矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

アナリストオピニオン
2019.01.08

平成の終わりを迎えて

31年目を迎えた「平成」も間もなく終わろうとしている。私は昭和63年に社会人になっているので、ほぼ私の社会人人生は平成とともに歩んできたといえる。そして、今改めて平成を振り返ってみると、一言でいえば「停滞の時代」だったと総括できるだろう。
確かに平成はバブル経済と共に始まったが、昭和の名残がもたらしたバブル経済は、その後一気に崩壊し、平成の始めには既に「低成長」の時代を迎えた。バブル後「失われた10年」と言われたデフレの時代から長らく脱却することはできず、ついには「失われた20年」と言われるようになった。その後、平成24年に誕生した第二次安倍政権は大規模な金融緩和を実施し、「アベノミクス」としてもてはやされたものの、結果的にはさほど大きな経済成長は実現できていないのが実態である。
一方、この間の他国はどうであったか。アメリカはこの間も順調に経済成長を遂げ、名目GDPでは3倍以上の規模に拡大している。もはや日欧が束になってかかっても、追いつけない圧倒的な規模の経済大国となっている。また、中国は世界2位だった日本を軽々と抜き去り、アメリカを大幅に上回る成長率を継続しており、将来的にはアメリカを上回らんとする勢いである。

また、同時期の直近の30年間はIT化、ネット化の時代でもあった。1991年(平成3年)に登場した米マイクロソフト社のOS、Windows3.1はPCのインターフェースを劇的に改善し、PCの一般消費者や企業への普及に大きく貢献した。また、Windows95はインターネット接続をデフォルトとしてインターネットの本格的普及の起爆剤となった。さらに、2007年(平成19年)に米アップル社の投入したiPhoneは、世界中の人々ひとりひとりをインターネットに常時接続させることに成功したと言える。

つまり、日本が平成という元号と歩んだ30年とは、世界がIT化に向かって突き進んだ時代でもあったのである。この間アメリカではマイクロソフトや「GAFA」と言われるネット企業4社が台頭して世界の市場を席巻し、アメリカ経済の成長に大きく貢献している。また、中国では「世界の工場」として、世界中から製造業を取り込む傍らで、その莫大な人口を背景にしてアリババ、テンセント、バイドゥといったIT企業も大きな成長を遂げている。

翻って、この間に世界をリードし、日本経済に大きく貢献した日本のIT企業をどれだけ挙げることができるだろうか。アメリカや中国の各企業レベルの競争力を持つIT企業はほぼ皆無である。
また、日本企業は、ITの利活用においても遅れが際立っており、積極的、戦略的IT投資が極めて手薄であることは周知の事実である。
これらのことから、平成とは日本が世界の潮流であるIT化に大きく後れを取り、その結果、経済成長面でも低迷を続けてきた「停滞の時代」であると言えそうである。
平成の次がどういう元号になるのか未だに不明であるが、次の時代には、世界をリードするような日本企業の出現と、着実な経済成長がなされる時代となることを期待する。そのためには、依然として「昭和」のままの教育システムの改革こそが必須であると主張したい。

野間 博美(ノマ ヒロミ) 理事研究員
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