矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2024.09.27

生命保険の加入意識に関する消費者アンケート調査を実施(2024年)

生命保険の必要性に関する回答は5つのグループで異なる結果になった。特に注目したいのは、Z世代の構成割合が多い2つの購買意識グループでの回答結果である。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、18歳~29歳、30歳~39歳、40歳~49歳の3世代を対象に生命保険に関する消費者アンケート調査を実施し、世代別に生命保険の認知、必要性、興味・関心度合い、加入意思などについて統計的分析手法を活用して考察した。ここでは調査結果の一部を公表する。

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【図表:購買意識タイプ(世代別構成比)】

【図表:購買意識タイプ(世代別構成比)】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:調査時期:2024年7月、調査(集計)対象:国内在住の18歳~49歳までの男女1,346名(18歳~29歳:449名、30歳~39歳:447名、40歳~49歳:450名)、
  • 調査方法:インターネットアンケート調査

【生命保険の必要性の有無(購買意識タイプ別)】

【生命保険の必要性の有無(購買意識タイプ別)】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:調査時期:2024年7月、調査(集計)対象:国内在住の18歳~49歳までの男女1,346名(18歳~29歳:449名、30歳~39歳:447名、40歳~49歳:450名)、
  • 調査方法:インターネットアンケート調査、単数回答

 

消費者の生命保険の加入意識に関する概況

本アンケート調査では、2024年7月に国内在住の18歳~49歳までの男女1,346名に対し、世代別にモノやサービスにお金を使うときの考え方(以下、購買意識)が生命保険に対する考え方にも影響があるとの仮説に基づき、24の設問項目を用意し、各設問項目において「非常にそう思う」「ややそう思う」「どちらとも言えない」「あまりそう思わない」「全くそう思わない」の5段階の中から当てはまるものを選択(単数回答)してもらい、その結果から、5つの購買意識タイプ(こだわり探求タイプ、流行お気楽タイプ、直感行動タイプ、ものぐさタイプ、自信満々タイプ)に分類し、分析した。

世代別に各タイプの構成をみると、Z世代といわれる18歳~29歳は、30代や40代と比べて、「こだわり探究タイプ」「流行お気楽タイプ」の構成比が高いという結果であった。

また、Z世代の構成比が高い「こだわり探究タイプ」と「流行お気楽タイプ」では、生命保険の必要性の有無について比較すると真逆の考えを持つことが示唆される結果であった。「こだわり探求タイプ」は「生命保険は必要である」の回答が67.7%と7割弱を占めた一方で、「流行お気楽タイプ」は39.8%と4割程度に留まった。

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消費者の生命保険の加入意識に関する注目トピック

■顧客開拓の糸口として「流行お気楽タイプ」の攻略を提案
本アンケート調査結果から、Z世代に対する保険加入に向けたアプローチにおいては、「こだわり探究タイプ」と「流行お気楽タイプ」という二つの購買意識タイプの構成比が高いことを意識する必要があると考える。特に「流行お気楽タイプ」は保険会社がいかに情報発信をするかで、その後の購買行動に影響を与える可能性が高いと考えられることから、重要視すべきである。

「流行お気楽タイプ」は、有名なブランドや世間的に名が知れ渡ったもの、人から勧められたものを手にしたいなど安心して買い物を楽しみたいといった周りからの影響を受けやすいタイプである(本調査要綱を参照)。

生命保険会社としては、例えば出張授業・研修などを実施し、その中ではただ一方的に講師が話すのではなく、身近な人と意見交換をする内容にするなど、コミュニケーションのできる環境を整えることで、同タイプに影響を与えることができる可能性がある。また、今の若年層に影響力のある人などとの対話をSNSに投稿し見てもらうなど、生活していく中で自然と生命保険に関して触れる機会をつくることから始めてみるのも一考である。

?これらの取り組みを継続的に実施していくことで、一般生活者の中にいる「流行お気楽タイプ」に少しずつ生命保険に対する興味や関心をもってもらう契機に繋がるものとみる。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • 個人保険の新規契約高・新規契約件数推移
  • 個人保険の保有契約高・保有契約件数推移
  • 生命保険の加入率(性別・年齢別)
  • 話題となった金融審議会の市場ワーキング・グループの報告書の一部抜粋
  • 2022年に岸田政権が掲げた5つの重点投資分野
  • 金融経済教育推進機構(J-FLEC)の講師派遣で学べる主な内容

■本アンケート設計時の仮説について

  • 生命保険の加入率(性別・年齢別)
  • 20代の生命保険の購買行動に関する仮説
  • 30代の生命保険の購買行動に関する仮説
  • 生命保険の購買行動
■分析結果
  • Q13.生命保険の理解度(世代別)
  • Q15.生命保険の必要性(世代別)
  • 因子分析を活用した購買意識のグルーピング
  • 因子分析を活用した回答者のクラスター分析結果
  • 因子分析を活用した回答者のクラスター分析結果(世代構成)
  • 「こだわり探究タイプ」と「流行お気楽タイプ」の違い
  • Q15.生命保険の必要性(購買意識タイプ別)
  • SQ15a2.生命保険を必要としない理由(購買意識タイプ別)
■アンケート調査概要
  • 性別
  • SC1.性別
  • SC2.世代
  • SC3.職業
  • Q1.居住地
  • Q2.婚姻状況
  • Q3.子どもの有無
  • Q4.最終学歴
  • Q5.年収
  • Q6.年収
■世代別の価値観
  • Q7.自由に使えるお金の使い道(世代別)
  • Q8購買意識(世代別)
  • 購買意識の世代別傾向
  • 因子分析を活用した購買意識のグルーピング
  • 因子分析を活用した回答者のクラスター分析結果
  • 因子分析を活用した回答者のクラスター分析結果(世代構成)
  • 世代別の購買意識タイプの構成
  • 「こだわり探究タイプ」と「流行お気楽タイプ」の違い
  • Q9購入時の最初の情報収集手段(世代別)
  • Q9購入時の最初の情報収集手段(購買意識タイプ別)
  • 因子分析を活用した回答者のクラスター分析結果(世代構成)
■金融に関する興味・関心度合い
  • Q10.金融商品や資産形成などを教わる機会(世代別)
  • SQ10a1.教わった感想(世代別)
  • Q11.金融商品や資産形成など自ら学んだ経験(世代別)
  • Q11.金融商品や資産形成など自ら学んだ経験(購買意識タイプ別)
  • Q12.金融商品の関心度合い(世代別)
  • SQ12a1.毎月の運用金額(世代別)
  • SQ12a1.毎月の運用金額 加重平均結果(世代別)
  • SQ12a2.金融商品の運用目的(世代別)
  • SQ12a3.金融商品の運用きっかけ(世代別)
  • Q9購入時の最初の情報収集手段(世代別)※再掲
  • SQ12a4.金融商品を運用しない理由(世代別)
  • Q12.金融商品の関心度合い(購買意識タイプ別)
■生命保険の必要性に対する考え方
  • 生命保険に対する知識
  • Q13.生命保険の理解度(世代別)
  • Q25.公的社会保障の理解度(世代別)
  • Q14.生命保険の加入有無(世代別)
  • SQa14.加入する生命保険の種類
  • SQ14a2.加入する生命保険の種類(世代別)
  • SQa14.加入する生命保険の種類(購買意識タイプ別)
  • Q15.生命保険の必要性(世代別)
  • SQ15a1.生命保険の必要性(世代別)
  • SQ15a2.生命保険を必要としない理由(世代別)
  • Q15.生命保険の必要性(購買意識タイプ別)
  • SQ15a2.生命保険を必要としない理由(購買意識タイプ別)
■生命保険の興味・関心度合い
  • Q16.生命保険を教わる機会(世代別)
  • SQ16a1.教わった感想(世代別)
  • Q17.生命保険会社を知る機会(世代別)
  • Q18.生命保険のイメージの設問内容
  • Q18.生命保険のイメージ有無(世代別)
  • Q18.生命保険のイメージにおけるコレスポンデンス分析(回答者全体)
  • Q18.生命保険のイメージにおけるコレスポンデンス分析(18歳~29歳)
  • Q18.生命保険のイメージにおけるコレスポンデンス分析(30歳~39歳)
  • Q18.生命保険のイメージにおけるコレスポンデンス分析(40歳~49歳)
■生命保険に関する情報収集の意向
  • 情報収集手段
  • Q19.生命保険に関する情報収集の手段(世代別)
  • SQ19a1.知りたいと思わない理由(世代別)
■生命保険の加入に向けた行動
  • Q20.生命保険に加入する際に最初に相談に行きたいところ(世代別)
  • SQ20a1.そこへ相談する理由(世代別)
  • Q22.保険検討時の課題(世代別)
  • Q22.保険検討時の課題(購買意識タイプ別)
  • Q23.生命保険を検討する時期(世代別)
  • Q23.生命保険を検討する時期(購買意識タイプ別)
■生命保険に関する共有経験
  • Q24.生命保険を人に共有した経験(世代別)
  • Q21.生命保険について相談を受けた経験(世代別)

 

■プレ調査

  • 性別
  • 年齢
  • 職業
■本調査
  • Q1.居住地
  • Q2.婚姻状況
  • Q3.子どもの有無
  • Q4.最終学歴
  • Q5.自分の年収
  • Q6.世代年収
  • Q7.自由に使えるお金の使い道
  • Q8.購買意識
  • Q9.購入時の最初の情報収集手段
  • Q10.金融資産や資産形成等を教わる機会
  • SQ10a1.教わった感想
  • Q11.金融商品や資産形成等を自ら学んだ経験
  • SQ11a1.参考にするコンテンツ
  • Q12.金融商品の関心度合い
  • SQ12a1.毎月の運用金額
  • SQ12a2.運用目的
  • SQ12a3.運用のきっかけ
  • SQ12a4.運用しない理由
  • Q13.生命保険の理解度
  • Q14.生命保険の加入有無
  • SQ14a1.加入する生命保険の種類
  • SQ14a2.加入する生命保険の理解度
  • Q15.生命保険の必要性
  • SQ15a1.生命保険が必要である理由
  • SQ15a2.生命保険を必要としない理由
  • Q16.生命保険を教わる機会
  • SQ16a1.教わった感想
  • Q17.生命保険を知る機会
  • Q18.生命保険のイメージ
  • Q19.生命保険に関する情報収集の手段
  • SQ19a1.知りたいと思わない理由
  • Q20.生命保険に加入する際の最初の相談先
  • SQ20a1.その相談先を選ぶ理由
  • Q21.生命保険について相談を受けた経験
  • SQ21a1.相談を受けたときの気持ち
  • SQ21a2.聞かれたくない理由
  • Q22.保険検討時の課題
  • Q23.生命保険を検討する時期
  • Q24.生命保険を人に共有した経験
  • Q25.公的社会保障の理解度

 

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関連リンク

■アナリストオピニオン
金融経済教育における保険会社の取組状況

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    • Z世代の生命保険を検討する時期は30代前後が約4割
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調査要綱

調査対象:国内在住の18歳~49歳までの男女1,346名(18歳~29歳:449名、30歳~39歳:447名、40歳~49歳:450名の合計)
調査期間:2024年6月~8月
調査方法:インターネットアンケート調査

※生命保険の加入意識に関する消費者アンケート調査とは:
一般的に生命保険に加入する年齢は30代からといわれている中で、現在の18歳~29歳の若年層、いわゆるZ世代においても、今後の加入傾向は大きくは変わらないと考えられる。しかし、若年層人口が減少するなか、生命保険会社はこれまで以上の競争環境に置かれている。
こうしたなか、2024年7月に国内在住の18歳~49歳までの男女1,346名に対し、生命保険に対する興味・関心度合いや加入意思、保険会社へのイメージなどを測る消費者アンケートを実施し、調査結果を分析、考察した。本アンケート調査では職業や年収、保険加入有無などによる制限は付けていない。ただし18歳の現在高校生に関してはアンケート調査の対象外とした。

また、本アンケート調査では、調査対象である1,346名に対し、モノやサービスにお金を使うときの考え方(以下、購買意識)を問う24の設問項目を用意し、各設問項目において「非常にそう思う」「ややそう思う」「どちらとも言えない」「あまりそう思わない」「全くそう思わない」の5段階の中から当てはまるものを選択(単数回答)してもらい、その結果から、因子分析を実施し、購買意識に関する回答結果に影響している5つの要素を抽出、さらに回答者に付けられた因子得点をもとにクラスター分析にかけることで、次の5つの購買意識タイプに分類した。
なお、それぞれの特徴から本アンケート調査では「こだわり探求タイプ」「流行お気楽タイプ」「直感行動タイプ」「ものぐさタイプ」「自信満々タイプ」と命名した。

 

<5つの購買意識タイプの主な特徴>

  • こだわり探究タイプとは、商品の仕様などをしっかり調べたり、複数の商品を調べたりするなど、こだわって調べた上で決断するタイプ
  • 流行お気楽タイプとは、有名なブランドや世間的に名が知れ渡ったもの、人から勧められたものを手にしたいなど安心して買い物を楽しみたいタイプ
  • 直感行動タイプとは、直感的、あるいは衝動的に買い物をするタイプ
  • ものぐさタイプとは、最低限の利用価値があれば、特にブランドなどにこだわりのないタイプ
  • 自信満々タイプとは、口コミやレビューなどをあまり参考にせず、自分の意志で買い物するタイプ

 

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小田 沙樹子(オダサキコ) 研究員
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