矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2018.04.20

DeNAの考えるMaaS市場の現在と今後

DeNAが開催したMaaS市場の勉強会に参加した。(3/27開催 東京)DeNA執行役員 オートモーティブ事業本部長の中島宏氏が登壇し、MaaS市場の構造整理や今後の市場展望に対する見解を述べた。

そもそも、MaaSとはMobility as a Serviceの略であり、「サービスとしてのモビリティー」を指している。具体例としてDeNAのカーシェアサービス「Anyca」やUberの提供する相乗り(ライドシェア)サービスなどが挙げられる。

まず、中島氏は「都市化」や「コンパクトシティ化」などの時代的背景から、今後MaaS市場は拡大していくとみる。また、一般的に「今後MaaS市場が拡大すれば自動車の販売金額は減少するのでは」との懸念が取りざたされているものの、MaaS市場が拡大した際には、自動車販売などの既存市場を浸食することはない と考えている。なぜなら、既存市場とはターゲット層が異なっており、新たな市場が創出されるからだという。

例として中島氏は、スマートフォンのソーシャルゲームを挙げて説明した。ソーシャルゲームは既存のテレビゲーム市場とは異なる時間帯(隙間時間)を開拓したため、既存市場への影響は軽微であったと指摘。 MaaS市場も既存市場とは異なる顧客層や時間帯を開拓し、新たな市場を創出すると考えているそう。

次に、中島氏はMaaSの現在の市場構造の紹介と今後の市場構造の展望についてふれた。現在は自動車メーカーとサービス事業者の2者で市場が成り立っており、住み分けがなされている。(写真を参照)

しかし、今後は、例としてトヨタがモビリティサービス専用EVである「e-Palette」の車両制御や車両状態管理などに必要なAPIをサービス事業者に開放したように、「車両制御は車両メーカーが行うもの」ではなく、サードパーティーであっても車両制御が可能になると指摘。こうした動きがますます広まり、MaaSの市場構造は今後複雑化していくだろうとの見解を示した。

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中島氏は「今後MaaS市場が拡大しても既存市場を浸食することはない」との見解を述べていたが、本当にそうなのだろうか。例えば、携帯電話カメラの登場が既存のカメラ市場に与えた影響のように、長期的な視点で考えるとMaaS市場が既存市場に対して何らかの影響が及ぼす可能性があるのではないかと考えた。今後のMaaS市場と自動車関連市場との関係について注視していきたい。

(宮川 典子)

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