組込み型保険について、冒頭で「①APIを介して保険会社とモノやサービスを提供する事業者が連携したうえで、②モノやサービスから得られるユーザーデータを元に(度合いはあるものの)パーソナライズ化された保険商品を、③モノやサービスに組込む形でパーソナライズ保険商品を提供すること」と定義した。
さて、具体的には本稿で指摘した課題を乗り越えた先には、どんな将来が待っているのであろうか。少し筆者の妄想を交えた考察となるため注意頂きたい。例えばさまざまなセンサーを備えた冷蔵庫がある。今やスマートフォンとの連携が当たり前となるなか、冷蔵庫には住んでいる住民の食生活に関する情報が多く入っている。話を単純化するために仮に筆者が独身で極度の野菜嫌い、大の肉好きとしよう。冷蔵庫の中身がデータ化されているとすれば、筆者の食生活を把握しているはずであり、こうしたデータが筆者の健康診断を含めたヘルスケアデータと結びついたとすれば、現状の健康状態から将来的な疾病リスクの予測が容易になるだろう(ここではセキュリティなどの問題は除く)。
さてそうした疾病リスクから冷蔵庫が筆者に対して、「あなたは現状、こうした食生活を続けている場合、将来的に疾病Aの罹患リスクが〇%あります。ついては、健康増進型保険商品A、B、C、もしくは重症化予防に向けた保険商品D、E、Fといった保険商品に加入することを検討してはいかがですか?」などと提案してくる将来も容易に想像できる。
なるほど、そうかと考え、食生活の改善に着手するかもしれない。はたまた近隣の保険ショップに足を運ぶかもしれないし、インターネット上の保険比較サイトで検索をするかもしれない。また冷蔵庫経由で保険商品を購入するのかもしれない。いずれにしても、従来にはない新たな選択肢を提示する機会が創出される可能性があることは確かであろう。
少々、妄想が過ぎたものの、組込型保険の実現によって新たな保険の将来が出てくる可能性は大いにあると考えており、少なくても本稿で挙げた3つの構成要素の動向について注視していきたいと考えている(山口泰裕)。
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