ロボットがビル内のスタバから屋外へでて、路面のテーブル席に配達する---近い将来、普通に街で見かけることになろう光景だが、その実現にはさまざまな障壁が存在する。3Dマップの未整備もその一つだ。今回、「大手町・丸の内・有楽町地区スマートシティプロジェクト 屋内外を統合した3Dデジタルマップの構築によるロボット走行環境形成の実証実験」(一般社団法人 大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会)に関する記者説明会において、それを効率化する新たな取り組みについて説明を聞くことができた。
これまで3Dマップの制作には、作業者が実際にその場所へ足を運び点群データを取得する必要があった。しかし今回は、東京都が提供する3Dデジタルマップと屋内のBIMデータを用い、サイバー上に当該地域をデジタルで表現。そこに仮想車両を走行させ、仮想LiDARでデータを取得し、3Dマップを効率的に制作した。そして、この仮想空間で得られた3Dマップを使い、現実世界でも安全にロボットに配達させられるかまでを実証実験した。
自動運転の研究では既にサイバー上の道路を仮想車両を走らせ、自転車の飛び出しなどさまざまな事象を再現し、AIに経験させる取組が進んでいるが、今回は同種の試みといえるだろう。
実験は成功し、「屋外の3Dデジタルマップデータ(東京都)、屋内のBIMデータ(建物所有者)から、屋内外を統合して構築した3Dデジタルマップが、一定の汎用性を有することを確認するに至りました。」と発表している。
スマートシティの実現には膨大な実態情報をサイバー空間へと転写し街のデジタルツインを作らなければならない。今回の取組は、その作業を加速させる契機になるだろう(忌部佳史)。
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