株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)では、国内のCAD/EDA市場を調査し、アプリケーション別の売上高推移および売上高シェア、今後の展望を明らかにした。ここでは、CAD/EDA市場規模推移について、公表する。
【図表:国内CAD/EDA市場規模推移】
2023年度のCAD/EDA市場規模は、メーカ出荷金額ベースで3,211億5,300万円、前年度比103.5%となった。
2022年度は日米の金利差拡大が影響して為替が円安傾向になっており、波があるものの2023年度も円安が継続した。その影響を受けて日本製造業の業績は好調となり設備投資も行われ、CAD市場も堅調に推移した。
EDA市場においては、半導体産業再興に向け国を含めた取組みが本格化し、半導体の国内製造・開発拠点開設の動きもみられ、上向き基調である。
土木・建設業界では、原油等エネルギーおよび原材料の世界的な不足や価格高騰の中、業務効率化に取組むユーザ企業を中心に、CADソリューションへの投資は堅調であったと考える。
■AI・自動化ソリューションの動向
CADソリューションにおいて、AIの活用は数年前から取組まれており、すでに機能として実装され、ユーザが利用しているものもある。
AIと親和性の高い領域のひとつに検証や解析があり、その一例として、EDA領域が挙げられる。半導体設計において、周波数や熱、大きさといった背反条件が存在し、そのバランスを検討して設計することに、これまで多大なリソースがかかっていた。この検証/設計でのAI活用はすでに実装化されており、ユーザからも高評価を得ていると考える。
なお、AI活用に関連したユーザニーズにおいては、領域や分野を問わず、図面作成・設計の自動化が大きなトピックである。検証や解析だけではなく、通常の図面やモデル作成についても、CADオペレータは納期や作成量等の負担を少なからず感じている。図面作成・設計の自動化は、ユーザから強く求められているものとして、ベンダ各社も認識しており、関連機能の開発に取組んでいる。
2024年度のCAD/EDA市場規模は、前年度比105.5%の3,388億1,100万円と予測する。
為替動向や地政学的リスク、インフレの加速による経済環境の悪化は、CAD/EDA市場の規模拡大を減速させる可能性がある。一方で、2023年度までの市場概況が2024年度も継続するとともに、ユーザ企業によるDX推進やものづくりプロセスの高度化への意欲が醸成されており、AIや自動化機能をはじめとした高度なCADソリューションの導入実績の積み上げが進むと見込む。また、半導体分野を重要視するユーザ企業が増加傾向であることも追い風となり、CAD/EDA市場は成長を続けると予測する。
■デイリーコラム
●【発刊裏話】2024 CAD/EDA市場の実態と展望
●【発刊情報】「2024 CAD/EDA市場の実態と展望」を発刊
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調査対象:CAD/EDAベンダ
調査期間:2024年7月~10月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話やメールによる調査、ならびに文献調査併用
※CAD/EDA市場とは:本調査におけるCAD/EDA市場とは、機械系CAD(2次元CAD、3次元CAD、金型設計用CAD/CAM、PDM)や、電子機器や半導体の設計作業を支援するソフトウェアであるEDA(Electronic Design Automation)、建築や設備、土木、プラントなどの設計を支援するソフトウェアである土木・建築系CADを対象として、メーカ出荷金額ベースで算出した。
<市場に含まれる商品・サービス>
機械系CAD、EDA、土木・建築系CAD
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