矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2022.10.06

電子契約サービス市場に関する調査を実施(2022年)

2022年の電子契約サービス市場はデジタル化の推進、DX実現の一環としての導入が増加。市場は順調に成長を続けており、市場規模200億円は目の前。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の電子契約サービス市場を調査し、市場概況やサービス参入企業の動向、普及動向、将来展望を明らかにした。

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【図表:電子契約サービス市場規模推移・予測】

【図表:電子契約サービス市場規模推移・予測】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:事業者売上高ベース
  • 注:2022年以降は予測値
  • 注:表内のCAGRは、2018年から当該年までの年平均成長率

 

電子契約サービス市場の概況

2021年の国内電子契約サービス市場規模は、事業者売上高ベースで前年比38.6%増の140億円と推計した。電子契約サービスに対する認知度の向上、テレワークへの対応の他、契約手続きの可視化、コンプライアンスの強化などから、市場は順調に成長している。

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電子契約サービス市場の注目トピック

■DXの一環としての導入が増加
新型コロナウイルス感染症の流行によるテレワークの拡大を契機に急速に成長した電子契約サービス市場は、2022年の今も順調に成長を続けている。以前までは、電子契約サービスは、コスト削減や業務の効率化を目的に導入するケースが多かったが、コロナ禍において発生した、“ハンコを押すために必要な出社”の負担を低減するため、導入が急拡大した。

新型コロナウイルス感染症の発生から2年が経過し、電子契約サービスの検討/導入目的は再び変わろうとしており、最近は、デジタル化の推進、DXの実現が増加基調にある。

もっとも、コロナ禍以前から、デジタル化、DX実現を目的に電子契約サービスの検討/導入をしていた企業もあり、ベンダ側は、導入/検討理由が新型コロナウイルス感染症流行以前に戻ってきた、という印象を持っているとみられる。電子契約サービスの導入は、効果を可視化しやすいため、取組みやすいDXのひとつと言える。

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電子契約サービス市場の将来展望

新型コロナウイルス感染症の流行によるテレワークの拡大、ハンコを押すために必要な出社機会の低減は、本市場にとって非常に大きなインパクトを持ち、2020年の国内電子契約サービス市場規模は、事業者売上高ベースで前年比48.5%増であった。他方で、この2020年、2021年に導入/検討に至らなかった企業では、今しばらく導入を見合わせると推測する。

2022年1月に施行された改正電子帳簿保存法への対応、2023年10月から始まるインボイス制度への対応、2018年に経済産業省から発表された『DXレポート』が言う ”2025年の崖” への対応など、直近2~3年は企業が対応しなければならないことが多く、電子契約サービス導入の優先度は下がり、市場成長のスピードはやや鈍化すると予測する。

将来的にみても、紙の契約書がゼロになることはないと考えるが、電子化可能な範囲は広がっていくとみられ、企業には、否が応でも電子契約サービスを導入/利用しなければならない日が訪れると予測する。

2025年の国内電子契約サービス市場規模は、事業者売上高ベースで前年比25.4%増の395億円に達する見通しだが、現状、電子契約サービス未導入の企業は多く、2026年以降、改めて市場が大きく成長する機会があると期待される。

※2025年の崖――多くの経営者が、将来の成長、競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを創出・柔軟に改変するDXの必要性について理解しているが、既存システムが事業部門ごとに構築され、全社横断的なデータが活用できなかったり、過剰なカスタマイズがなされていたりすることなどで、複雑化・ブラックボックス化していること、また経営者がDXを望んでも、データ活用のために上記のような既存システムの問題を解決し、そのためには業務自体の見直しも求められる中(=経営改革そのもの)、現場サイドの抵抗も大きく、いかにこれを実行するかが課題となっていることが示され、この課題を解決できなければ、DXを実現できないだけでなく、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性(2025年の崖)があることが指摘されている。
​参考文献:「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開(サマリー)」(経済産業省)(平成30年9月7日)

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • 電子契約サービス市場規模(2018~2025年予測)
  • 電子契約サービスシェア(2021年/売上高ベース)
  • 電子契約サービスシェア(2022年予測/売上高ベース)
  • 業種別 電子契約サービス市場規模(2018~2025年予測)
  • 契約書管理サービス市場規模(2020~2025年予測)

■アドビ株式会社
■株式会社インフォマート

  • BtoBプラットフォーム 契約書 サービスイメージ
■NXワンビシアーカイブズ
  • 契約書一元管理の概要
  • 料金プランイメージ
■株式会社コンストラクション・イーシー・ドットコム
  • CECTRUST-Lightサービスイメージ
  • CECTRUST-Light機能一覧
■freeeサイン株式会社
  • freeeサインサービスイメージ
  • freeeサインの料金プラン
■GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社
  • GMOサイン 契約形態の概要
  • 利用シーンに応じた法的効力の強さ
■jinjer株式会社
  • ジンジャーサイン料金表
■セイコーソリューションズ株式会社
  • 「電子契約ソリューション」を使用した、住宅ローン契約業務の流れ
  • プラン別価格
■ドキュサイン・ジャパン株式会社
  • 電子署名のプランと価格
■日鉄ソリューションズ株式会社
  • CONTRACTHUB@absonne 機能の一例
■弁護士ドットコム株式会社
  • 「契約マネジメントプラットフォーム」イメージ概要
  • クラウドサインの各料金プラン・仕様
■株式会社マネーフォワード
  • マネーフォワードクラウド契約 カバー範囲

 

■Sansan株式会社

  • Contract Oneの機能イメージ図と対応する代表的な機能
■株式会社Hubble
  • Hubbleの基本機能
  • Hubble料金プラン

 

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関連リンク

■レポートサマリー
電子契約サービス市場に関する調査を実施(2020年)
テレワーク関連業務アプリケーション市場に関する調査を実施(2021年)
DX(デジタルトランスフォーメーション)に関する動向調査を実施(2020年)
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■アナリストオピニオン
ERP市場と「2025年」を巡る問題

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調査要綱

調査対象:国内電子契約サービス、契約書管理サービス関連事業者等
調査期間:2022年6月~9月
調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話、e-mailによるヒアリング調査併用

※電子契約サービス市場とは:本調査における電子契約サービス市場とは、Web上で電子ファイルに押印・署名するなどして契約を締結できる製品/サービスを指す。製品/サービスによっては、契約書以外の書類にも対応し、契約書の作成、管理や契約業務の管理なども可能になる。市場規模は、電子契約サービスベンダの事業者売上高ベースで算出した。

<市場に含まれる商品・サービス>
契約作成・締結・管理に関する、電子契約製品/サービス

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小山 博子(コヤマ ヒロコ) 主任研究員
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