矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2024.09.04

ECサイト構築支援サービス市場に関する調査を実施(2024年)

ECサイト構築支援サービスでは、ECサイト内での商品説明文の自動作成や接客、運用サポートに加え、消費者への商品レコメンド機能など様々なAIソリューションが開発、提供へ。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のECサイト構築支援サービス市場を調査し、市場概況、ECサイトの提供方法別の市場、AI技術の活用、サービス提供事業者各社の動向を明らかにした。

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【図表:ECサイト構築支援サービス市場規模推移と予測】

【図表:ECサイト構築支援サービス市場規模推移と予測】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:市場規模は、ECサイト構築支援サービス提供事業者の売上高ベース。
  • 注:2024年度以降は予測値。

 

ECサイト構築支援サービス市場の概況

2020~2021年度はコロナ禍の行動制限などの影響で、流通小売業者や食品メーカーなど主に実店舗(オフライン)で事業を行っていた事業者では、EC事業への新規参入や既存のEC事業への投資拡大、事業強化(DX化)が急速に進んだ。そのため、ECサイト構築支援サービスへの需要は大幅に拡大し、ECサイト構築支援サービス提供事業者の業績は高い伸び率で成長した。
2022年度以降は行動制限も緩和され、消費者の実店舗への回帰の動きが見られるが、オンラインでの購入スタイルも定着しており、ECの需要は引き続き成長している。2023年度はEC事業への新規参入も落ち着き、市場の成長率は低下したものの、事業規模が拡大したEC事業者による上位サービスへのリプレイス需要が増加している。
このようなことから、2023年度のECサイト構築支援サービス市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比106.5%の2,134億円と推計した。

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ECサイト構築支援サービス市場の注目トピック

■AI×ECサイト構築支援サービス市場
ECサイト構築支援サービスの主要事業者のほとんどがAIを活用し、様々な研究開発を行っていると見られる。自社開発のAIサービスを提供したり、パートナー企業と連携してAI関連機能を顧客企業(EC事業者)に提供する事業者が増えている。また、自社内の業務効率化を図るためにも、AIの活用が進んでいると考えられる。

顧客向けサービスとして、AIが最も活用されている分野は、まず第一に商品説明文の自動生成(掲載文の生成、SNSへの自動投稿、SEO対策など)である。顧客企業では人材が不足している中、このようなツールを活用することで、ITリテラシーが低い人でも簡単に商品説明文を作成でき、業務負担が軽減される。さらに、AIが顧客企業のブランドイメージやスタイルを学習することで、ブランド独自のクリエイティブの提案・作成も可能になる。
二つ目は、AIチャットボットによる接客およびECサイト運用サポート機能である。消費者からの問い合わせ対応は、顧客企業がECサイトを運営する上での大きな課題となっている。AIチャットボットを活用することで、消費者対応を自動化し、業務効率を向上させることができる。また、ECサイト運用において、各EC事業者毎にパーソナライズされたFAQとその回答をAIが推奨する機能も提供されている。具体的には、送料の設定や在庫の追跡など、あらゆる業務に対して迅速なサポートと具体的な指示を受けることができる。他には、各EC事業者のビジネス展開において最適な判断を支援するレポートを即座に作成するサービスなどもある。
三つ目は、AIによる高精度な商品レコメンド機能である。顧客(消費者)の属性やECサイト内での行動履歴に基づいてパーソナライズされた商品を推奨し、コンバージョン率を向上させるサービスが提供されている。

その他にも、セキュリティ関連ではAIを活用したクレジットカードの不正利用の検知や、商品情報処理(収集・項目設定・加工)の自動化サービス、生成AIによる対話型コマース(AIとの対話を通じて希望の商品を検索・注文)や、説得力のある件名や魅力的なコンテンツで消費者向けメール文を瞬時に生成し配信するサービス、さらに、需要予測により在庫管理を最適化するサービスなど、様々なAIソリューションが提供、あるいは研究開発されている。

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ECサイト構築支援サービス市場の将来展望

日本のEC化率は海外に比べてまだ低い水準であるため、EC市場への新規参入の増加によりEC市場規模が拡大する余地は十分にあると考える。それにより、ECサイト構築支援サービスの需要も拡大していくと予測する。
EC市場ではBtoB領域における市場拡大や、新しいブランドを立ち上げて新規参入する事業者がECチャネルを活用する可能性もあり、ECサイト構築需要は今後も拡大していく見通しである。また、BtoC領域では既存ECサイトのリニューアル需要が増加する見込みで、国内のECサイト構築支援サービス市場は、2023年度から2027年度までのCAGR(年平均成長率)が4.9%で推移し、2027年度には2,579億円まで拡大すると予測する。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • BtoB-EC 市場規模/EC化率の推移
  • ECサイト構築支援サービス市場規模推移(売上ベース)
  • ECサイト構築支援サービス市場規模予測(売上ベース)
  • 国内BtoC-EC市場規模の推移(単位:億円)
  • 物販系EC 市場規模/EC化率の推移
  • BtoB-EC 市場規模/EC化率の推移
  • スマートフォン経由のEC市場規模の推移(物販系BtoC-EC)
  • インターネットを通じて注文をした世帯の割合の推移(2021~2024年)
  • ネットショッピングの月支出額(二人以上の世帯)の推移(2021~2024年)
  • オンライン決済サービスプロバイダー市場規模推移と予測
  • Amazonグローバルの売上高推移(2018~2023年)
  • Amazonグローバル売上高の内訳(2021~2023年)
  • Amazon日本事業の売上高推移(2019~2023年)(単位:百万ドル)
  • 楽天 国内EC事業の売上収益の推移(2019~2023年)
  • 楽天 国内EC流通総額の推移
  • LINEヤフーの「コマース事業」売上推移(2020~2023年度)
  • LINEヤフーの「eコマース」取扱高の推移(2020~2023年度)
  • ECサイト構築支援サービスの提供方法による分類と主要サービス・企業名一覧
  • ECサイト構築支援サービスの提供方法別シェア推移(売上ベース)
  • ECサイト構築支援サービスの提供方法別市場シェア予測(2024~2027年度)
  • ECサイト構築支援サービス事業者のビジネスモデル一覧
  • 主要事業者のEC事業の売上推移(2021~2023年度)
  • 主要事業者の導入企業数(2023年度)
  • 主要事業者のサービス概要と特徴一覧
  • 主要事業者のサービスの料金体系一覧
  • 主要事業者の顧客企業の業種/取扱商品の分野一覧
  • 主要事業者の顧客企業の規模一覧
  • 主要事業者の顧客企業の新規と既存の割合/BtoBとBtoCの割合一覧
  • 主要事業者の顧客企業のニーズ動向一覧
  • 主要事業者のAIを活用した取組み一覧
  • 主要事業者の今後の戦略・注力分野一覧
  • 主要事業者の事業の課題一覧
  • 市場の成長性に関する主要事業者の見解一覧
  • AIの進化が市場に与える影響一覧
  • AIチャットボット(接客、EC運営者サポートなど)
    • AI Messenger Chatbot
    • GMO即レスAI
  • 高精度な商品レコメンド
    • AiReco(アイレコ)
    • アイジェント・レコメンダー
  • 商品説明文の自動生成/SEO対策
    • カラーミーAIアシスタント(β)
    • Shopify Magic
  • 商品情報処理(収集・項目設定・加工)
    • HANABI Data
    • dataX
  • サイト内商品検索の最適化
    • 生成AIによる対話型コマース
  • 需要予測(在庫管理、受注管理の最適化)
    • α-発注
  • 不正注文検知
    • O-PLUX
  • 主要事業者のAIを活用した取り組み・サービス一覧
  • 中小企業・小規模企業におけるHP制作運用サービスの市場規模(2023年度)
  • インターネット広告総市場規模推移
  • インターネット広告のビジネスマップ
  • インターネット広告市場規模予測
  • 株式会社ecbeing
  • 株式会社イーシーキューブ
  • 株式会社インターファクトリー
  • 株式会社エートゥジェイ
  • 株式会社エルテックス
  • GMOペパボ株式会社
  • GMOメイクショップ株式会社
  • Shopify Japan 株式会社
  • W2株式会社
  • 株式会社DGコマース
  • 株式会社フューチャーショップ
  • BASE株式会社
  • 株式会社マクニカ
  • 株式会社ロックウェーブ

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関連リンク

■アナリストオピニオン
AI技術の進化によりEC市場が変わる

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調査要綱

調査対象:ECサイト構築支援サービス提供事業者等
調査期間:2024年5月~7月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、アンケート調査、ならびに文献調査併用

※ECサイト構築支援サービス市場とは:ECサイト構築支援サービスは、 EC(Electronic Commerce)サイトの事業計画からシステム企画、設計、開発、運用などまでEC事業に関わる一連のサービスである。
本調査におけるECサイト構築支援サービス市場とは、パッケージ型、SaaS型、フルスクラッチ型のサービスを対象として、サービス提供事業者の売上高ベースで算出した。

<市場に含まれる商品・サービス>
パッケージ型サービス、SaaS型サービス、フルスクラッチ型サービス

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