矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2023.04.10

【アナリストオピニオン】国策の後押しもあり、建設現場でのテクノロジー活用が急速に進む!①

建設業界の現状

国内建設業界の構造は、発注者(施主)と請負契約を締結する建設会社(元請)、さらには工事種別に応じて複数の建設会社が施工を担う体制、いわゆる多重下請構造になっており、建材メーカーなどを含めて多数の関連事業者が存在している。
この事業者数の多さを主因に競争環境は厳しい。また施主意向が反映されやすい商習慣があるうえ、事業者間連携の不十分さもあり、設計変更に伴う工期の遅延や追加コストの発生など、様々な弊害も指摘される。併せて建設投資の減少や競争激化など、建設業の経営を取り巻く環境は厳しい。さらに、現場の技能労働者の高齢化や若年入職者の減少といった問題もあり、中・長期的には建設工事の担い手が不足することが懸念されている。
この課題解決策としては、労働力や収益確保のために、労働環境の改善やITテクノロジーの活用、また生産性向上などによる働き方改革やデジタル技術活用などが急務となっている。

建設現場でのIT活用

前述した建設業界での課題に対し国交省では、i-ConstructionでICT活用を推進。i-Constructionとは、ICTの全面的な活用(ICT土工)などの施策を建設現場に導入することによって、建設生産システム全体の生産性向上を図り、魅力ある建設現場を目指す取り組みである。
具体的には、調査・測量から設計、施工、検査、維持管理・更新までのあらゆる建設生産プロセスに3次元データなどを導入。ICT建機など新技術活用を実現し、コンカレントエンジニアリングやフロントローディングの考え方を取り入れる。そして建設現場を最先端の工場へ発展させることを目指す。
また原材料の調達、部材の製作、運搬、部材組立など、工場や建設現場における作業を最適に行う効率的なサプライチェーンマネジメントの構築もターゲットになる。

ここ数年では、ゼネコン大手や建機大手などが主導して、建設現場でのIT活用が進展している。具体的には、通信環境の整備、センサーシステムによる現場の自動認識、IoTによる情報収集・モニタリング、各種ロボットによる施工支援、そしてAIによる施工評価・計画支援(進捗管理など)などである。先行しているのが、建機全般をITで管理・支援する取り組みで、遠隔地から操作・制御するIoTベースの仕組みや、センサーネットワークと連動させた現場情報の収集・遠隔監視の仕組みなども導入されつつある。
また、ドローンを活用した現場データの2次元から3次元データへの移行や位置情報の把握、セキュリティ対応、ドローンとAIを連動させた進捗管理も始まっている(早川泰弘)。

※全文は以下よりご覧いただけます。

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/374

【図表:建設現場を最先端の工場へ】
早川 泰弘(ハヤカワ ヤスヒロ) 主任研究員
産業調査/マーケティング業務は、「机上ではなく、現場を回ることで本当のニーズ、本当の情報、本当の回答」が見つかるとの信念のもと、関係者各位との緊密な関係構築に努めていきます。日々勉強と研鑽を積みながら、IT業界の発展に資する情報発信を目指していきます。

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