矢野経済研究所ICT・金融ユニットでは、研究員が日々ICT関連分野の調査/研究をしています。2019年度は「平成を振り返って/未来に想いを寄せて」をテーマに、リレーコラム形式でICT・金融ユニットのメンバーが順に綴っていきます。13人目は、InsurTech市場やFinTech市場をみている山口です。
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②令和――情報銀行の登場により個人情報は有料化、売買へ
ところが令和になると、ユーザーと事業者との関係性に変化が起きる可能性が高い。具体的には、情報銀行の登場によって個人情報の提供に際しては個人の許可が必要になるとともに、個人情報の受け渡しにも従来の無償から有料化へと変化をもたらす可能性がある。
実際に情報銀行で取扱われる個人情報には、健康情報や医療データなどの機微情報に加え、将来的にはWebサイトの閲覧履歴やSNSのデータなども取り扱われる可能性があるといわれている。
こうした変化の波は技術面でも課題を引き起こしている。
例えばブロックチェーンと個人情報の関係である。GDPR(一般データ保護規則)上、個人には自らの情報の削除権が認められている一方、ブロックチェーンは性質上、一度記録されると削除できない仕組みとなっているため、削除権を行使することを想定した場合、ブロックチェーンを活用したシステムを構築する際には、PDSとの併用など工夫が必要となる。
さて、データの取扱いに際して、規制と捉える一方、新たなブルーオーシャンが産まれる可能性がある。令和の時代も平成とは異なる新たなビジネスが、それを支える技術が生まれていくに違いない。(山口泰裕)
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