株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内の屋内位置情報ソリューション市場を調査し、需要分野別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
【図表:屋内位置情報ソリューション市場規模推移・予測】
これまで順調に拡大してきた国内の屋内位置情報ソリューション市場(事業者売上高ベース)であったが、2020年度には一旦成長が止まり、31億8,000万円、前年度比99.7%と、前年度をわずかではあるが割り込む市場規模となった。2021年度は再び市場を拡大させる見込みであり、前年度比129.9%の41億3,000万円が見込まれる。新型コロナウイルス感染拡大の影響はあったものの市場は拡大傾向にはある。しかし、その勢いはやや停滞している状況である。
2021年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響も薄れ、製造業を得意とする多くのベンダーの業績がコロナ禍前の水準を取り戻す見通しである。また、都心のオフィスでの働き方の見直しの影響から、フリーアドレスの普及にけん引されて、市場を大きく拡大させていく見通しとなっている。
■参入企業の状況
依然として、測位技術ではBLE(Bluetooth Low Energy)を採用している企業が多い傾向は変わらない。また、自社で開発した特定の測位方法に特化して技術を提供することに注力する企業と、様々な測位方法をユーザーのニーズに合わせて選定し、システムをインテグレートして提供するポジションの企業とが存在している。 現状、BLE(Bluetooth Low Energy)を扱う事業者が多い傾向は変わらないが、市場では屋内測位の本命と位置付けられる技術が存在しておらず、依然として混とんとした状況が続いている。
今後の市場展望としては、2021年度の屋内位置情報ソリューション市場(事業者売上高ベース)で41億3,000万円の見込みに対して、2022年度は前年度比120.7%、49億8,300万円になると予測する。また、2024年度にはさらに前年度比127.5%の76億2,400万円になると予測する。ただし、この間の成長スピードは分野によって若干異なる見通しである。
需要分野別では製造、物流等の現業分野の成長は、オフィス分野等に比べてやや遅れるものと考える。現在、これまで主流であったBLE(Bluetooth Low Energy)による測位技術から別の技術が模索されている状況であり、次の市場の中心となる技術が定着するまで時間を要すると見る。一方のオフィス分野に関しては当面、順調にその規模を拡大すると見込む。
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調査対象:国内で屋内位置情報ソリューションを展開している主要事業者
調査期間:2021年10月~12月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)
※屋内位置情報ソリューションとは:本調査における屋内位置情報ソリューションとは、「屋内測位技術」および「屋内地図情報」を利用した屋内向けの位置情報活用サービス/ソリューションを指す。
屋内測位技術とはGPS衛星等の無線信号が届かない建物内や地下街でも測位可能な技術であり、主にRFIDや無線LAN(Wi-Fi)、BLE(Bluetooth Low Energy)、UWB(超広帯域無線)、音波(非可聴音)、PDR(歩行者自律航法)、可視光通信等を、屋内地図情報とは駅・空港や大規模な商業施設などでのナビゲーション用途で使用される位置情報と連動した施設内の電子地図情報を対象とした。
<市場に含まれる商品・サービス>
屋内位置情報ソリューション
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