矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2018.05.07

日本マイクロソフトが示す働き方改革の実践事例

日本マイクロソフトは、最新の働き方改革の実践事例に関して記者発表会を開催した(4/26)。

まず代表取締役社長の平野拓也氏は、自社における「より活躍する働き方」の実践に向けた注力領域として、①データドリブン 意思決定と行動、②組織横断の巻き込み力、③働き方の見える化と改善――の三点を挙げた。具体的な内容をそれぞれ以下のように述べた。

① 「データドリブン」について、現場の社員がオンラインで経営会議に加わり、経営陣は現場の最新情報を共有している。さらに、検討課題について様々なデータソースからデータを集約・分析するツール「Power BI」を利用し、経営会議の場で分析し、意思決定を行っている。

② 「巻き込み力」とは、部門を越えて連携する能力を指す。同社では、チャットや音声通信、会議、ファイル共有などの機能をもつMicrosoft Teamsを活用することで、社内のみならず、顧客とも連絡を密にできる体制を構築している。

③ 「働き方の見える化と改善」に際して、組織全体の働き方を可視化・分析するサービス「Workplace Analytics」を活用している。これにより、社員の時間の使い方を把握することが可能になる。たとえば、営業成績が優秀な社員と一般的な社員について、社外との1週間あたりの共同作業時間を比較した場合、「優秀な社員は12.4時間を費やす一方、一般社員は8.7時間に留まった」という結果が得られた(写真)。優秀な社員の行動を自身の働き方に取り入れることは、労働生産性向上の一助となりうると指摘した。

次に、同社の顧客である日本郵船株式会社の取り組みについて取り上げる。

日本郵船グループの各社にコンピューターサービスを提供する、株式会社NYK Business Systemsの代表取締役社長、班目哲司氏が登壇した。班目氏は、「日本郵船は、Office365やWindows10、Power BIなどを含む統合ソリューション『Microsoft 365 Enterprise E5』の採用を決定しており、順次導入していく」と述べた。使用者は、日本郵船グループに所属する、世界43カ国の社員32,000名に上るという。

導入の背景には、日本郵船グループが掲げる目標「全社員データアナリスト化」があると班目氏は明かす。実際に「潮流や海水温度、船の設備状況をはじめとするデータをPower BIによって分析し、燃費削減などに応用していきたい」と意気込みを語った。

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日本郵船グループが掲げた「全社員データアナリスト化」という標語が印象に残った。Power BIのような、操作性の高い分析ツールが多くの社員に普及していけば、データ分析は専門家のデータサイエンティストのみに求められる能力ではなく、一般社員にも必要とされる普遍的なスキルの一つとなっていくのだろうか。

また、データ分析に留まらず、データクレンジングを含めた「データの整備」の領域についても、全社員がスキルを身につけられるだろうか。日本郵船のデータ活用に注目していきたい。

(井上圭介)

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