矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2018.11.20

【リレーコラム:一番記憶に残っているIT】私にとって、Lotus Dominoは生き物だった①

矢野経済研究所ICT・金融ユニットでは、研究員が日々ICT関連分野の調査/研究をしています。そんな研究員たちの、「一番記憶に残っているIT(IT技術/ツール/ウェブサイトなど)」は、一体何でしょう?リレーコラム形式でICT・金融ユニットのメンバーが順に綴っていきます。第7回目の執筆者は、昨今話題となったワークスタイル変革ソリューションなどを研究する加藤です。

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「サーバーは生き物だ」。そう教えてくれたのは、新卒で入社した会社の先輩だった。私はあるSIerでLotus Notes/Domino案件を扱う部署に所属していた。Lotus NotesはIBMのクライアントサーバー型のグループウェアだ。Notesはクライアント用ソフト、Dominoはサーバー用ソフトを指す。私はインフラ部隊に属しており、Dominoサーバーの移行や新規構築を担当していた。

Dominoサーバーの移行案件は、クライアントから提供された現行環境情報を分析することから始まる。サーバー毎のnames.nsf(設定情報ファイル)、log.nsf(ログファイル)、notes.ini(パラメーター設定ファイル)など。それらを開くとき、私は毎回、緊張と期待を感じた。「もしもし、あなたはどんなサーバーですか」。

今回もうまく移行できるだろうか?突飛な使われ方をしていないか、新バージョンに移植するために手間のかかるデータベースはあるか、サーバー停止と移行に発生しうるリスクを漏れなく洗い出して予防策を立てられるか。そして「こんな使い方があったのか!」「なんて洗練された整備だろう!」と驚くことも多々あった。

Dominoサーバーは機能が多彩で用途の幅が広く、個社別のカスタマイズ色も強い。色々なDominoに出会った。怒ったように狂ったように日常的にエラーログを吐き出し続ける機嫌の悪いサーバー。平日の深夜3時、規則正しく丹念に、バックアップとクリーニングを自分と他人にかける律儀で優等生なサーバー。メールサーバーには、兄弟あるいは双子でミラーリングしているペアが多い。なぜなら、万が一にでもメールが消失したら困ってしまうからだ。彼らは必ず、少なくとも片方が稼働している状態を維持しなければならないから、1人ずつ眠らせて新環境に運ぶ。お腹の中に「処理しかけのメール」が溜まっていたなら丹念に取り除き、新環境での起動後、流し直してあげる作業を移行手順に入れる。(加藤 佳奈)

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