株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内生命保険業界の代表的な販売チャネルである「営業職員」に対しアンケート調査を実施し、営業職員による保険販売の実態を調査・分析、今後の営業職員チャネルの展望について明らかにした。ここでは、コロナ禍での接触回数の変化、新規顧客・既存顧客の優先順位についての調査結果の一部を公表する。
【図表:コロナ禍での接触回数の変化】
【図表:新規顧客・既存顧客の優先順位について】
生命保険商品は営業職員による販売が主流であるものの、営業職員を取り巻く環境は大きく変化している。生命保険業界の課題であるターンオーバー(大量採用・大量離職)をはじめ、銀行の窓口販売や乗合代理店(複数の保険会社の保険商品を販売する代理店)など新しい販売チャネルの登場による多様化、新型コロナウイルス感染拡大の影響などが、営業職員の置かれている立場や価値観に影響を与えている。本調査では、生命保険の営業職員[生命保険会社の営業職員、または一社専属契約の募集人(外交員)]400名を対象として、アンケート調査を実施した。
生命保険会社の営業職員は、顧客との対面を基本とした営業活動を行っている。しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響により、営業職員は対面営業を多少なりとも制限され、非対面(Web面談など)による営業を経験した。そこで、コロナ前(2019年度以前)とコロナ禍(2020年度~2022年度)の前後で、1年間当たりの顧客との接触回数の変化について尋ねた。
接触回数は「変わらない」という回答が26.3%と最多であるが、「1割~2割減った」から「8割以上減った」まで4つの選択肢の比率を合計すると「減少した」が55.5%となった。営業職員のうち半数以上がコロナ禍で顧客との接触回数が減少したと認識していることが、調査結果からわかった。
一方、接触回数は「増えた」とする4つの選択肢を合計すると18.3%となった。Web面談ツールなどを上手く使いこなせた営業職員は、コロナ禍でも接触回数の増加に繋げられたと考えられる。
■顧客の優先順位に対する、会社と営業職員の認識ギャップ
まず、新規顧客の獲得と既存顧客との継続的な関係構築のどちらを重視しているか、会社の方針について聞いた。次に、営業職員本人の考えとして、どちらを重視をしているか、尋ねた。
会社の方針について、「新規顧客獲得を重視(38.8%)」「どちらかというと新規顧客獲得を重視(27.5%)」の比率を合計すると6割を超え、多くの営業職員は、会社が新規顧客獲得を重視していると考えていることがわかった。
次に、本人の考えとしては、「既存顧客を重視(28.0%)」「どちらも重視(23.0%)」「どちらかというと新規顧客獲得を重視(19.8%)」という回答順であった。調査結果をみると、営業職員の意見は割れており、会社の方針が新規顧客獲得の重視だと分かっているにもかかわらず、「既存顧客を重視」と「どちらかというと既存顧客を重視」を合算すると4割を超える結果となった。
なお、他の設問で営業職員本人が既存顧客との関係を重視する理由を尋ねると、「営業活動が楽だから」「ストレスが少ない」等の回答が挙がった。その他、「既存顧客へのフォロー業務も多く、新規顧客獲得に割く時間がない」といった意見もあった。営業職員にとって、取り巻く環境が大きく変化しており、心理的な面と時間的な面で新規顧客開拓のハードルが上がっていると考える。
■生命保険の販売チャネル
■アンケート概要
■回答者プロフィール
■レポートサマリー
●生命保険の販売チャネルに関する調査を実施(2023年)
●来店型保険ショップ市場に関する調査を実施(2022年)
●来店型保険ショップ市場に関する調査を実施(2021年)
●来店型保険ショップ市場に関する調査を実施(2020年)
■アナリストオピニオン
●アンケート結果からみる生命保険の営業職員の実態
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調査対象:生命保険の営業職員
調査期間:2023年4月~6月
調査方法:インターネットモニターを対象としたアンケート調査
生命保険の販売チャネルは、営業職員を活用する伝統的な販売チャネルをはじめ、銀行等金融機関の窓口販売や乗合代理店、インターネット通販など様々なチャネルが存在する。とりわけ営業職員による保険販売は生命保険販売の主要チャネルとなっている。
一般社団法人生命保険協会「2022年版生命保険の動向」によると、国内で登録されている営業職員は2021年度時点で約24万人となっている。生命保険の販売は多くの営業職員によって支えられているものの、生命保険業界では「ターンオーバー(大量採用・大量離職)」も課題となっている。
<市場に含まれる商品・サービス>
生命保険の営業職員
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