矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2023.09.21

テレマティクス保険市場に関する調査を実施(2023年)

個人向けテレマティクス保険の2023年度国内市場規模は、2,622億円と予測。ドライブレコーダーの上位機種やスマホ連動型などニーズに合わせた商品が好調。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のテレマティクス保険市場を調査し、参入企業の動向や将来展望について明らかにした。

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【図表:個人向けテレマティクス保険国内市場規模予測】

【図表:個人向けテレマティクス保険国内市場規模予測】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:自動車保険は正味収入保険料ベース、テレマティクス保険は同保険加入契約金額ベース。
  • 注:テレマティクス保険普及率は同保険加入契約件数を算出した推計値。
  • 注:2023年度以降予測値。

 

テレマティクス保険市場の概況

2023年度の個人向けテレマティクス保険の国内市場規模は、2,622億円と予測する。自動車保険の正味収入保険料に占める個人向けテレマティクス保険の割合は6.1%となる。自動車保険契約者のうちテレマティクス保険を契約している割合をみる普及率については同年度で8.0%と予測する。

テレマティクス保険は、テレマティクス技術を活用し開発された自動車保険の一種であり、自動車に搭載した通信機器から得られる運転情報を基に安全運転支援サービスや保険料割引などを提供する保険である。このうち通信型ドライブレコーダーを活用するタイプのテレマティクス保険については、より安全な運転を求めるドライバーもいることから、前方だけではなく後方のカメラも付けられるなど、ドライブレコーダーの上位機種を選択できるテレマティクス保険も登場している。またドライブレコーダーを既に装着しているドライバーや手軽に安全運転支援サービスを受けたいドライバー向けに通信車載器とスマートフォンを連動させるタイプのテレマティクス保険を提供する損害保険会社もあるなど、ドライバーのニーズに合わせた商品展開が進んでいる。商品の多様化によりテレマティクス保険への加入は順調に伸びている。

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テレマティクス保険市場の注目トピック

■テレマティクス保険の認知拡大と契約台数増加が目下の課題
テレマティクス保険の認知度をより向上させ、テレマティクス保険の契約を増やしていくことは各社共通の課題となっている。

​現下、損害保険会社で提供するテレマティクス保険は通信型ドライブレコーダーを活用した保険が主流であるが、一般的にテレマティクス保険の認知度はそれほど高くない状況である。認知度向上のためには、ドライブレコーダーを装着していない層へアプローチだけではなく、ドライブレコーダーを装着している層に対しても損害保険会社の提供するドライブレコーダーのメリットを訴求しアプローチをしていく必要がある。例えば、ドライブレコーダーの買い替えのタイミングにおいて、市販のドライブレコーダーではなく、保険会社の提供するドライブレコーダーを手に取ってもらえるよう損害保険会社は顧客に訴求していく必要がある。

損害保険会社各社はテレビCMなどのプロモーション活動や、顧客に提案してもらうための代理店サポートなどの活動を日々実施していく必要があるとみており、こうした積み重ねがひいてはテレマティクス保険市場拡大につながっていくものとみる。

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テレマティクス保険市場の将来展望

個人向けテレマティクス保険の国内市場規模は2025年度には3,939億円、2026年度には4,734億円に達すると予測する。テレマティクス保険は順調に普及し、2025年度にはテレマティクス保険の普及率は11.9%、2026年度には14.2%になると予測する。2025年度には自動車保険契約者の約1割がテレマティクス保険に加入しているとみる。

損害保険会社各社はテレビCMなどを通じて認知度を向上させながら、新規の自動車購入者に加えて、自動車保険の満期を迎える顧客などに対して特約でテレマティクス保険の加入を促すなど、積極的な販促活動を展開している。こうしたことが奏功し、市場規模は順調に拡大するものと考える。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • テレマティクス保険の位置づけ
  • 損害保険会社が提供する主なテレマティクス保険・サービス
  • テレマティクス保険の仕組み
  • テレマティクス保険の提供方法
  • PAYDとPHYDの違い
  • コネクティッドカー向けの保険
  • 市場規模の考え方
  • テレマティクスのイメージ
  • ITSのシステム概念図
  • ITSサービスにおける9つの開発分野
  • VICSの仕組み
  • ETCシステムのイメージ
  • ETC2.0で新たなに加わったサービス
  • ヘルプネットの仕組みと流れ
  • テレマティクスサービスの提供区分
  • ITSの動向と自動車メーカーのテレマティクスサービス発展の流れ
  • アルコールチェックの義務化内容・時期
  • 後退時車両直後確認装置の主な要件
  • 妨害運転罪の罰則
  • 75歳以上の運転免許保有者数 推移
  • 認知機能検査結果の比較
  • 正味収入保険料 推移
  • 自動車保険取扱一覧
  • 自動車保険取扱事業者の収入保険料推移
  • 2021年度大手損害保険会社の自動車保険市場のシェア
  • 自動車保険の種類、補償範囲
  • 自賠責保険の補償内容
  • 任意の自動車保険料加入率 推移
  • 参考純率のおけるリスクの考え方
  • 2022年度募集形態別元受正味保険料の構成比
  • 損害保険の代理店数推移
  • 自動車保有台数 推移
  • 自動車保有台数 推移
  • 新車・年別販売台数(登録車+軽自動車) 推移
  • 交通事故発生件数・死者数推移
  • 事故類型別交通死亡事故発生件数(令和4年)
  • スマートフォン用アプリ向けのテレマティクスサービス
  • 通信機能付きドライブレコーダーを活用した保険(個人向け)
  • テレマティクス保険の提供形態
  • 損害保険会社が提供する主な個人向けテレマティクス保険
  • コネクティッドカー向けの保険(再掲)
  • 個人向けと事業者向けのターゲットの違い
  • 事業者向けの主なテレマティクスサービス
  • 特徴的な傾向のある商品
  • 個人向けテレマティクス保険の各社実績
  • 2022年度募集形態別元受正味保険料の構成比(再掲)
  • あいおいニッセイ同和損害保険
  • イーデザイン損害保険
  • 損害保険ジャパン
  • 三井住友海上火災保険

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調査要綱

調査対象:損害保険会社等
調査期間:2023年7月~8月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用

※テレマティクス保険市場とは:
テレマティクス保険は、テレマティクス技術を活用し開発された自動車保険の一種であり、自動車に搭載した通信機器から得られる運転情報を基に安全運転支援サービスや保険料割引などを提供する保険である。損害保険会社が中心となってテレマティクス保険を提供している。
本調査におけるテレマティクス保険の市場規模は、個人向けに提供される自動車保険契約者のうち、テレマティクス保険契約者の自動車保険料を市場規模として算出している。 テレマティクス保険契約者とは①テレマティクス保険機能を持つ自動車保険加入者、②非テレマティクス自動車保険に特約でテレマティクスサービスを付帯している者を指し、市場規模は①と②の合算値である。

<市場に含まれる商品・サービス>
個人向けに提供されるテレマティクス保険

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小田 沙樹子(オダサキコ) 研究員
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