矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2026.09.01

小売業向け基幹システム市場に関する調査を実施(2026年)

小売業向け基幹システム市場は、レガシーシステムからのリプレイス需要や業務効率化ニーズなどを要因に、緩やかな成長基調を継続。2030年度には約315億円を予測。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の小売業向け基幹システム市場を調査し、現況、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。

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【図表:小売業向け基幹システム市場規模推移・予測】

【グラフ:小売業向け基幹システム市場規模推移・予測】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:ベンダー売上高ベース(初期開発・導入費用+利用料等)
  • 注:パッケージとして提供されているシステムを対象とする(個別開発のシステムを除く)
  • 注:2026年度見込値、2027年度以降予測値

 

小売業向け基幹システム市場の概況

小売事業者における本部業務を統合的に管理・支援する小売業向け基幹システムの2025年度の国内市場規模は、ベンダー売上高ベース(初期開発・導入費用+利用料等)で273億円となった。

同システムの市場は、POSシステムの普及によるリアルタイムな売上データ収集の実現や多店舗展開の進展などを背景に、1980年代後半から1990年代にかけて形成された。以降、同システムは量販店から専門店や百貨店まで、業態や事業規模を問わず小売事業の運営に不可欠な基盤として定着してきたが、市場形成から20年以上が経過する中で、小売・流通事業者においては他業種と比較して多くのレガシーシステム(既存の旧システム)が残存するなど、システムの老朽化やブラックボックス化※が小売・流通業界全体の課題となっている。

このような状況の中、現在はレガシーシステムからの脱却(モダナイゼーション)を目指したリプレイス需要が、市場の成長を牽引する原動力となっている。

※ブラックボックス化とは、古いシステムの内部構造や仕様が不明確になり、保守・修正が困難になっている状態を指す

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小売業向け基幹システム市場の注目トピック

■直近の技術動向:AI活用による業務効率化支援に向けた取り組み
多くのベンダーは、AI活用による製品の機能強化を最重要テーマとして位置づけており、実装に向けた取り組みが加速している。
すでに一部のベンダーにおいては、AIを活用した需要予測・自動発注機能の実装が進む。具体的には、過去の売上実績やカレンダー情報、天候データなどに基づき、AIが各商品の最適な発注量を算出することが可能となっており、発注時間や廃棄ロスの削減など店舗における生産性向上に寄与している。また、AI開発に強みを持つ外部企業との提携により、予測の難易度が高い特売品などに対しても精度の高い需要予測を可能とする取り組みもみられる。

​今後は、人による業務や判断を代行するAIエージェント機能の実現を目指しているベンダーが多い。小売事業者では人手不足の問題が顕在化しており、各業務において判断を行う際、熟練人材の必要なノウハウの継承が難しくなっている。この状況をふまえ、今後数年間で、業務効率の向上、および熟練人材の知見や経験に基づく属人的な運用の解消を支援する機能の実装が一層加速することが見込まれる。

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小売業向け基幹システム市場の将来展望

小売業向け基幹システム市場は、レガシーシステムからのリプレイス需要や、人手不足を背景とした業務効率化ニーズなどを要因として引き続き緩やかな成長基調を継続し、2030年度の国内市場規模はベンダー売上高ベース(初期開発・導入費用+利用料等)で、315億7,000万円まで拡大すると予測する。また、小売事業者間で、業務プロセスをシステムの標準機能に合わせる「Fit to Standard」の考え方が徐々に浸透してきている点も市場の成長を後押しすると考える。

事業者別にみると、一部のベンダーにおいては、人材確保・育成の難易度が高まっていることなどを背景に小売業向け基幹システム事業を縮小する動きがみられるものの、小売業に特化したベンダーなどにおいては業界への知見や周辺システムを含めた総合的な提案力を活かした拡販が進み、市場全体としては堅調に推移する見通しである。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • 小売業向け基幹システムイメージ
  • マーチャンダイジングの5つの適正
  • 参入ベンダーの分類
  • 小売業向け基幹システム市場における主要参入ベンダーおよび製品名
  • 業種別レガシーシステム残存状況
  • 流通・小売事業者の売上高・営業利益社外IT支出比率(2023年度を1とした場合の変化)
  • 流通・小売事業者の目的別平均支出額および構成比(2024年度)
  • 流通・小売事業者において今後3年間で投資が増加するソフトウェア
  • 流通・小売事業者における今後3年間のIT投資の目的
  • 小売業向け基幹システム市場規模推移(2023~2026年度見込)
  • 小売業向け基幹システム市場規模推移 業態別内訳2020~2025年度見込)
  • 小売・サービス事業所における人員の過不足状況 人員不足状況の見通し
  • 小売業向け基幹システム市場予測(2025~2030年度予測)
  • 主要・注目ベンダーのターゲット業態分類
  • 主要・注目ベンダーの事業戦略
  • 食品スーパー分野における参入ベンダーのポジショニングマップ
  • 主要・注目ベンダーのターゲット層・業態
  • 主要・注目ベンダーの販売チャネル・営業体制
  • 主要・注目ベンダーの製品の特長・強み
  • 主要・注目ベンダーの機能強化・サービス拡充に向けた取組み
  • 主要・注目ベンダーの製品価格体系
  • 主要・注目ベンダーのモデルケースによる概算費用
  • 主要・注目ベンダーの課題
  • 主要・注目ベンダーの展望
  • 主要・注目ベンダーからみたユーザーの課題・関心事
  • 主要・注目ベンダーの市場への見解
  • NECネクサソリューションズ
  • ヴィンクス
  • サイバーリンクス
  • 東芝テック
  • ソリマチ技研
  • Stack

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関連リンク

■デイリーコラム
【発刊裏話】「2026年版 小売業向け基幹システム市場の実態と展望」
【アナリスト便り】「2026年版 小売業向け基幹システム市場の実態と展望」を発刊

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調査要綱

調査対象:小売業向け基幹システムベンダー
調査期間:2026年4月~7月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)および文献調査併用

※小売業向け基幹システム市場とは:本調査における小売業向け基幹システムとは、仕入管理、在庫管理、販売管理といった小売・流通業における本部基幹業務の管理機能を有するパッケージシステムを指す。汎用ERP単体、POS専業システム、EDIなどの周辺システム単体、およびハードウェア売上は原則対象外とするが、これらを一体提供し、かつ本部基幹機能を中核として有する製品は対象とする。市場規模は、ベンダー売上高ベース(初期開発・導入費用+利用料等)で算出している。

<市場に含まれる商品・サービス>
小売事業者における基幹業務を支援するパッケージシステム(量販店向けおよび専門店・百貨店向け)

都築 励(ツヅキ レイ) 研究員
ICT・金融分野は技術革新と規制の変化が絶えず、常に新しい可能性と課題が生まれる領域と感じています。調査を通じて最新かつ信頼性の高い情報を提供し、皆さまのビジネスにおける意思決定や課題解決をご支援できるよう、精進して参ります。

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