株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のテレマティクス保険市場を調査し、参入企業の動向や将来展望について明らかにした。
【図表:個人向けテレマティクス保険国内市場規模予測】
2023年度の個人向けテレマティクス保険の国内市場規模は、2,622億円と予測する。自動車保険の正味収入保険料に占める個人向けテレマティクス保険の割合は6.1%となる。自動車保険契約者のうちテレマティクス保険を契約している割合をみる普及率については同年度で8.0%と予測する。
テレマティクス保険は、テレマティクス技術を活用し開発された自動車保険の一種であり、自動車に搭載した通信機器から得られる運転情報を基に安全運転支援サービスや保険料割引などを提供する保険である。このうち通信型ドライブレコーダーを活用するタイプのテレマティクス保険については、より安全な運転を求めるドライバーもいることから、前方だけではなく後方のカメラも付けられるなど、ドライブレコーダーの上位機種を選択できるテレマティクス保険も登場している。またドライブレコーダーを既に装着しているドライバーや手軽に安全運転支援サービスを受けたいドライバー向けに通信車載器とスマートフォンを連動させるタイプのテレマティクス保険を提供する損害保険会社もあるなど、ドライバーのニーズに合わせた商品展開が進んでいる。商品の多様化によりテレマティクス保険への加入は順調に伸びている。
■テレマティクス保険の認知拡大と契約台数増加が目下の課題
テレマティクス保険の認知度をより向上させ、テレマティクス保険の契約を増やしていくことは各社共通の課題となっている。
現下、損害保険会社で提供するテレマティクス保険は通信型ドライブレコーダーを活用した保険が主流であるが、一般的にテレマティクス保険の認知度はそれほど高くない状況である。認知度向上のためには、ドライブレコーダーを装着していない層へアプローチだけではなく、ドライブレコーダーを装着している層に対しても損害保険会社の提供するドライブレコーダーのメリットを訴求しアプローチをしていく必要がある。例えば、ドライブレコーダーの買い替えのタイミングにおいて、市販のドライブレコーダーではなく、保険会社の提供するドライブレコーダーを手に取ってもらえるよう損害保険会社は顧客に訴求していく必要がある。
損害保険会社各社はテレビCMなどのプロモーション活動や、顧客に提案してもらうための代理店サポートなどの活動を日々実施していく必要があるとみており、こうした積み重ねがひいてはテレマティクス保険市場拡大につながっていくものとみる。
個人向けテレマティクス保険の国内市場規模は2025年度には3,939億円、2026年度には4,734億円に達すると予測する。テレマティクス保険は順調に普及し、2025年度にはテレマティクス保険の普及率は11.9%、2026年度には14.2%になると予測する。2025年度には自動車保険契約者の約1割がテレマティクス保険に加入しているとみる。
損害保険会社各社はテレビCMなどを通じて認知度を向上させながら、新規の自動車購入者に加えて、自動車保険の満期を迎える顧客などに対して特約でテレマティクス保険の加入を促すなど、積極的な販促活動を展開している。こうしたことが奏功し、市場規模は順調に拡大するものと考える。
■アナリストオピニオン
●テレマティクス保険の現在地と自動運転等が普及した際の可能性
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調査対象:損害保険会社等
調査期間:2023年7月~8月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用
※テレマティクス保険市場とは:
テレマティクス保険は、テレマティクス技術を活用し開発された自動車保険の一種であり、自動車に搭載した通信機器から得られる運転情報を基に安全運転支援サービスや保険料割引などを提供する保険である。損害保険会社が中心となってテレマティクス保険を提供している。
本調査におけるテレマティクス保険の市場規模は、個人向けに提供される自動車保険契約者のうち、テレマティクス保険契約者の自動車保険料を市場規模として算出している。 テレマティクス保険契約者とは①テレマティクス保険機能を持つ自動車保険加入者、②非テレマティクス自動車保険に特約でテレマティクスサービスを付帯している者を指し、市場規模は①と②の合算値である。
<市場に含まれる商品・サービス>
個人向けに提供されるテレマティクス保険
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