2022年11月9日に総務省から「携帯電話用周波数の再割当てに係る円滑な移行に関する タスクフォース 報告書(案)」が公開された。これは同年10月に施行された「電波法及び放送法の一部を改正する法律案」を基に、楽天モバイルが競願した700~900MHz帯の再割当てに対する指針をまとめたものだ。
改正電波法では新たに利用者のいる周波数帯の再割当てが可能になったことで、同周波数帯の既存免許人であるNTTドコモやKDDI、ソフトバンクの3社が利用している周波数帯を、他事業者も競願することで利用できる可能性が出てきた。
これを好機に動き出したのが楽天モバイルだ。もともと基本料金の低さを武器にユーザーを獲得してきたが、後発ということもあり楽天モバイルの4G LTE回線は人口カバー率で既存3社に大きく後れを取っている。今回、その課題とされていた700~900MHz帯のいわゆるプラチナバンドを既存免許人から再割当てを得ることで、人口カバー率を上げようとしている。
この競願は既存免許人からすると、自社の重要な周波数帯を楽天モバイルに奪われる形になるため全面から反対しており、事業者間で折り合いがつかず総務省が今回の報告書で案を取りまとめた。
楽天モバイルは既存免許人3社からそれぞれ保有しているプラチナバンドの5MHzを2幅ずつ再割当てするよう競願している。報告書はこの競願を決定するものではないが、その割当てを前提として、費用負担や移行期間の考え方を示した。この競願にあたり3社はレピータ交換や基地局の増強、受信フィルタの挿入が必要で、各社1,000億円前後の費用と10年程度の期間が必要と主張している。ただ、今回示された指針では標準移行期間は再割当てから5年とされ、前倒しで進める場合に適用される新規認定開設者負担の終了促進措置も原則レピータ交換のみの適用となり、既存免許人は多額の費用負担を強いられる内容だった。
楽天モバイルはプラチナバンドの提供を2024年3月から開始するとしている。既存免許人にはメリットがないこともあり、事業者間では結論が出ないだろう。既存3社は2020年10月にも総務省から通信料金の引き下げを求められた。今回も思い切った政策で通信業界を変えていくのか、総務省の決定を注視したい(宮村優作)。
YanoICT(矢野経済研究所ICT・金融ユニット)は、お客様のご要望に合わせたオリジナル調査を無料でプランニングいたします。相談をご希望の方、ご興味をお持ちの方は、こちらからお問い合わせください。
YanoICTサイト全般に関するお問い合わせ、ご質問やご不明点がございましたら、こちらからお問い合わせください。