソフト、ベネッセコーポレーション、ライフイズテックの4社と連携協定を締結したと発表した。この4社と協力して教育データを活用するダッシュボードの開発を進めていく。このダッシュボードを活用することで学校現場で集められる学習記録や生活記録など様々なデータがまとめて可視化される。教職員はそれらのデータを活用して、学習者一人一人に対して最適な教育を実施する。 このような教育現場の実現に向け、まずは2022年度中にプロトタイプを11の実証校で運用し、データを取りながらダッシュボードの開発を進める。実証を通して研究を進めていき、2023年度にはさいたま市内全校への展開を目指す。
2022年はロードマップに基づき、様々な議論や検討が行われており、少しずつ教育データの利活用の実現に向かって進んでいる。しかし、実装するために必要なことは技術課題の解決や制度の改正だけではない。
ロードマップが公表された際、世論からの意見はネガティブなものであった。大きな原因としては一部メディアの報道によって、教育データの「一元化」という誤った認識が広がったことが挙げられる。その後、実際は「一元化」ではなく、「標準化」であり、データも分散管理であることがデジタル庁によって説明された。ただし、これによって教育データ利活用に関して国民の理解が得られたかというと疑問である。そもそも公表されたロードマップには様々な内容が記載されており、要点を理解するだけでも大変である。そのため、教育データの連携について、個人情報が無断で様々なサービスに連携されるという認識を持ってしまってもおかしくはない。当然、ロードマップではプライバシーの保護や法律に基づく個人情報等の適正な取扱いを確保する旨は記載されている。そのため、データの利用には本人の同意が必要である点や同意に記載されていない利用や組織への提供は行われない。しかし、教育関係機関による横断的な利用が掲げられているため、親としては子どもの個人情報流出に不安を覚えて当然である。
また、教育データにおいては未成年者のデータが多い。そのため、利活用の際には個人の同意を得るだけでは十分ではない。こうした点からも教育データを活用した仕組みを作っていくには利用者に加えて学習者の家族に対しても十分に理解してもらうことが必須となっている。(今野慧佑)
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